64話 カミラと昔話
「カミラ大丈夫」
モールス国で戦っていたカミラがダンさんの話を聞き顔を青くする。
「デニスちゃんはよく私を見てるね大丈夫だよ」
カミラは俺の安心させようと笑顔を作り、俺の頭を撫でる。
完全に子供扱いをされているが俺の年齢が七歳のため否定がすることが出来ない。
俺は仕方なくされるがままにされる。
「ジェイダンさんはモールス国で仕事を続けたかったですか」
カミラはダンさんに話を聞く。
「うーんそうだね。モールス国の時の方がもっと目立ったところに店を出せてたし、売り上げがよかったね。今はこんな辺鄙なところで細々と店をしてるけどあの場所でやっていけてたらもっと贅沢な生活が出来てただろうね」
ダンさんは昔を思い出すように話す。
前世で俺は彼女の店の武器を愛用していた。
整備もお願いしていたため彼女の店に頻繁に通っており、冗談を言う仲になっていた。
同世代だった彼女が今はかなり年を取ったなと思いながら俺も死ななければ彼女くらい年を取っていたと思うと思うところがある。
「それならその街を救えなかった人たちを恨んだりしてますか」
カミラが怖そうに聞く。
「うん?確かに恨んだこともあったけど今は感謝しているよ。あの時戦った人たちを恨んだりしていないよ。あの時必死に戦った人たちのおかげで私たちが生きていられるし仕事が出来ている。あの時必死に戦って死んだ人達に感謝はしても恨んだりはしていないよ」
ダンさんの言葉を聞いたカミラは嬉しそうにしている。
「うん?あんたどこかで見た顔だと思ったらもしかして聖女様じゃないかい」
ダンさんに言われてカミラとエマちゃんも驚く。
「え?なんで私の話が出てくるの」
「エマちゃんじゃない。カミラのことだよ」
エマちゃんは最近聖女様と言われることが板についたようで聖女様と言われて反応する。
「もしかして私のことを知っているんですか」
カミラは突然言われて驚いている。
「そりゃあ私たち平民相手でも平等に治療してくれて優しい言葉をかけてくれる人だったからね。同世代の私達のあこがれだったよ。死んだと思っていたけど生きていたんだね。あの時はドラゴンを引き受けてくれてありがとう」
ダンさんは笑顔でカミラに感謝をしている。
その姿にカミラは涙を流している。
「私はあなたたちの家を守ることが出来ませんでした。人も全員を助けることが出来ませんでした。私は恨まれはしても感謝をされるわけにはいけないのに。こんなに感謝されるなんて」
カミラは完全に泣いてしまい話せなくなってしまった。
「聖女様あの時救ってくれてありがとう。今更言うのもなんだけどこれからはそんな責任を気にせず自分のしたいことをしておくれ」
カミラの手を握るとダンさんも泣き出してしまう。
それにつられて騎士達と俺も泣いてしまう。
「実はあの時私は死んでしまいました。」
「じゃあ今のあんたは」
カミラの言葉にダンさんは驚く。
それはそうだろう。死んだと告白した人間が今目の前で話しているのだから。
「私は死んで精霊として生まれ代わりこの子と契約をしました。」
カミラは話ながら俺の頭を撫でる。
カミラは俺のことをよく撫でる。
「この子と契約して人を治せなくなってから私は今したいことをしています。前世より自由になりましたが私のしたかったことってたくさんの人を助けることだったんだなと最近実感してるんです」
カミラの発言でダンさんは「あんたは芯からの聖女だよ」と言い笑いあった。
「よし元聖女様と契約した子のためだ安くしとくよ」
ダンさんは話は終わりだという風に話をする。
もしかすると少し恥ずかしかったのかもしれない。
俺は店内を見まわたすと一本の剣が目に留まった。
「その剣はなかなか癖のある剣だよ。初心者にはあんまりおすすめは出来ないね」
俺が前世で使っていた剣だ。
カミラはその剣を見たとき何か思うところがあったようだが何も言わない。
その剣は反りがあり他の剣よりも切れ味をよくしたものだ。
「ダンさんこの剣にする」
俺は興奮したように聞く。俺はこの剣を気に入った何としてもこの剣を買おうと思った。
そして値札を見た俺は絶望をした。
他の並んでいる剣に比べて圧倒的に高い。
「あーその剣は作り方が特殊で工程が多いからねちょっと値段が、まけてやりたいんだけどどうしても限界があるからね」
ダンさんも申し訳なさそうにしている。
ないものは仕方ないとあきらめ別の剣を選ぶかお金をためてまた買いにくるしかないと俺はあきらめようとした。
デニスちゃんの剣はどうなるのか
次回をお楽しみに
あと剣のイメージは刀です




