133話 夜の振り返り話
あの後エマちゃんの才能に負けたレットは突然憂さ晴らしかのように「甘い物が食べたい」と言い出した。
ここで甘い物とはさすが子供というか女子と言うか、しかしここでレットに付き合うのも友達かと思い了承した。
そこで空気があまり読めていないエマちゃんも行くと言い出して、結局三人で食堂に行って甘いものを食べた。
食べてる時も悔しさを爆発するレットと俺に構いたがるエマちゃんに挟まれて大変だった。
俺一人でこの二人を相手する必要がありとても大変だった。
それを察したのかテオ君とカミラの二人は参加しなかった。
くそ、今度同じ目に合わせてやると心に誓った。
「今日は大変だったね」
その日の夜レットとエマちゃんと別れた俺は寮の自室に戻ってきてカミラと今日の出来事を振り返った。
この学園に通うようになった頃を思い出す。
俺はカミラに正体をバレてはいけないと思って俺から会話を振ることをせずカミラから話しかけてきた言葉に最低限の言葉で返答するだけだった。
その返答も正体に気づかれないようにしていたため常に気を使っていたな。
結局カミラにバレて今は全く気にする気を使うことなく話している。
おかげで毎日カミラとその日のことを振り返るのが楽しくて仕方がない。
今日の話の話題はもちろんレットとエマちゃんの試合だった。
「そうね。私もエマちゃんがあんなに魔術を使えるなんて思ってなかったよ」
確かにエマちゃんがあんなに魔術の天才だと思っていなかった。
まだちゃんと相手をしてもらったことがないが、剣術もかなりの腕だと聞いている。
エマちゃんがこんなに天才だとエマちゃんの家族と学園の中で噂になっている俺への期待が相当な物になっている。
「エマちゃんはいつ訓練してるんだろうね」
俺はエマちゃんの生活をだいたい知っている。
そのエマちゃんの生活に剣術の訓練も魔術の訓練も勉強も全てをしているとは思えない。
「さあ、でももしかしたら部屋が片付いていないのはその時間を勉強に使ってるんじゃない」
俺とカミラは顔を見合わせる。
少し考えた結果二人揃って「ないな」と結論を出した。
カミラとはエマちゃんの部屋によく行っている。
行くたびにエマちゃんの部屋の汚さに呆れていた。
ソフィアはソフィアでエマちゃんの部屋の片付けをする気がないみたいなので、エマちゃんの部屋に行くたびに俺とたまにカミラが部屋の片付けをしている。
もし真剣に勉強や訓練をしているのだったらその時もしているはずだ。
しかし俺たちが掃除している時はいつもじっと俺たちを見ているか邪魔をするかの二択だ。
そんなエマちゃんが必死に勉強をしている姿を想像出来ない。
「でもエマちゃんってたまに遠征にいってるよね。その時にしてるんじゃない」
当たり前だが遠征に参加していない俺がエマちゃんが遠征の時に何をしているのか知らない。
もしかしたらその時に剣術のプロや魔術のプロに教わっているのかもしれない。
そう思わないとやってられない。
そういえば今日別れる時エマちゃんに「遠征に行く前の約束覚えてるよね」と言われた。
正直そんな約束したようなしていないような記憶が曖昧だ。
まあ変なことではないだろう。
いつ約束したか忘れていたので調べたら99話なんですね。
大会こんなに長い間やってたんですね。本当はもっと短くする予定だったんですけど。
どうしてこうなった。




