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53話 扱いを改め

俺とエマちゃんとレットの三人で寮に向かう。

「そういえばソフィア…さんは今どこにいるの」

今日エマちゃんと再会してからソフィアを見ていない。

てっきりカミラと同じようにエマちゃんと行動しているのかと思ったが今はどうやら別行動をしているようだ。

「ソフィアは今学園の花壇の方に行っているよ。遠征している時にお世話できなかったから早くお世話したかったみたい」

「あの学園の花壇ってあの公園にある花壇のことですか?」

学園の花壇とは学園の敷地内にある公園の花壇のことだろう

丁度今日俺がレットにその花壇に行こうと提案しようとしていたところだ。

「そうだよ ソフィアはあの花壇を一人で管理しているの」

あの花壇はかなりの広さがある。その花壇を一人で育てているとはとてもすごいことだ。

「あの学園での名所を一人で育てているなんてすごいんですね」

「そうでもないみたいだよ。私が授業を受けている間はずっとあの花壇にいるし枯れてきたら生命力を与えて回復してるし、結構力業だよね」

エマちゃんとレットの間にまだ距離はあるが俺と言う共通の知り合いがいる分なるべく話をして仲良くしたいようだ。


寮の俺の部屋につく。

「本当に私の部屋に入るの?三人じゃ手狭だと思うけど」

俺が念を押して聞いてもエマちゃんは入る気でいるようだ。

「もちろんだよ。話が事実か実際に見て確かめなくちゃ」

何をそんなに気にしているのかと思い俺は扉を開けた

扉を開けるといつものベットと机と小さなクローゼットしかない部屋が現れた。

この部屋を見慣れたレットはそんなに気にしていないようだが初めて見たエマちゃんは顔を真っ赤にしている。

「なにこの部屋絶対部屋じゃなくてもともと倉庫だった部屋だよね。こんなのありえないちょっと学園長に抗議してくる」

エマちゃんはレットの時と同じように怒り出す。

俺はレットの時と同じようにエマちゃんを抑えようとするがエマちゃんの体が大きく抑えることが出来ない。

「エマちゃん私は気にしていないから大丈夫だから」

俺は必死にエマちゃんを止めようとするがなかなか止まらない

「無理やり連れてきてこんなひどい扱いするなんて考えられない。私の時の対応と全く違うじゃない一体なんでこんなに差があるのか聞いてこないと」

「私この部屋気に入っているから大丈夫だから  お願いレットも止めて」

俺は一人で止められないとあきらめるとレットの力を借りようとする。

一人でだめなら二人でだ。

「もともと私もデニスさんの扱いに納得していません。このままエマ様と一緒に学園長室に行くことに私も賛成です」

レットは止めるどころかエマちゃんに賛成のようだ。

結局エマちゃんは俺が邪魔になったのか俺を抱き上げるとそのまま学園長室へ向かった。


学園のある大きな扉をエマちゃんがノックする。

おそらくここが学園長室なのだろう。

「なんだ入れ」

中から声が聞こえて来た。

エマちゃんとレットは臆せず中に入る。

「学園長お話があります」

「おおエマ様ではないですか、この度の遠征はお疲れさまでした。侯爵様も感謝されてましたよ。それにヴァイオレット様も学園生活に不便はありませんかな」

中にいた男は最初入った時は不機嫌そうだったが相手がエマちゃんとレットだと知ると途端に笑顔になった。

「いえ、私は自分にできることをしただけです。それより学園長にお話しがあります。デニスちゃんのことです」

「デニスさんどこかで名前を聞いた…あ~あの期待外れのガキのことか」

学園長の言葉にレットとエマちゃんが途端に不機嫌オーラを出した。

「デニスちゃんの扱いがあんまりではないでしょうか、デニスちゃんに他の学生と同じ扱いをしてください」

「あのガキはエマ様とヴァイオレット様がどういう関係か知りませんがもともと平民で何も才能がないものがこの学園に通うことがおかしいのです。人型精霊と契約したと聞いて期待していましたが能力が身体操作だけとは期待外れもいいとこです。国からの依頼がなければすぐにでも送り返しているところです。」

学園長の言葉にエマちゃんとレットがかなり怒っているようだ。

「それは私とデニスちゃんが姉妹だとしてもですか」

エマちゃんの言葉に学園長は固まった。

「この子は血縁上は私の従妹ですが幼い頃私と姉妹同然に育ちました。精霊と契約しこの学園でソフィアの力を使って働いているのもデニスちゃんとの約束があるからです。彼女の扱いを改めなければ私はこれ以上学園からの依頼を受けません」

エマちゃんに言われて学園長は「それは」と声を出した。

「これ以上私の友人への態度を改めなければ父にこのことを報告します」

さらにレットの言葉で完全に学園長は折れたようだ。

「エマ様大変申し訳ありません。その者には他の学生と同じように扱うことを約束します。ですが彼女はもうCクラスに入ってますので、クラスの変更は出来ません」

学園長に言われてエマちゃんは「それは仕方ないですね」と言う。俺も今頃Aクラスへ行けと言われても困る。

「ですが寮の部屋の変更や学生の態度を改めるように努めますので、どうかこれからも依頼をお願いします。それとヴァイオレット様もどうか報告の方は考えなおしていただければ」

学園長は二人のご機嫌取りに必死だ。

「わかりました。最後にデニスちゃんに謝罪をお願いします」

エマちゃんの言葉に学園長は悔しそうに「すみませんでした」と答える。

二人は話は済んだとばかりに学園長室から出る。

俺は慌てて頭を下げると学園長室を後にした。

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