33話 遠征からの帰り
ある日俺達は隣の国で流行っている疫病を治め国に帰っていた。
今は休憩のため野営をしている。
俺は休憩をしようとテント内で休んでいると外から声が聞こえてきた。
「ルーク様いらっしゃいますか」
その声に聞き覚えがあった。カミラ付きの侍女だ。
俺は返事をして外に出る。
「ルーク様お休みのところ申し訳ありません。カミラ様よりゲームのお相手をして欲しいそうです来ていただけますか」
侍女は申し訳なさそうに言う。基本的にカミラの相手はその時担当の侍女がするのだがたまに遠征に参加している者がすることがある。
俺が入る前は先輩騎士ロージーが担当していたそうだが、俺が参加する様になってから俺が呼ばれるようになった。
「いえ、聖女様のお相手ができて光栄です」
俺は侍女に返事をするとそのままカミラのテントに向かった。
「聖女様ルークです。入ってもよろしいでしょうか」
「どうぞ」中からの返事が聞こえると中に入る。
そこには聖女様がテーブルに座っていた。
俺はテーブルの側に行く。
少しの間無言でカミラが俺を見つめるが、俺は彼女の許しがなければ席には座れない。
しばらく経つと彼女はため息と共に「どうぞ」の声を聞き着席した。
しばらくカミラとボードゲームをした。
昔彼女の家で遊んでいたものと同じゲームだ。
昔は彼女と五分五分の勝負だったが今は彼女の方が強い。
俺がこの職についてから何度も彼女の相手をしているが毎回惨敗だ。
今のところ結果は五戦五敗だった。
ゲームの最中は彼女から「騎士として不便なことはない」とか「今のところ順調ね」とか話かけられるが「すべて聖女様のおかげです」と答えるとつまらなさそうな表情をする
彼女は五戦目が終わった後しばらくつまらなさそうにしていた。
彼女はいつも俺とゲームすると最後のほうはつまらなさそうにしている。そんなにつまらないのなら俺を呼び出さなければいいのに。
それでも彼女は続きをしようと準備を始める。しかし俺の休憩時間はもう終わりだった。
「聖女様申し訳ありません。あと少しで私の休憩が終わってしまいますので、ゲームのお相手はここまででお願いします。」
俺の言葉に彼女が驚く。
「あなた休憩中だったのに私の相手をしていたの!?キチンと休憩しなさい」
彼女は珍しく俺の心配をした。
「問題ありません。私は仕事に戻ります。明日も早いですので聖女様はお休みください」
俺の言葉に「無理はしないでね」と彼女は返して俺はカミラのテントを出た。
翌日キール国に入ると途端に魔物の数が増えた。
オオカミの魔物や熊の魔物に頻繁に襲われたが他の騎士達と協力して皆怪我なく撃退をした。俺以外はだが、俺たちは熊型生物十体の相手をしている時最後の一体を仕留めたと思い油断していた隙に生き残っていた魔物からの攻撃を受けてしまった。
幸い命に別状はなく腕が一本折れてしまったが近くにいた他の騎士に留めをさされ魔物を撃退した。
「おい大丈夫か」
隊長が俺を心配してか駆け寄ってくる。
「すみません油断しました。」
「油断するなと言っただろ、下手したら死んでいたんだぞ」
隊長がそういうと俺の傷を確認する。
しかし言い訳をさせて欲しい。昨日の休憩中カミラの相手をしておりまともに休憩が出来なかった、そして昼の休憩も魔物が頻繁に襲われまともに休憩を取れていない。
寝不足が重なってしまい集中力が途切れてしまって怪我をしたのだ。
隊長に俺の怪我を見てもらっている時突如「ルーク!」と俺を呼ぶ声が聞こえてきた。
声の方向を見るとカミラが俺の方に向かって走ってきたのだ。
侍女が「聖女様危ないですのでお戻りください」との声を振り解き俺のそばまでやってきた。
「怪我をしたのね見せなさい!これは腕が折れてるわねソフィア回復魔法使うわよ」
「カミ・・・聖女よこの騎士は怪我をしてあなたを守ることが仕事なのです。そんなあなたが危険な場所に自らきてどうしますか。この者に命に別状はなさそうですので安全が確保できるまであなたは馬車に戻りなさい」
ソフィアが出てくるとカミラにお説教を始める。
「いいから早くしなさい」
カミラの声にソフィアはため息を一つ吐くとそのまま魔法を使う。
魔法に包まれ俺の怪我がどんどん治っていく。
俺の怪我が完全に治ったことを確認するとカミラはやっと安心したようだ。
俺は「ありがとうございました」と治療をしてもらったお礼を言う
「全くあなたは休憩をおろそかにするから怪我をするのです。これからはキチンと休める時は休みなさい」
彼女からお小言を貰ったのだった。
そのあと周りの安全が確認出来ると隊長から休憩の指示がでる。
長いこと休憩が出来ておらずついに怪我人が出たため一時休憩をすることになった。
騎士達は3回に分かれ順番に休憩をする。俺の順番は最後だったのだが何故か3回とも休憩をするように命じられた。隊長曰く聖女様より「治療したばかりだから無理をしないよう」言われたからだそうだ。
結局日程は遅れて首都が見えてきたのは一日遅れになった。
首都が見えてくると騎士団がざわつき始める。
なぜなら首都が燃えていたのだ。




