42話 初めて笑いあった二人
俺は今寮の一人部屋にいる。
学園からこの寮まではウィリアムさんに案内してもらった。
今日はウィリアムさんにかなりお世話になった。
本来は寮の食堂で複数人で食べるそうなのだが学園での手続きで遅くなってしまったので俺だけ部屋に運んでもらった。
食事をとり手持ち無沙汰にしているとカミラが現れた。
彼女は寮についたとたん探索してくると言いどこかに行ってしまったきりだった。
「デニスちゃんご飯は食べたの」
「はい、食べました。今日はこの部屋で一人でしたけど明日からは寮の食堂で食べるそうです」
俺は答えるとカミラは頬を膨らました。
「またデニスちゃんは敬語になっているよ。いい加減敬語はやめてほしいな」
カミラにはいつも俺に敬語をやめるように言われる。
だが前世のせいかついつい彼女には敬語になってしまうのだ。
「ごめんなさん。見た目が年上なのでついついなってしまうんです」
「いい加減慣れてね。あとまた敬語になっているよ」
彼女の言われてまた敬語になっていることに気が付いた。俺は「気を付けます」と言うとカミラはうなずいた。
「そういえば何か面白いものはあった?」
カミラは長い時間寮の中を探索していた。本当は俺も探索したかったのだが今日は寮の中から出ないようにと言われているため行けなかった。
「うーんそんなに面白いことはなかったな、でも他の街よりも精霊と契約している人が多かったよ」
ウィリアムさん曰くこの学園はこの国で貴族が多く通う学園だ。
入学金が高く、入学試験はかなり難関だと言われている。
この学園を卒業するのは一種のステータスと言われているほどだ。
俺がここに通うのはこの学園を卒業した後精霊の力を使って国の重要なポストに就くためらしい。
そのため俺と同じように強い精霊と契約出来た者がこの学園に入学しているのだろう。
カミラはこんな人がいたよとか男子の部屋は東側で女子の部屋は西側だからデニスちゃんは東側に入らないようにしようねだとか楽しそうに話していた。
彼女は前世では移動する際は必ず護衛が付いていたからかこうやって一人で動き回れるのが楽しくて仕方がないのだろ。
ところどころ俺の心配をしているのは彼女の性格故仕方ないと思いたい
翌日になり俺は起きると日が昇っていた。
今日はまた案内の人が来るそうだからそれまでは部屋から出ないように言われている。
俺は一般的な人よりも早起きなためまだ時間がある。
早く街に出て俺は素振りをするための剣が早くほしいものだ。
盗賊相手にしたときに剣が折れてしまって以来素振りが出来ていない。
仕方なく別の筋トレをしているがやはり素振りがしたい。
俺は物足りなさを感じながら学園が用意した新しい制服に袖を通す。
初めて着る服なおかげで着替えるのに手間取っている。
カミラが見かねて助けてくれようとしていたがカミラも前世では侍女の手を借りて着替えていたせいで結局二人で四苦八苦しながら着替えをした。
着替えが終わり鏡で確認しているとドアがノックされた。
おばさんが俺に食事をもって入ってくると昨日はパンとシチューとサラダだったが朝はパンだけだったようだ。
「あら、もう着替えが済んだのね。初めての子は着替えが出来ない子が多いから手伝うために早めに来たのに」
おばさんはそういうと机に食事を置く。
「はい、カミラさ..カミラと二人で何とか着替えることが出来ました。」
昨日からカミラのことを呼び捨てにするようにしている。
しかしついついさん付けをしてしまう、こればかりはなれるしかないだろう。
俺が言うとおばさんが俺の服装を確認する。するとおばさんはしゃがむと俺とカミラが四苦八苦しながら着た服を少し変える。
「これで良し、少し違うところがあるから明日からはきをつけな。でもこの分だと明日からは一人で着替えられそうだね」
俺はカミラと顔を見合わせると笑いあったのだった。
俺は今世で初めてカミラと二人で笑いあったような気がした。
その姿を見たおばさんは俺たち二人の姿を見て「お似合いの二人だね」と言った。
こうやって二人が仲良くなっていってほしいですね




