39話 首都へ到着
近隣の街から騎士たちの応援が来たことでまた首都に向かって進みだした。
襲われる前と同じように俺はまた一人で外を眺めていようと窓の傍に陣取ったのだが今度はなぜか俺の周りに人が集まってきていた。
「お嬢さんさっきはありがとうね。もうだめかと思っていたけどお嬢さんのおかげで荷物を取られなくてよかったよ。あ、これ私の荷物を守ってくれたお駄賃ね」
そういいながら俺の傍に来たおじさんは俺にお金を渡してくる。
「いえ、私の身を守っただけなので、大丈夫ですよ。お金も大丈夫です」
俺はおじさんからのお金を断ろっているのだが「いいからいいから」と俺の手に握らされる。
そのあとも他の人たちがどんどん俺に話しかけられる。
「お嬢さんは一人でこの馬車に乗っているのよね。あの精霊様と契約したから首都に行くことになったのよね。これから一人で大変でしょうけど頑張ってね」
とまた別の人から話しかけられた。
襲われる前までは盗賊だったおばさん以外あまり話しかけるられることはなかったのだがなぜかどんどん話しかけれられる。
やっと人が途切れるとカミラが現れた。
「デニスちゃんモテモテね。また私のことを忘れてるんじゃない」
カミラが俺にかまってほしそうに現れた。
「カミラさんのことを忘れていませんよ。でもなんでいきなりこんなに話しかけられるようになったんでしょう」
俺がいきなり話しかけれらるようになったことを不審に思って頭をひねっている。
「そりゃデニスちゃんのおかげで大事な荷物が守られたんだからお礼を言いたいんじゃないのかな。やっぱり大事な荷物だからこそ高い馬車に乗ってるんだろうから」
確かにこの馬車に乗るからにはお金に余裕がある人ばかりだろう。ただ一人だけ馬車の端でずっと落ち込んでいるおばさんがいる。
他の乗客の人から声が聞こえてきたがあの人は最初盗賊がこの馬車に入って来たとき刺されてしまったおじさんの家族らしい。
他の人たちはおばさんにどう声をかければいいのか分からないようで襲われる前の俺のように彼女だけ一人この馬車で孤立していた。
本来の予定より二日遅れて俺たちは首都についた。
さすがにこの国の首都なだけあり城壁は俺が生まれた街よりかなり大きい。
首都に入るのに本来であれば検問がある。
しかし本来はこの馬車に乗るにはかなりのお金と身分が必要なためあのおばさんが異常だったのだ。
俺たちはすんなり街の中に入るとどんどん乗客の人たちと別れる。
俺はまっすぐこの街の役所に連れて行かれた。
また役所の中で待っているとドアがノックされる。
外からお姉さんとおじさんが中に入ってくる。
「あなたがデニスちゃんですね。私はこの役所で働いているルーナと申します。こちらはウィリアムさん学園で研究をしている人です。」
「ウィリアムですよろしくね」
二人に頭を下げられて俺は急いで椅子から立つ
「デニスですよろしくお願いします」
「カミラです」
俺とカミラが頭を下げる。
その姿を見るとウィリアムさんが驚いていた。
「まさか精霊様に頭を下げられるとは思っていませんでした」
確かにあまりソフィアが頭を下げているところを見たことがない。
前とある国の貴族に頭を下げろと言われた時「なぜ私が人間に敬意を示さなければいけないのですか」とか言っていた。
だがカミラは元人間で聖女と呼ばれ各国を動き回っていたほどだ。
時には国の重鎮と会うこともあったほどだからかなり人当たりがいい。
「ではこの後デニスさんの予定を説明させていただきます」
ルーナさんがこの場を仕切り始めた。
「まずデニスさんには全寮制の学園に入っていただきます。すでに入学している人がいますから編入という扱いになります。そこで十五歳になり卒業するまで通ってもらう予定です。学園に通っている間に精霊様の力をお借りしたい時はお願いします。その後は国のために働いてもらう予定です。」
ルーナさんの説明を聞いていたが俺の人生は前世とは全く別になりそうだ。
しかし俺は一つ心残りがある。それはエマちゃんとの約束が守れないということだ。
そういえばエマちゃんは今この街にいるのだろうか。説明が終わったようなので聞いてみることにした。
「あの今この街にエマちゃんはいるんですか?」
「すみません。この街にエマという人はたくさんいますのでよかったら特徴を教えてください」
確かにエマという名前はそんなに珍しい名前じゃない。
「あの三年前精霊と契約してこの街に来たエマちゃんです。契約した精霊の名前はソフィアです」
俺がいうとウィリアムさんが驚いた。この人は良く驚く人だな
「君あのエマさんの知り合いか」
「はい、そうです」
俺が返事をするとルーナさんも驚いていた。エマちゃんはそんなに有名なのだろうか
もう少しでエマちゃんが出ます。楽しみですね




