52話 自己紹介
「本当にデニスちゃんだ」
エマちゃんは俺に強く抱き着いている。
俺は久しぶりに会ったエマちゃんを離すことをせず頭を撫でる。
十歳になったエマちゃんは俺が記憶していた姿より大きくなっている。
それでもエマちゃんが成長した姿だと一目でわかった。
「廊下の騒ぎの原因はエマちゃんだったの」
俺が頭を撫でながら話をする。
「そうだよ。ちょっと遠くへ遠征に行ってて学園に帰ってきたら実家から手紙が届いててデニスちゃんが精霊と契約して学園に行ったて書いてあったから会いに来たんだよ」
エマちゃんは俺に抱き着いたまま話をする。
俺も早く会いたかったのだが今学園にエマちゃんがいないって聞いてがっかりしていたのだ。
「そんなことよりなんでデニスちゃんCクラスにいるの私の時は入学したときにはAクラスだったからてっきりAクラスだと思ったよ」
エマちゃんは俺に抱き着いたまま匂いをつけるように頭をすりつける。この子はペットか何かかな
「私は最初からCクラスだったよ。なんでだか分からない」
しかし俺はエマちゃんを離すことをせずにされるがままになる。
久しぶりに会ったエマちゃんとのふれあいを俺も楽しみつつある。
「だからって一つ一つのクラスを見て回ったのは大胆過ぎる。それに会いたかったら寮で食事の時に会えるはず」
「そんなの待ってられない早くデニスちゃんに会いたかったから全部のクラスを見て回ったの」
どうやら俺の知っているエマちゃんより大胆になったようだ。
こんな貴族ばかりの学園でそんなに大胆で大丈夫だろうか
しばらく触れ合っていると俺は今教室にいることを思い出す
周りを見ると残っている教室のの全員と騒ぎを聞いて廊下に集まっていた生徒が全員俺たちの方を見て固まっている。それはレットも同じだ。
流石に教室の中で抱き合うのはまずかったかなと思いながら苦笑いをする。
「エマちゃんここじゃ目立つから別のところに移動しようか」
俺は諭すようにエマちゃんに言うとエマちゃんは抱き着きながらうなずく、そんなに離れたくないのだろうか
俺は立ち上がるとやっとエマちゃんも俺から離れて立ち上がる。
子供の三歳差は大きくかなり身長に差があり並ぶとやっぱりエマちゃんは俺より年上なんだなと実感する。
「レットはどうする一緒に行く」
俺が聞くとレットはやっと正気に戻ったようで「はい、いきます」と答えた。
俺はどこに行くか悩んだが結局食堂に行くことにした。
食堂に行くというとカミラが別行動をすると言い出したため俺たちは三人で向かうことにした。
食堂につくと最初レットが提案した通りパフェを三人で頼む
パフェをもって俺たちは空いている席に座る。
「エマ様お久しぶりです。ヴァイオレット・ラグ・キールです。」
席に着くなりレットはエマちゃんに挨拶をした。少し遅い気がするが彼女も混乱していたのだろう。
しかしエマちゃんは落ち着いている。
「お久しぶりです。ヴァイオレット様お元気そうで何よりです」
昔のエマちゃんとは思えないほどしっかりとした挨拶をする。
エマちゃんも成長したんだなと思っているとレットから「デニスさんとエマ様はどのような関係なの」と質問をされた。
俺がなんて答えようか考えているとエマちゃんが先に話し出した。
「私とデニスちゃんは親戚通しで姉妹のように育った仲です。私の妹のような存在です。」
エマちゃんが答えるとレットは固まっている。今日のこの子よく固まるな
「それよりなんでデニスちゃんはヴァイオレット様と仲良さそうにしているの」
今度はエマちゃんが俺とレットの関係が気になるようだ。
俺はこの学園に来た時にあったことを説明する。
説明すればするほどエマちゃんの表情が変わる。これは怒っている時の表情だ。
エマちゃんは急いで自分の分のパフェを食べ終わると席を立ちあがる。
「今からデニスちゃんの部屋に行くよ」
突然エマちゃんは宣言した。
「エマちゃんまだ私たちは食べてるから待ってね」
俺が言うとエマちゃんは「あ、そっか」と言って席に座った。
エマちゃんは相変わらずのようで俺は安心したのだった。
やっぱりエマちゃんはかわいいですね




