127話 レットの訓練
「それでなんで訓練して欲しいの」
カミラとレットの二人は俺への精神攻撃をしばらく終わった後、攻撃に飽きたのかやっと本題に戻った。
実際の時間はあまりなかったのだろうが体幹かなり長く感じた。
二人は俺のことをいじめて楽しいのだろうか‥…楽しいんだろうなー
「今度の試合をするんだけど、今のままじゃ勝てる気がしないんです。こんなことお願い出来るのカミラさんしかいないんです」
そうなのだ。
レットは別にカミラと二人で俺の精神攻撃をするために探していた訳ではないのだ。
しばらく根に持とうと思う。
「うーんいつも朝している訓練だけじゃ足りないの?」
確かにレットとカミラは朝魔術の訓練をしている。
学園では絶対しないような魔術の訓練をしているはずだ。
「もしかしてこれ以上の訓練出来ないんですか」
歯切りの悪いカミラを見てカミラの限界の訓練だと思ってしまったのだろう。
「そんなことないよ。あの程度が私の限界だと思われるのは心外だよ。ただ、これ以上きつくしてレットちゃんがついて来れるか心配なだけ」
確かカミラは魔術の天才だったはずだ。
エマちゃんもそうだが天才は自分が天才だと自覚していない人がだいたいだ。
だから自分ができる訓練を他の凡人も簡単にできると勘違いしている人が多いのだ。
それなのにカミラはレットの実力を判断してその実力にあった訓練をしていたみたいだ。
それだけでもしかしたらカミラが才能だけの人ではないのかも知れない。
そう思えてしまった。
「それなら教えてください。私は勝ちたいです」
カミラの言う訓練がどれくらい大変なのか分からないがそれでもカミラが進めないのならかなりきつい訓練なのだろう。
そのためカミラはまだまだ回答に渋っている。
もしかしたら怪我するかもしれない。
「レット大丈夫?怪我するかもしれないよ」
流石にカミラがなかなか了承しないため俺も辞めさせようとする。
流石にレットが怪我するところを見たくない。
「私は負けたくない。デニスさんが優勝したんだから私も勝ちたい」
そういえばレットが魔術大会に出る時に私が優勝したから自分も優勝するって言ってたっけ
自分は天才だからって言ってたけどあれ冗談じゃなかったのか。
てっきり冗談だと思っていた。
そうじゃなかったら相手がエマちゃんだと決まった時点であんなに絶望するとは思わなかった。
しかしレットはなかなか諦めようとしない。
「まあそこまで言うなら仕方ないか。でも怪我したらすぐにやめるからね」
なかなか引かないレットにカミラが折れた。
「カミラさんありがとう」
カミラが了承したおかげでレットが今日一番の笑顔になった。
こんなにいい笑顔を見るだけで俺も笑顔になる。
「ならふたりとも頑張ってね」
これから二人は魔術の訓練を始まる。
そうなると俺は邪魔になるだけだ。
俺は邪魔にならないように遠くに離れようとする。
「何してるの。デニスちゃんも手伝うんだよ」
離れようとしたら俺はカミラに捕まる。
「で、でも私は魔術使えないし」
カミラのハードな訓練なんて魔術を使えない俺が受けたら大怪我してしまう。
怪我をすることに慣れているとはいえ進んで怪我したくない。
「なにしてるのデニスさんもやるよ」
しかしレットも俺のことを捕まった。
「お手柔らかにお願いします」
俺は諦めるとその日一日レットの訓練に付き合わされた。
この後三人でめちゃくちゃになりました。




