14話 新たな目標
役場を出たあと俺たちは無言で歩いていた。
俺はおじさんとおばさんと手を繋ぎ家までの道を歩いていた。
ほとんど俺が外に出る時はエマちゃんが側にいてくれていつも手を引いて笑いかけてくれていた そんな彼女ともうこの町で手を繋いで歩くことが出来ないと思うととても悲しく思ってしまう。
俺たちは無言のまま家に着いてしまった。
「「「ただいまー」」」
「おかえりなさい」
家に入るとレイアが料理をしており俺たちを迎えてくれただが、その中にエマちゃんがいないとわかると少し暗い表情をしている。
レイアも実の娘のように育ててきた彼女がいないと分かり彼女も寂しそうだ。
その後今日は早めに帰ってきたルーカスと風呂を済ませて食事を始めた。いつもいた彼女の席が空いている。
話によるとルーカスも今日仕事が手につかず早めに帰ってきたそうだ。
その日の食事は暗かった。いつも我が家で笑顔を振る舞いてた彼女がいないとこんなにも違うのかと改めて感じた。
みんなが暗い表情で食事をしているが俺には新たな目標がある。騎士になってエマちゃんと一緒に過ごすという大事な目標だ。俺はそれを叶えるために一日も無駄に出来ない。そして今日はちょうど皆揃っているここでお願いするのはちょうどいいだろう。
「パパママお願いがあるの」
俺が暗い雰囲気の中突然の声皆が振り向いた。
「なにかな もう少しで誕生日だからなんでも聞いてあげるよ」
笑顔でルーカスが答えてくれる。なんでもとは丁度いい。
「私騎士になりたいのだから剣術の先生のところに通わせて」
ルーカスは驚いた表情で俺に言い聞かせるように答える。
「デニスは騎士になりたいのかな、でもデニスは女の子だからもっと安全なお仕事がいいんじゃないかな。家の仕事をするのだっていいんだし」
ルーカスはそういうと家の仕事を進めてくる。たしかに家の仕事を継ぐのも安定していて安全だ だが俺もエマちゃんとの約束があるから引くわけには行かない。
「私は騎士になりたいもう決めた」
「デニス騎士になったらこの家を出ないと行けなくなるのよ。怪我もたくさんするしもしかしたら死んじゃうかもしれない。そんな危険なお仕事につかないでずっと家にいましょ。あなたはまだ小さいんだしもっと考えましょう。お仕事をしたいならパパのお手伝いでもいいじゃない。パパのお手伝いじゃなくても家のことしてくれればいいんだし ね、もっと考えて」
レイアが俺に言い聞かせるように俺にはいう。
おじさんおばさんも頷いている、今日エマちゃんが家から出て行ってしまったのだ、そんな中俺まで将来家を出たいと言い出したのだ、皆寂しいに決まっている。
「私は将来騎士になってエマちゃんに会いに行く。そしてエマちゃんと一緒に働くって約束した。パパとママにはおじさんとおばさんがいるけどエマちゃんはこれから一人になるんだから私が一緒にいてあげる。エマちゃんだけに寂しい思いをさせたくない」
俺の言葉に四人は圧倒されている。レイアが言い返そうとするのをルーカスが止めた。
「わかった先生を探しとくよ」
「あなた!」
レイアが驚いた声を上げた
「いいじゃないか、デニスはまだまだこれからなんだし好きなことさせよう。それに強くなっておくのに損はないんだし」
その日の食事は少し荒れたがこうして俺は騎士への第一歩を踏み出した。




