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魔王は倒した。納豆を下さい

納豆、美味しいですよね。

 六百年の長い、魔族と人族の戦争に終わりを告げる鐘を鳴らしたのは、異世界から召還された勇者だった。

 召還されてから、たったの五年で、力をつけ魔王の首を討ち取ったのである。

 共に旅した仲間との別れ、決意、死に物狂いで戦った最後の決戦。その生き様は、まさに「勇者」であった。


 そんな勇者の話は神の耳にも入り、ある日、とある神殿にて、勇者は神との謁見が許された。


 「勇者よ、話は神の世界にも届いています。よく魔王を討ち取りました。さぁ願いを述べなさい。一つ何でも叶えてあげましょう。」


 神というのに相応しい、神々しさを放つ男が、そう勇者に言いました。

 男は深く息を吸い、こう言います。


 「どうかこの世界に納豆を作って下さい」

 「……ん?なんて?」


 神は首を傾げました。この男は何を言っているのかと。そして納豆とは何か、と。

 神は焦りました、神とは知恵深く無くてはならないと、神の先輩からキツく言われた事を思い出したのです。


 「勇者よ……今しばらく待っておれ」

 「はっ……」


 神は一度、特別な魔法で人々に自分の姿が見えないようにしました。

 そして、パソコンを取り出し、「納豆 何?」で検索。


 ーー納豆なっとうは、よく蒸した大豆を納豆菌によって発酵させた日本の発酵食品。一般的には「糸引き納豆」を示す。


 なっなるほど……。確か勇者は地球の日本という場所の生まれだったな。と神は思い出しました。

 そして、ネットで検索を重ねて行くと、残念な事実に神は気付いてしまいました。

 姿を消す魔法を取り消すと、勇者にこう告げます。


 「勇者よ……納豆は作る事はできない」

 「な、何故ですか……!?」


 驚き、肩を落とす勇者の姿に心を痛めながらも、話を続けます。


 「納豆に含まれる「納豆菌」はこの世界に持ち込んではいけない菌の一つに指定されている。免疫の無いこの世界に納豆菌を持ち込めば、世界は崩壊するだろう。」


 パソコンのウイルスのように、一気に壊れてしまう。というのです。

 勇者はしばらく落ち込んでいましたが、吹っ切れたのか、明るい顔で神にこう言います。


 「納豆作りに必要な資金を下さい。必ず近い物を作り出します」


 その言葉を聞いた神は、望めばいつでも金をやろう。と言いました。

そして、神との謁見は終了したのです。


 実は勇者は納豆菌が世界を壊すと、知っていたんですけどね。

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