101話 試合後の消化不良
「デニスお疲れ」
試合が終わりグラウンドから離れるとテオ君とレットが迎えてくれた。
テオ君は俺にタオルを渡そうとしているが残念ながら全く汗をかいていない。
「全く疲れていない。もっと骨のある相手かと思ったら全くだめ。剣術の訓練が全く出来ていないから剣先がぶれているし、そしてなにより力が足りない。ちょっと足に剣を当てただけで転ぶなんてちゃんと筋トレをしていない証拠だ。それに」
「あーデニスストップストップ」
気がついたらさっきの試合について止まらなくなってしまった。
俺は気がついたら熱くなってしまっていたみたいだ。
とりあえず俺は「ごめん」と言うととりあえずタオルを貰う。
別に汗はかいていないが何かしていないと落ち着かなかった。
恥ずかしくなりとりあえず汗を拭くふりをしていると側にいたレットが口を開いた。
「デニスさんは強い男の人が好きなんだね」
・・・・は?どういうこと
男の俺は・・・・・精神は男の俺が強い男のことが好き?
「ないない絶対にない」
俺は力強く否定する。
そんなことあるわけがない。
「ならどんな人が好きなの?今まで何回か聞いたけどいつも答えてくれないから」
確かにレットと話していると何度かどんな男の人が好きな人なのか聞かれた。
しかしどれだけ考えても好きな男が思いつかなかった。
そのため俺は常にレットの質問を答えなかった。
「俺はほら、えーと」
俺はなんて答えようか悩んでしまう。
俺が好きな人は今世でも前世でもいない。
俺が思う好きな人のイメージは
「好きな人は昔からの知り合いで、一緒にいて楽しい人かな」
ついつい俺は声に出していた。
俺の答えを聞いたレットは目を輝かせる。
「つまりデニスさんはテオ君のことが好きなんだね」
「「なっっっ」」
レットの出した答えに俺とテオ君が驚く。
先に口を開いたのは俺だった。
「ないないテオ君なんて絶対にない。テオ君は弱いし、知り合って短いし」
俺は必死に否定する。
「デニスそんなに力強く否定するなんて俺でも結構傷つく」
俺の否定を聞いたテオ君は傷ついていた。
テオ君はなんで俺に言われてそんなに落ち込む。
もしかして俺に気が合ったのだろうか。
「テオ君やレットよりももっと前からの知り合いだから」
一度言ってしまったものは仕方ない。
幸い二人は俺が前の街にいる時を知らない。
前の街でも交友関係なんてないに等しいが何も知らない二人なら誤魔化せるだろう。
「へーデニスさんの初恋は地元なんだね。なら今度一緒にデニスさんの地元に行こうよ」
「レットはそんな気軽どこにも行けないでしょ」
王族のレットがもし俺の地元に行こうものならたくさんの人と物資が必要になる。
王族の思いつきで振り回せされる騎士団の気持ちにもなってもらいたい。
「今度デニスさんが帰省する時は私も一緒に連れて行ってよ。私の侍女としてなら旅費もいらないし、給金も出すように言うから」
「それはダメでしょ。私のために国のお金を使うわけにはいかないし、もしお金をもらってしまったら対等な友達じゃなくなる」
レットは何度も俺にお金を渡そうとしてくる。
しかしもしレットの力を借りて帰省したりお金を貰ったりしたら俺とレットは対等な友達とは言えなくなってしまう。
だから俺はいつもレットには対等な友達でいようと言っている。
「とりあえずここから離れようか、次の人がグラウンドに入る邪魔になっている」
俺とレットが話しているといつの間にか立ち直ったテオ君が言う。
予想以上に俺たちの試合が早く終わったため次まで時間がありつい立ち話をしてしまった。
今日は俺とテオ君の出番がないため俺たち三人はとりあえず次の出番が決まるまで試合を見ていることにした。
デニスが思い浮かんだのはきっとカミラですね。




