152話 レットへのサービス
とりあえず先ほどのシエンナさんの話を聞いて明日か明後日には出発すると言われた。
ここ二年でエマちゃんの遠征には俺がほぼほぼ同行しているためもちろん俺も参加することになる。
俺の生まれた街が今病で大変な事になっている。
もしかしたら俺が知っている人が今病に犯されて今も苦しんでいるかもしれない。
俺自身が何ができると思えないがそれでも心配で仕方がない。
どうしたらいいのだろうかとついつい考えてしまう。
「ちょっとデニスさん話聞いてる?」
「え、?ごめんなんだっけ?」
「さっき話を聞きに行ってから何か変だよ」
シエンナさんの話を聞いてから寮の部屋に帰る。
もちろんレットと約束をしているためレットと合流した。
しかしレットと合流してからもさっきのシエンナさんの話が気になってレットの話が全く頭に入ってきていなかった。
「だから、さっき何で呼び出されたの?って聞いてるの」
レットは俺の顔をふくれっ面で見ながら抗議をしてくる。
もちろん俺がレットの話を全く聞かずに考え事ばかりをしていることが原因だろう。
今レットと二人で帰っているのにレットの話を全く聞かずに自分のことばかり考えるとレットに失礼かと考え直す。
「ごめんごめん。さっきの先生からの話はまたエマちゃんが遠征に行くらしいからその付き添いの話だったんだよ」
別に今までもこんなことたまにあったことなのでレットに隠すことではない。
「あーまたエマ様の遠征に同行するの」
俺がまた遠征に行くというとレットは残念そうにする。
もちろん俺が遠征に行くとなるとレットとしばらく会えなくなるからだろう。
「大丈夫だよ。また帰ってきたらレットのお世話ちゃんとやってあげるから」
今は週に一回エマちゃんとレットのお世話をそれぞれしている。
もちろん本格的な侍女さんとおなじことをしているわけではないがそれでも二人が満足行く様考えながら接する。
もちろんお給金をもらっているから当たり前なのだが、それでも俺なりにも考えているのだ。
「帰ってきたらデニスさんにお世話をたくさんしてもらうけど、それでもやっぱり何日も会えないのは寂しんだよ」たくさんお世話をするのは当たり前なのか
レットにとって俺の存在価値がだんだん分からなくなってきた。
レットとはもう三年の付き合いだ。
おかげで彼女のことが大体わかる様になってきた。
レットはさすが王族と思うほど大たすうの相手にはしっかりしている
しかし俺や心を開いている相手には負けず嫌いで寂しがり屋な姿を見せてくれる。
こういうところはやっぱり子供らしくかわいいと思う。
俺はレットの側に行くと頭を撫でる。
「ちょっとデニスさん恥ずかしい」
俺とレットの身長は大体一緒くらいだ。
だから頭を撫でるとレットの顔がすぐ近くに見える。
今見えているレットの顔は真っ赤で恥ずかしいそうだ。
「しばらく会えなくなるかもしれないからたくさん甘えさせてあげる」
レットは恥ずかしそうにするがそれでも逃げようとしない。
これはこのまま続けて欲しいとの意味で受け取り俺はしばらく頭を撫で続けた。




