116話 貴族の絶望
この騎士ロリコンだったのかと驚いているがすぐ側にいる二人は怒りで限界といった雰囲気だった。
「おい、俺が命令しているんだぞ。早くしろよ」
この貴族は完全に調子に乗っているのか楽しそうに言う。
こんなこと言われても俺は大丈夫だがエマちゃんとレットがキレていないのが意外だ。
こういってはなんだがレットとエマちゃんは俺に過保護なところがありこんなこと言われたらキレちらかして
いてもおかしくないのだが。
「おーい、エマ様は見つかったか」
流石にこの騎士の言うことに従うことが出来ずどうしようか考えていると別の方向から声が聞こえてきた。
流石に跪いているためその方向を見ることが出来ないが男の声で間違いない。
「ケイブさん、はいエマ様発見しました。それでヴァイオレット様に護衛もいないようですので応援を頼もうと思っていたところです」
ん?そういえばこの声聞いたことあるような。
それにケイブって名前も聞いたことがある。
どこでだろう。多分あったことあると思うんだけど
「おう、それはいいんだがこれはどういう状況だ。」
俺の前まできたため少し頭を上げてケイブさんの顔を見る。
すると少し前エマちゃんとレットとカミラの四人で買い物に行った時について来た護衛騎士だった。
あれからあっていなかったため完全に忘れていた。
「あーこれは平民風情がなめった態度をとっていたので少しお灸を据えようと思いまして」
ケイブさんが言うこの状況とは俺がこの騎士に跪いているところだろうか。
まあ俺の身分だけみれば何も間違ってはいないとはおもうのだけど。
「馬鹿野郎なにやってやがる!」
この騎士の話を聞いたケイブさんはいきなり騎士の顔を殴りつけた。
「デニスさんうちのバカがすみません。すぐに頭を上げてください」
ケイブさんは騎士を殴りつけるとすぐに俺に謝る。
ケイブさんがいいのならと思い俺も立ち上がる。
「ケイブさん何をしてるんですか」
騎士も突然のケイブさんの行動に理解ができないようで混乱をしている。
「ネイハム、この人を誰だと思ってやがる」
ケイブさんはまだ怒ったままだ。
それよりこの人ネイハムって言うのか今まで一度も名前を名乗らなかったから知らなかった。
「ヴァイオレット様の侍女で平民でしょ。ケイブさんも何を言ってるんですか」
ネイハムは状況が理解できないようで混乱している。
「馬鹿野郎。この人は侍女なんかじゃない。この人はヴァイオレット様の親友で、エマ様の妹のデニス様だぞ」
ケイブさんのことを聞いてネイハムさんは驚いている。
そして俺も驚いている。
俺はいつの間にかレットの親友になっている。
さらにエマちゃんの妹になっている。
全く違う訳ではないのだがなんだが俺はの立場が誤って伝わっている。
本当はレットとは親友でいいのかもしれないがエマちゃんとは従姉妹のはずなのだが。
ネイハムも俺と同じように驚いている。
そんなに驚くことだろうか。
「ケイブ騎士私からお話が」
俺とネイハムの二人が驚いていると先ほどまで一言も話さなかったレットが口を開いた。
ケイブさんもレットの方を向く。
「この者は?」
レットはいつもに比べかなり声が低くかなり怒っているように見える。
「この者は我が隊に最近配属された騎士でございます」
ケイブさんも相手がレットのためかそれとも怒っていることが分かっているからなのか緊張が伝わってくる。
「ということであればこの者も私を護衛することがあるということでしょうか」
「その通りでございます」
ケイブさんの部下と言うことはレットやエマちゃんを護衛することが仕事ということだ。
「私はこの者に護衛をされたくありません。私にはつけないでください」
「かしこまりました」
このレットの我儘と言われてもおかしくない発言をケイブさんはすぐに了承する。
「私もレットちゃんと同じ意見です」
そこでさらにエマちゃんもレットと同じようにいう。
ネイハムさんの方を見るとレットとエマちゃんに言われて放心状態と言った状態だった。
よかったね。デニスちゃん。変態の魔の手から逃れたよ!!




