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ジャック・イン・東京  作者: 文月獅狼
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第六話 鬼、現る


「ただいま~。はあ、疲れた。まったく、なんなんだよ」


 僕は誰もいない家の玄関で一人ごちりながら靴を脱いだ。

あの後四限目を何とか乗り切った俺は、帰りのH.R.が終わるなり眠ってしまった。一度は寝たのだが、掃除の邪魔だと言われて起こされた。僕は帰る支度をしてとりあえず教室から出た。家までは歩いて約二十分とそこまで遠くないが、その時の自分は帰ってる途中で眠ってしまいそうなくらい眠かった。だから寝れるようなところを探してさまよっていると図書室なら寝れることに気づいた。そして図書室に歩を進めていると副部長にあった。


「あっ、片石先輩。こんにちは」


「おう、霧崎か。どうしたんだそんな飢えたゴリラみたいな顔して」


 この人は片石悠馬。美術部の副部長である。絵もそこそこうまく、去年は毎日部活に行っていたため副部長に選ばれた。

 飢えたゴリラってどんな顔だよ。ちょっと見てみたいな、図書室行くし図鑑で探してみようかな。


「寝不足なんです」


「ほぅ、ついにお前も手を出したか。そういうことなら早く帰れよ」


 違うんだってば。でももう訂正するのも面倒だ。


「そうしたいのはやまやまなんですが、眠くて帰れそうにないんです。だから図書室で少し寝て帰ろうかなと思いまして。先輩は何してるんですか」


「帰ろうとしてんだよ」


「あっ、そっすか。ところで今日は何で部活休むんですか」


「今日は家の手伝いをしなきゃいけないんだ。昨日倉を整理してたらいろいろ出てきたんでな」


 そうだった。先輩は寺に住んでいるから時々掃除などで休む日があるんだった。


「お疲れ様です」


「そういえばお前は部活行かんのか?まじめなお前がまた珍しいな」


「部長も副部長もいないときに行く気にはなりません」


「お前もしかして先輩がいないときは休んでたのか?」


「勘のいいひとは嫌いだ。死んでもらおう」


「勘がよくてもよくなくても今のは気づくと思うぞ。副部長命令だ、今日は部活に行け」


「あの……、先ほども言ったようにこれから図書室で寝ようかと思ってたんですが」


「問答無用。今すぐ行け」


「おうふ……」


 つい変な声が出てしまった。この人寺に住んでるくせに鬼だったんだな。つぎ会うときは桃太郎を連れてこよう。

 


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