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120話 決勝戦③

仕切り直しになり次の手を待つ。

やっぱり自分の慣れた戦い方をした方がしっくりくる。

ここで先ほどと同じようにせめて来たならさっきよりも深く踏み込み勝負が決まる。

そうなると俺はヴィクター先輩相手に少し失望するだろうが、そもそも貴族の王子がこれだけ剣術が使えるのだから賞賛されるべきだ。

俺が相手の次の行動に備えていると相手も俺の様子を見ている。

二人で睨み合いになっていた。

「先輩来ないんですか」

とりあえずいつも通り攻めて来ないなら挑発をする。

これで素人やプライドが高い人はこれで単純な攻めをしてくる人が多い。

その方が反撃しやすいので攻めて来ないかなという期待があるからだ。

しかしヴィクター先輩はそんな単純な手に乗らずに睨み合いが続く。

ここは自分から攻めるべきかなと思いだしたところついに痺れを嫌いたヴィクター先輩から動き出した。

それは先ほどとは違うがエマちゃんが言っていた行動の一つのため事前の予習通り、さっきと同じミスをしないように自分の間合いに気をつけながら備える。

予習していたのと同じ動きかと思いニヤりと笑いながら備えるといきなり予習していない動きをしだした。

俺は慌てて体を捻り攻撃を躱す。

なんとか回避は間に合ったがそれでも無理な体勢で躱した影響でバランスを崩してしまう。

地面に転がったところヴィクター先輩は追撃を仕掛けてきた。

先ほどのヴィクター先輩と同じように転がりながら必死に躱す。

ヴィクター先輩もこの好機を逃すまいと必死に追撃をする。

さっきは立ち直り機会を与えたのだから俺にもその機会が欲しいと願うがそんな機会を与えてくれるはずもなくギリギリの回避を繰り返す。

なんとか転がりながら立ち上がるとやっと追撃をやめてくれた。

エマちゃんは簡単に勝てると言っていたが全然そんなことないじゃないか。

これだけ苦戦した原因は予習通りの行動しかして来ないと思って相手の別の行動に備えなかったことが原因なのだが。

「お前本当に年下か」

ここでヴィクター先輩は試合で始めて声を上げる。

始める前の一言しか声を聞いていなかったためあまり試合中に話したりしない人なのだと思ってた。

「そうですね。学年は下ですね」

本当は前世を比べると俺の方が彼の倍以上生きているのだがそれを言うわけにはいかないため含みのある言い方をする。

「なんだか含みのある言い方だな」

俺の言い方が少し気になったのかヴィクター先輩にも言われる。

しかしここで細かく説明するわけにはいかないから笑うだけで済ませる。

相手もこれ以上話は出来ないと分かったのか顔を引き締めた。

その表情をみて俺も剣を握り直す。

最初に動き出したのは先ほどと同じようにヴィクター先輩だった。

次はどんな動きにも対応しようと相手の行動全てに集中する。

この年の子相手にこんなに集中しないといけないとはヴィクター先輩は天才なのだろう。

この才能が俺にもあればといつも願ってしまう。

前世の俺は魔法の才能もなければ剣術の並の才能だった。

しかしカミラの元に戦うという目標があったため必死に努力と先輩に戦い方を聞いて回った。

そのおかげで同期の中でもかなり上位の実力になったのだが最終的には俺の実力が足りずにカミラを守ることが出来なかった。

だからヴィクター先輩の才能が羨ましい。

今は俺が推しているが、五年十年後は全く歯が立たないかもしれない。

俺はそれを悔しく思いながら剣を握り直した。


次回で終わります。

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