130話 レットVSエマちゃん③
「このままだとレットがやばいな」
テオ君はさっきまで黙って見ていたが二人が睨み合いをしているうちに口を開いた。
始まる前まではテオ君はレットが絶対に勝てないと思い込んでいたが今はどっちが勝つのか目を離せないらしい。
それは俺も同じだ。
二人の戦いを学生では見られないような戦いだ。
現在の状況はエマちゃんの方が優勢だがレットも負けず劣らずの戦いをしている。
このままだとエマちゃんが勝つだろうがレットとカミラの特訓の成果は出ていない。
その時カミラの立てた作戦がうまいことハマればきっと今のレットなら逆転できるだろう。
そして今現在レットの実力をエマちゃんは勘違いしているままだろう。
さっきから苦戦しているがそれでも使っているうち解している技は普通の魔術弾だけだ。
この大会自体は火や水の魔術などの危険な技を放つことは禁止されている。
そうしないと大怪我をしてしまうからだ。
純粋に魔力の塊を放つだけなら大怪我をしないと思われる。
そのルールを知ったカミラが思いついた裏技をレットに教えていた。
またさっきと同じように二人は魔術の構築をする。
俺がいつカミラが考えた作戦を使うのかと思っていたがレットはそれを今だと思ったのだろう。
エマちゃんとレットが同じタイミングで魔術を放つがエマちゃんは予想通り二発魔術を撃ち放ったがレットが出した技は大きな光だった。
観客から悲鳴が上がる。
突然の光に皆驚いたのだ。
それに驚いたのは観客だけじゃない。
エマちゃんも同様に驚いた。
その隙にレットは魔術を最小限の行動で避けてエマちゃんに向けて魔術を打ち出す。
俺の怪我の大体の理由はこの技のせいだ。
いつレットが撃ってくるか分からない光に当たり無理やり魔術を避けようと体を動かして転けて怪我をしたのだ。
なんだか思い出しただけで自分が間抜けに思えて来た。
目眩しを食らったエマちゃんはこのままレットが打ち出した魔術を喰らうと思っていた。
「これで決まったか」
横で見ていたレットも同じように結果が決まったと思ったのか声を荒げた。
カミラも同じようにしたり顔だ。
自分の考えた作戦がうまくいったのだから当たり前だろう。
しかしそのまま当たると思っていたエマちゃんは体を捻りながら避ける。
最小限の動きでまるで見えているように避けたのだ。
そのエマちゃんの動きに俺もカミラもテオ君も驚く。
俺たちも驚いたがそれ以上にレットも驚いたようだ。
しかしここでレットの経験の差が出てしまう。
レットは驚いたままどうすればいいのか分からなくなったようで完全に棒立ちになってしまった。
レットは棒立ちになっているためそのままエマちゃんが放った魔術がレットに当たってしまう。
これで試合が決まってしまった。
レットは前線をしたがそれでもエマちゃんに届かなかったのだ。
レットは悔しそうにしながらグラウンドを去る。
それに続いてエマちゃんも下がるがその二人を観客は拍手で送った。
ついに決着がつきました。
結果はエマちゃんの勝利です。




