9話 契約そして喧嘩
エマちゃんの前に前世の幼馴染と契約をしていたソフィアがいた。
「私の名前はソフィアです、あなたと契約をしに来ました。あなたの名前を教えてください。」
「え…え、エマ」
エマちゃんがそういうとソフィアはエマちゃんの手を取った。
「エマよろしくお願いします。」
今ソフィアはエマちゃんの体に魔力を流し始める、今エマちゃんの魔力とソフィアの魔力を同調させている。
「え、どういうこと」
エマちゃんが今の状況が分かっておらず動揺している。
「エマちゃん落ち着いて、精霊が契約しに来たんだよ!しかもかなり強力な精霊」
エマちゃんが「え?」や「うそ…」とぼやいているうちに精霊との契約が完了したようだ。
「契約が終わりました。エマこれからよろしくお願いします。」
「え、よろしくお願いします、でも一つ聞いていいですか?」
エマちゃんが少しは現状を把握してきたようで質問を始めた。
「精霊さんはとっても強い精霊さんですか?」
「はい、そうですね。自分で言うのもなんですが、私の力はかなり強いと自負しています。」
そういうとエマちゃんが慌てたよう答えた。
「契約やめます!!!」
え?・・・・どういうこと
「精霊と契約したら首都に連れて行かれるんですよね、私はここにいたいから契約やめます。」
エマちゃんははっきりと答えるとソフィアから手を振りほどいた。
「エマそれは出来ません。私はあなたのもとに訪れ契約をしました、その契約はあなたが死ぬまで破棄することは出来ません」
「どうしてもですか?私は契約したくないです」
「どうしてもです」
しばらく二人は押し問答をしてもう契約の破棄が出来ないとわかるとエマちゃんは「絶対に首都にいかない」と言いながらリビングから出て自身の部屋に籠ってしまった。
俺とレイアは二人の話を聞いているしかなった。
レイアもどうすればいいのか分からないようだ、ソフィアもどうすればいいのか分からずリビングにいる。
「とりあえずエマとの仲を深めるためにエマのもとに行くべきでしょうか」
そういうとソフィアは浮き上がりエマちゃんのもとに行こうとする。精霊はものをすり抜けることが出来るのだ。
「ちょっと待って、今エマちゃんのもとに行くとまた喧嘩になるよ 今は私たちに任せて」
俺は慌てて止めた。エマちゃんと顔を合わせるとまた喧嘩になってしまう。
「そうですかやはり人間は難しいですね、今はあなたに任せます。」
そういうとソフィアの気配が消えた、おそらく今ここにいるべきではないと判断したのだろう。
俺とレイアはエマちゃんのもとに向かった、ここは見た目大人であるレイアが先に声をかける。
「エマちゃんいい?」
「うん」と答えたためレイアが部屋に入る、ここは俺は部屋に入らず会話に耳を澄ませる。
「エマちゃんは精霊様と契約したのね、とてもすごいことよ」
「でも精霊さんと契約すると別の場所に行かないと行けないんでしょ、おばさんは私を追い出したいの」
「そんなことないわ、あなたのことは私の本当の子供だと思っているし愛してるわ」
「なら別の町に行かないでいいようにして」
そういうエマちゃんのお願いにレイアはすぐに答えることが出来ない。
本当は別々に暮らしたくないのだが、国の方針に逆らえないという気持ちもあるのだろう。
レイアがすぐに答えないところを見るとエマちゃんが怒り出した。
「もういい!おばさんなんて嫌い!出て行って!!」
そういうとエマちゃんが話を聞いてくれなくなりレイアは部屋を出るしかなくなった。
「どうしよう、私もエマちゃんと離れ離れになるなんて嫌だけど精霊と契約しちゃったからにはもう首都に行かないといけない、どうすればいいの」と言っていた。みんな離れ離れになりたくないのだ。
レイアがどうしようもなくなりしぶしぶキッチンに戻って料理を始めたがあまり集中出来ていない様子だ。
俺はエマちゃん部屋に向かう。いつもはノックをしてはいるのだが、今日は勝手に入る。
「デニスちゃんが来るなんて珍しいね」
「うん、エマちゃんが心配になったから」
そういうとエマちゃんが悲しそうな顔をしながら話し出した。
「デニスちゃんも私が首都に行かないといけないと思う?」
「うん法律でそう決まっているから行くしかないと思う」
「デニスちゃんは難しいこと言うね、デニスちゃんは私と離れ離れになってもいいんだ。」
「そんなことない私もずっとエマちゃんと一緒にいたい。」
「でも精霊さんと契約しちゃった、もうどうすればいいの」
とエマちゃんが泣きだす、いつもは笑顔いっぱいのエマちゃんがこんなに泣き出すことは珍しい。それほど今回のことに動揺しているのだろう。
「ずっとこの街にいてパパとママとおじさんとおばさんとデニスちゃんと一緒に暮らしたかったな」
俺も話を聞くことならできるだがそれだとエマちゃんの不安を解消することが出来ない。俺はどう答えるか頭を回す。
「エマちゃんは私と一緒にいたい。」
「もちろんいたいよ、ずっと一緒にいたいでもできなくなっちゃった。」
「なら私騎士になるよ。」




