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19話 赤っ恥

初めて道場破りをしてから数か月がたった。

いつもの剣のみを教える道場に通いながらたまに別の道場に道場破りをしに行っていた。

おかげでこの街の道場ではちょっとした有名人になった。


今日は道場に行くのはお休みしてレイアと日常品の買い物をしに来た。毎日激しい訓練をしているがたまには軽い訓練にして体を休めるのも大切だと思っている。

「デニスはなにか欲しいものはある?」

「特に急ぎで必要なものはないかな、でも今使っている手袋に穴が空いているから替えが欲しいかな」

そういうとレイアは俺の手を何度も握る。

「デニスの手かなり固くなったわね、やっぱり毎日剣を振ってるからかしらね。」

「そりゃ頑張ってますから、それに大事な目標があるからね」

「そうね、なんであれ目標があることはいいことだからね」

そういうと最初は道具屋に行くことになった。


道具屋に入ると何人かの少年が買い物をしていた。

だが俺を見ると全員顔を青ざめてそそくさと出て行ってしまった。

レイアが「何事かしら」と首を傾げながら俺の手の大きさに合わせた手袋を選んでレジに持っていく。

レジのおばさんがかなり不機嫌そうな表情をしながらお会計をする。

「出来ればこのピークの時間はこの子を連れて店に来ないでください」

レイアが不思議そうな表情をしている、俺も意味が分からず「何でですか」と聞くとおばさんがあきれながら答える。

「あんたが来ると店に来ていた客が逃げるからだよ。あんたに来られると他の客が逃げて売り上げが落ちちまうじゃないか」

この話はやばいと思いながら俺は話を終わらせようと「早く次の買い物に行こう」と言う。

だがレイアは俺の焦った顔を見てなんかあると気づかれたようだ。

「うちの子なんか悪いことしてるんですか?」

これはやばい俺はレイアたちに道場破りをして回っていることを内緒にしている。

さすがに6歳の子供が複数の道場に乗り込んで回ってるなんてバレたらお説教されるのは間違いない。

俺はレイアの手を引きながら早く店を出ようとするがレイアは話の続きを聞こうと動こうとしない。

毎日剣を振っている俺でもまださすがに大人一人を動かすほどの力はない。

「なにって、この子はこの街のほとんどの道場に乗り込んで全戦全勝して回ってるじゃないか、それも騎士団入団試験を受けるような子相手でも簡単に勝ってトラウマを与えて回ってるもんで、道場に通っている連中からは小剣姫なんて呼ばれて恐れられてるよ。話は終わりだ、早く出て行ってくれよ。この子がいたら客が逃げてしまう。」

小剣姫なんて呼ばれているとは知らなかった。なんて恥ずかしい名前だ。

俺がそう思っているとレイアは顔を真っ赤にしながら「失礼しました」と言うと俺の手を引いて急いで店を出てしまう。


店を出ると次の店に向かいながらレイアは俺に笑顔で話しかけた。

「家に帰ったら少し長いお話があります」

レイアの顔を見ると口では笑っているが、目は笑ってなかった。

俺は最後の抵抗をしようと「家に帰ったら手袋を手になじませるために素振りをしようと思ってます」という。

「そんなママ相手に逃げたりしないわよね 小剣姫さん」

その言葉とレイアからの圧に俺は圧倒され「はい」と答えるしかなかった。

俺は少しでも家に帰る時間を少しでも遅くしようとわざと時間をかけて買い物をするのであった。


その日のルーカス達3人が帰って来たがまだ夕食の準備が終わってなかった。

理由は単純に俺のお説教が長引いたからだ。レイアは家に帰ってくると3時間以上も正座をさせられお説教は続いた。

今日の夕食はもちろん俺の話題になった。

「全くもう恥ずかしくて仕方なかったわ」

「まあまあ元気な証拠じゃないか、このくらいの年の子は元気すぎるくらいがちょうどいいよ」

とレイアとルーカスは話している。だが俺にも言い分はあるのだ。

「ちゃんと道場に行くって言ってる 何も間違ったことは言っていない」

そういうとレイアはこっちを向いた後「あらまだお話がし足りないのかしら、小剣姫さん」と言われると俺は首を横に振るしかなかった。もうあのお説教はこりごりだ。

「ほんとデニスちゃんは元気よね、これは将来楽しみだわ」

おばさんの言葉を聞きそうだそうだと思った。

「でも元気すぎて困りものよ。今度から私も道場に行くの付き添うからね」

付き添われるのは困るこれではもう道場破りに行けないじゃないか。

「大丈夫です。寄り道せずにまっすぐ道場に行きます。」

「そういって他の道場にまっすぐ行く気でしょう」

さすがレイア鋭い、俺は「行きません」と答えることしかできなかった。



あと少しで元幼馴染が出せそうです。

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