60話 重たい空気
俺はエマちゃんの部屋で起きる。
横で見るとまだエマちゃんは寝ているがカミラとソフィアは傍にいない。
こういう時に昨日エマちゃんが言っていた精霊の場所がわかる魔法が使えればいいのだが残念ながら昨日夕食の後訓練をしたができるようになれなかった。
俺は仕方なく寝ているエマちゃんを起さないようにベットを抜け出すと扉が開いているベランダに向かった。
ベランダに出るとソフィアとカミラがベランダに出ると話をしていた。
「やっぱりソフィアでも居場所は分からないか」
「そうでね。魂を見れば本人か分かりますが流石にどこにいるのか分からない人を探すことは出来ません」
二人の間の空気は重くかなり深刻そうに話している。
二人の間に入っていくことが出来ない
「私はどうしてもルークに会いたいから見かけたら教えて どんな姿をしていても気にしないから」
カミラの話から察するにソフィアに俺を探すようにお願いしているのだろう。
カミラはかなり暗い顔をしているしソフィアも申し訳なさそうにしている。
カミラにはルークを見つけれていないせいで申し訳なさそうにしているように見えるがおそらく俺の正体を黙っているのが申し訳ないのだろう。
「いろんなところに行っているソフィアでも見つけることが出来てないのか、そんな申し訳なさそうにしないで、見つからないのはソフィアのせいじゃないから」
「い、いえそういうわけでは」
ソフィアが声を詰まらせながら言い訳をしている。
このままではソフィアが俺の正体を暴露しかねない。
「ふ、二人は何を話しているの」
俺も声を詰まらせながら声を発する。
慌てて声を上げたせいで話の内容を考えていないため急いで考える。
「ん、デニスちゃん起きたの相変わらず早いね。もっと寝ないと大きくなれないよ」
カミラは俺の方を見ると先程までは険しい顔をしていたが途端に優しい顔に変わる。
「そんな心配そうな顔をして大丈夫だよ。私はずっとデニスちゃんの傍にいるよ」
どうやら俺がカミラがソフィアに取られるかもしれないと思っているのかもしれない
「そんなんじゃないし」
俺が急いで顔を反らす。自分でもわかるくらい顔が赤くなっている。
そんな俺の姿を見るとカミラは俺の傍に行き抱き着いた
「もーデニスちゃんはかわいいなーずっとこのままでいてね」
俺の頬に自分の頬を当てるとすりすりしてくる。
カミラは前世ではこんな行動をしなかったが最近では俺限定でこの行動をするようになった。
彼女はこんなにスキンシップは多くなかったはずなのに
「そんなことないし、もうどんどん成長してクラスで一番大きくなるし」
俺は照れ隠しで言い訳をする。
「んーこんなにかわいい女の子のデニスちゃんじゃ身体的に男の子に叶わないから無理だよー」
カミラに言われて俺は虫唾が走った。
他の誰かに言われるのはいいけど前世からの付き合いであるカミラにかわいい女の子と言われるのはとても恥ずかしい
俺とカミラのスキンシップを見るソフィアは何やら難しい顔をしている。
「はーこれなら本当のことを言ってもいいのではないのでしょうか」
ソフィアがため息をつく。しかしソフィアよもっと小さな声で独り言を言ってほしい。そうしないとカミラに声が聞こえてしまう。
しかしカミラは俺にスリスリすることに夢中で聞こえなかったようだ。
「もーいい加減にして、今から朝の訓練に行くから」
俺がカミラの拘束から抜け出すと部屋に向かって走りだす。
二人の間にあった重たい空気がなくなった。これなら大丈夫だろう。
そう思うと途端に恥ずかしくなった俺は部屋の中に急ぐ今はとりあえず少しでも多くの汗を流したかった。
「本当のことか」
何かカミラが呟いたように聞こえたが部屋に入った俺には聞こえなかった。




