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そらバスのしろくん

作者: しろ

そらバスにはたくさんのバスがいます。

今日は雪の日に大活躍なしろくんを紹介します。

他のバスたちは雪が降ると寒くてうまく走れません。

しろくんは雪が大好きなので雪の日もへっちゃらです。


今日は朝から雪が降っているので、しろくんの出番です。

出発前にはたくさん動けるようにガソリンジュースでエネルギー補給します。

運転手さんに元気か点検してもらいます。

運転手さんの出発進行のかけ声に大きな声で返事して出発です。


雪の降る道は動きにくいですが、しろくんはすいすい進みます。

でも白いしろくんは目立ちません。

お客さんも探しているのですが、白い雪で探しにくいのです。

お客さんが見つけてくれないのでしろくんはいつも寂しい思いをしています。


今日のお客さんはりすさんだけです。

りすさんはいつもしろくんを見つけて乗ってくれます。


目的地まで安全に運転してほっとしておうちに帰ってきました。


運転手さんに点検してもらうと小さな小さな手袋がありました。

しろくんははっとしました。

いつも乗ってくれるりすさんは赤い素敵な手袋をしています。

おりる時に「ありがとう」って言って、手をふってくれたりすさんの手には手袋がなかったのを思い出したのです。


りすさんをおろしたのは森の奥です。

まだまだ雪はやみません。

きっと手袋がないとりすさんは困るでしょう。


しろくんは運転手さんにお願いして、りすさんに手袋を届けることにしました。

りすさんに手袋を届けにいくとりすさんは「赤い毛糸で作ったお気に入りなんだ。ありがとう。」って喜んでくれました。

しろくんは「僕は白くて目立たないけど、りすさんの赤い手袋はりすさんのだってわかっていいなぁ。素敵な手袋だなぁ。」とりすさんに言いました。

「そんなことないよ。しろくんは真っ白できれいだよ。きっとみんな見つけてくれるよ。」ってりすさんは言ってくれました。


でも次の日も‥

その次の日も‥

お客さんはりすさんだけでした。


しろくんは悲しくなりましたが、安全運転でりすさんを目的地まで運びます。

冬が終わるとしろくんはお休みになります。

お休みに入る前の日、しろくんはりすさんに「次の冬もまた僕に乗ってください。きっとみんな探してくれないから‥。りすさんが乗ってくれないとお客さんいないんだ。」と悲しそうに言っておうちに帰りました。


りすさんは、悲しそうに帰っていくしろくんを見て考えました。

思いついて探してきたのは、しろくんが素敵って言ってくれた手袋を作った赤い毛糸です。

赤い毛糸で何か作ることを思いついたのです。

りすさんの小さな手で作るのは大変で何日も何日もかかりましたが、しろくんのために頑張りました。


次の冬からはしろくんは赤い目印でよく目立つようになりました。

お客さんもたくさん乗ってくれて、大忙しです。


赤い目印って?


それはりすさんのくれたマフラーでした。

りすさんがしろくんのためにマフラーを編んでくれたのです。

それからはしろくんは赤いマフラーをしてはりきってお仕事をしています。


真っ白な雪の中をよく探してください。

きっと赤いマフラーをした素敵な白いバスが見つかるはずです。

今日もそらバスのしろくんは大活躍です。

読んでいただきありがとうございます。

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― 新着の感想 ―
[一言] 雪の日に一生懸命頑張っているのに、なかなか見つけてもらえないしろくん。けれど、見てくれているひとはちゃんといるのですよね。たったひとりのお客さんですが、しろくんのことを考えてくれるりすさんの…
[一言] 優しさが優しさを呼ぶような、そんなお話ですね。 他のバスにも他のバスの物語がありそうで、色々と想像が膨らみます。 読ませて頂きありがとうございました。
[一言] バスにも色々な個性があるのですね。 それにしても、雪の日に安全に走れるバスがお客さんに見つけて貰えないのは悲しいですね。 バスも悲しいけれど、移動したいお客さんも悲しかったことでしょう。 …
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