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112話 奪い合い

「デニスちゃんは私のものだから、レットちゃんには譲れないよ」

エマちゃんの予想していなかった答え俺とレット二人は固まってしまった。

「ほらレットちゃんの側にいたらダメ」

俺はレットの後ろにいたのだがエマちゃんは立ち上がり俺を抱き上げる。

エマちゃんは成長が早く150cmほどある。

俺は100cmくらいなので簡単に抱き上げられてしまった。

成長したエマちゃんの胸がに俺の頭があたる。

やっぱりエマちゃんは女の子なんだなと改めて感じてしまい恥ずかしくなる。

ここまで考えたところでダメだと思い胸のことを思考から追い出す。

エマちゃんは俺の家族だ。

エマちゃんで欲情してはいけない。

俺は別のことを考えようと思い先ほどのエマちゃんの動きを思い出した。

俺たちが固まっている間に俺を攫うとは流石ヴィクター先輩に剣術で勝てるだけある。

その動作に全くの無駄がなかった。

「エマ様勘違いしてます。」

俺が色々なことを考えているうちにレットの方が先に正気に戻ったようだ。

「勘違い?レットちゃんはデニスちゃんのことを勝ってに侍女にしてたじゃない」

確かに俺たちを案内した騎士は俺のことを侍女と紹介した。

しかしそれはあの騎士の間違いなのだ。

レットがそれをちゃんと説明すればエマちゃんの誤解は解ける。

「あの騎士の勘違いです。ただ私がエマ様の元に案内を頼んだだけです。決してデニスさんを私の侍女にしたわけではありません。」

レットの説明を聞いたエマちゃんは俺の顔をみる。

俺はレットの説明があっていると意思表示のため一生懸命頭を縦にふる。

「まあそこまで言うなら信じよう」

エマちゃんはそういうと俺を解放してくれた。

解放された俺はエマちゃんとレットの二人から距離をとる。

なんだか恥ずかしくなり二人から距離をとりたかった。

「それに今デニスさんを私の侍女にしてしまったらエマ様から反発されるのは分かっています。きちんと反発されないように下処理をして私の侍女にする準備はしています。」

レットは何か黒い顔をしながら小声で言う。

しかしエマちゃんはその声が聞こえていたようですぐにまた俺を抱き上げようと近づいてきた。

これはレットわざとだろと思いながら少し距離があったため俺はエマちゃんに捕まることなく避けた。


「それで私になにかよう?レットちゃん」

今エマちゃんが真ん中に座って端にレットと俺が座っている。

最初は俺が真ん中に座ろうとしたのだが先ほどのレットの発言のせいで俺の隣にレットを座らせることを嫌がったためだ。

「用事があったのは私ではなくデニスさんです」

「あれ?用事があったのデニスちゃんなの」

そうなのだ。

ここまで来るのにだいぶ時間がかかったのだがエマちゃんに用事があるのは俺だ。

「そう、エマちゃんにお願いがある」

俺はエマちゃんにお願いするために顔をみる。

真剣にお願いをする時は直接顔を見た方が俺の気持ちが伝わると思うからだ。

「なにかな。デニスちゃんのお願いならほとんど聞いてあげるよ」

エマちゃんは先ほどまでのピリピリした雰囲気から急に嬉しそうにハイテンションに変わった。

「エマちゃんってヴィクター先輩のこと知ってる?」

早速本題に移る。

「ヴィクター君?知ってるよ。いつも私にちょっかいをかけてくる人のことだよね」

「ちょっかい?」

エマちゃんはやっぱりヴィクター先輩のことを知っていたようだ。

しかしちょっかい?そんなイメージないけど

「そうそう。いつも教室にいる時に私の文房具取ったり剣術授業の時私に勝負を挑んでくるんだよね。本当は剣術の授業の時楽したいのにいつも挑まれるからめんどくさいんだよね」

なんだか俺の中のヴィクター先輩のイメージが壊れていく。

ヴィクター先輩もレットのように精神年齢が上だと思っていたのだが。

「それでエマちゃんはどうしたの」

そんなに勝負いているのならきっと勝ったり負けたりしてるのだろう。

「え?全部勝ってるよ。ヴィクター君弱いよね」

エマちゃんから予想外の言葉が出た。

え?あの人が強い?俺から見てもあの年齢ならかなり強い方だと思うのだが。

「デニスさん。エマ様はこの学園で誰にも負けたことがない学園最強なんだよ」

ここでレットから衝撃の発言をする。

「え?」

今日だけでエマちゃんのエマちゃんに驚かされてばかりだ。

一体エマちゃんは何者だろうか

デニスちゃんは誰からも人気者です。

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