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114話 必勝の練習

「エマちゃん本当にいいの」

先ほどエマちゃんが意味の分からないことを言い出すと馬車を飛び出しある程度広い広場に向かった。

「本当は私もデニスちゃんに剣を向けたくないけど、デニスちゃんがどうしても勝ちたいと言うから手伝うんだよ」

俺とレットは飛び出したエマちゃんを追いかけてきた。

「そっちじゃないくて誰にも言わずに来たから皆心配しているんじゃない」

「あ・・・・」

エマちゃんは誰にも言わずに飛び出して来たため騎士達の中ではエマちゃんとレットと侍女の三人がいきなり消えたように見えただろう。

あれ?このままじゃあ侍女と思われている俺が怒られる気がする。

「大丈夫。すぐ戻ればバレないよ」

エマちゃんは汗を流しながら言う。

「エマ様流石にまずいと思います。今騎士達が大慌てしている頃だと思います」

黙って俺達についてきたレットがツッコミを入れる。

さすが精神年齢大人のレット騎士達のこと分かっている。

「時間がないからすぐにやるよ」

エマちゃんは慌てて程よい長さの棒を三本拾った。

「デニスちゃんは一本でいいよね」

そう言いながらエマちゃんは俺に剣を一本渡す。

まだエマちゃんの考えていることが分からないがとりあえずエマちゃんから距離を取り棒を構える。

するとエマちゃんはヴィクター先輩と同じように両手で棒を構えた。

「ちょっと待ってエマちゃん二刀流出来るの!?」

エマちゃんの構えに違和感がない。

それどころか慣れたふうに見える。

「別にこれくらい普通じゃない。そんなに難しくないよ」

エマちゃんにとって二刀流は難しいものではないみたいだ。

「もしかしてヴィクター先輩も天才肌なの?」

もうエマちゃんのことを信用できなくなってきた。

もしかしたらヴィクター先輩もエマちゃんと同じ天才肌で二刀流も簡単に操れたのかも知れない。

もしそうだとしたら二刀流をすることが出来ない俺はかなり落ち込むと思う。

真相を常識人のレットに話を聞く。

しかしレットは何か言いづらそうにしながら渋々といった風に言う。

「その・・・・これは噂なんだけどヴィクター兄さんがエマ様に勝負を挑んだ時にエマ様の二刀流にやられてそれに憧れて始めたって聞いたよ」

まさかの二刀流の始まりはエマちゃんだった。

エマちゃんもその時のことを覚えているようで懐かしそうにいう。

「あー多分相方の人の分も一緒に片付けようと思ってたら挑まれた時のことかな。邪魔にならないところに置きに行くが面倒くさくて両手に持って戦ったんだよね。その後の授業の時ヴィクター君が剣を両手で使う練習してたからなんでだろうと思ってた」

俺の中のヴィクター先輩の印象がどんどん可愛らしいものに思えてくる。

きっとエマちゃんに憧れて二刀流の練習をしたのだろう。

エマちゃんが二刀流をした理由を知らないまま

「そんなことより始めるよ」

少し時間がかかったが棒を構える。

騎士達には申し訳ないがせっかくエマちゃんが練習に付き合ってくれると言うのなら真剣にやるしかないだろう。

「ヴィクター君は最初こう言うふうに振る」

そういうとエマちゃんは棒を振る。

確かにテオ君の時もそんな感じで降っていた気がする。

「この後にだいたいこうなるから、その隙ビュンってすれば勝てるよ」

エマちゃんは動作を一つ一つ振る。

さっきは言葉だけで全く分からなかったがこう実際に動いてくれると分かりやすい。

「やっと分かった。実際にやってみたいからエマちゃん付き合ってくれる?」

せっかく実際に動いて貰えるのなら実践の練習もしておきたい。

学園一の実力のあるエマちゃんならたとえ俺の棒が当たっても大丈夫だろう。

エマちゃんも「いいよ〜」と軽く返事をする。

エマちゃんは先ほどの動作を違和感のない速さで振る。

確かにエマちゃんが言うとおり隙があった。

俺はそのタイミングに合わせてエマちゃんの体に剣を振った。

完璧なタイミングだと思ったのだがなぜかエマちゃんに回避をされてしまった。

「そうそうそのタイミング。それができたら勝てるよ」

「でもエマちゃんには当たらなかったよ」

エマちゃんが回避できたのなら俺の踏み込みが足りなかったと言うことだ。

「デニスちゃんの攻撃がいつくるか分かっているから避けられただけだよ。それにヴィクター君は弱いから避けられずに攻撃は絶対に当てられるよ」

まあいつも勝っているエマちゃんが言うのだから大丈夫だろう。

さっきのイメージを忘れないように何度か先ほどと同じ動作をする。

「それじゃあ、他のもしてみようか」

エマちゃんは他の隙を知っているようでまだまだ付き合ってくれるようだ。

エマちゃんはヴィクター君のことをずっと弱いままだと思っているんですね。

哀れなヴィクター君

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