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129話 レットvsエマちゃん②

二人はまた先ほどと同じように魔術の構築を始めた。

さっきの二人を見た時は二人の魔術の構築スピードに差がなかったがそれは少しのミスで勝負が決まるということだ。

次もまた二人はほとんど同じタイミングで発動した。

俺は早くも二人の実力は一緒なんだと思ったがそれはすぐに裏切られた。

レットが放った魔術は先ほどと同じだったがエマちゃんはなんと一度に二発の魔術を発動したのだ。

「なっっ」

会場で観戦していた観客全員が驚く。

魔術を同時に二発発動するなんて魔術師専門の騎士達の中でも出来る人が少ないと言われている。

そんな技術がまだ十一歳の子供ができるなんてそんなの学生のレベルを超えている。

このままでは一発はレットの魔術でうち落とせるだろうが二発目は確実にレットに当たってしまう。

それに今から魔術の構築も間に合わない。

このままではレットは敗北してしまう。

会場の観客全員がそう思っただろうがレットと訓練をした俺とカミラはそう思わなかった。

エマちゃんが二発目を放ったのを見るとレットは横に飛びながら回避をする。

先ほどまでレットがいた場所にエマちゃんが放った魔術の二発目が着弾する。

「おおー今ので決まらないのか」

レットが避けたところを見るとエマちゃんが声を上げる。

基本的に魔術の試合はお互いに動くことがなく終わる。

最近の魔術師同士の試合は威力よりも相手より先に魔術を当てることに集中する。

そのため走り回って集中力が落ち魔術の構築スピードを落とすよりその場に立ち止まり相手よりも早く魔術を構築することに集中する。

そのためレットが次の魔術の構築を辞めてその場を離れたことにエマちゃんが驚いたのだ。

その隙を逃さず体勢を崩しながらレットは魔術を構築しエマちゃんに向けて魔術を放つ。

流石に普段よりも構築スピードが遅いがそれでもエマちゃんに向かって魔術が飛んでいく。

しかしそれで簡単に終わることなくエマちゃんはレットが魔術を構築しているところを見てすぐに撃ち落とす魔術を発動して防いだ。

さっきのレットの行動はたまたま出来たものではない。

エマちゃんの実力を知らないカミラだがレットがそんなに落ち込むのなら相当の実力なのだと思い実践で使える技を教えたのだ。

そのためにカミラが打った魔術をレットは避けて俺が必死に動き回って交わすという訓練に付き合わされた。

最初はカミラに打ち返せばいいと言っていたのだが動き回る的を狙う方が訓練になるからと言う理由で俺が的役になったのだ。

最初は全く当たらなく余裕だと思っていたのだがどんどん狙いが正確になって来て俺も何度も被弾しかけた。

被弾はしなかったがそれでも紙一重で回避することが多くなりかすり傷の何割かがこれが原因だ。

流石のエマちゃんもレット相手に手を抜くことが出来ないと思ったのか体勢を崩しているレットに魔術を放つ。

しかしその訓練もしてきたレットは転がりながら回避をする。

しばらくはエマちゃんが魔術を放ちレットが回避するという構図が続いた。

このままではダメだと思ったのかエマちゃんが魔術を打つのをやめそのタイミングでレットが立ち上がった。

まだまだ試合は終わらないがエマちゃんは始めた時と全く変わらない服装で息も上がっていないがレットは服は泥だらけで息も上がっている。

しかしレットはまだ諦めた様子がない。

俺はこの試合から目を離せないでいた。

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