145話 自室にて墓穴
「ハア、なんでこうなったんだろう」
俺は自室に戻ってきた途端ベットに倒れ込んだ。
本当になんでこうなったんだろうと自問自答してしまう。
あの後エマちゃんの部屋でエマちゃんとレットの会話がどんどん話が進んだ。
それも俺の話のはずなのに全く話について行くことが出来なかった。
しかも二人揃ってまだまだ侍女の勉強が終わっていないはずの明日からの侍女のシフトを二人で考え出した。
しかもなんで俺に休憩時間が0で睡眠時間も相当短いのか。
朝の訓練時間も取られていなかった。
二人がどんどん大きな声でテンションを爆上げしながら話ているせいで俺は二人よりも大きな声でツッコミを入れていた。
そのせいで今の俺は声が枯れている。
本当はカミラと二人で今日の振り返りをしたかったのだが喉が痛くて話をすることも出来ない。
「はいはいルーク、寝るんだったら服を着替えないとシワがつくよ」
一緒に帰ってきたカミラが今の俺の姿を見て開口一番の言葉がそれである。
これじゃあまるで
「カミラはお母さんみたいだね」
ついつい言ってしまった。
そして言ってしまったことを後悔してしまった。
なんで喉が痛いはずなのに無理してこんなことを言ってしまったのだろう。
今のカミラの顔はとても般若のようだ。
今のカミラの顔はさっき俺がエマちゃんの命令で侍女の勉強をしていると知った時のレットの顔と同じような気がする。
そう考えると大丈夫なような気がするが今回はレットと違いカミラだ。
きっとレットの時のような単純な話にはならないだろう。
かみらはレットのような単純な思考をしていない。
これはレットが単純バカだとかカミラが捻くれているという訳ではない。
レットはまだまだ子供の為世間の厳しさを知らないがカミラは前世でも大人として育ったためその分大人らしい考え方をしているというだけだ。
だからカミラがレットと同じくらい怒っているということはレット以上に怒っているということだ。
俺は疲れている頭をフル回転させてどうやって謝ろうか考える。
しかしいいアイデアが思い浮かばない為こうなったらいつもの剣術通り受け身の姿勢になるしかないか
「あのねルーク。私とあなたは同い年なのわかる?同じ年に生まれて同じ年に死んだの。だから私はあなたの母親じゃない。分かった」
カミラは顔は笑顔だが目は笑っていない。
正直怖い。
こんなカミラ見たことない。
そこでふと思い出した。
「それを言うなら俺が七歳の時にカミラと契約したから俺の方が年上じゃ」
さっきはカミラのことを母親と言ったが性格には俺の方が年上のような気がした。
それをいった瞬間カミラは俺の方をさらに睨む。
その顔を見るとさらに申し訳なくなりすぐに「ごめんなさい」と土下座をする勢いで誤った。
俺のその姿を見たカミラは「よろしい」と言うとそのまま椅子に座る。
今日はとっても疲れた為このまますぐに着替えて寝ることにした。
このまま起きておくとまた墓穴を掘そうな気がするし。
俺は逃げるようにベットに潜り込んだ。
カミラの母性は半端ないです。




