第四話 どのみちね……
現在十一時十分。三限目の数Ⅱの時間だ。正直めっちゃ眠い。昨日は遅くまで本を読んでしまった。それなのに早起きしてしまったため睡眠時間が足りてない。寝てしまいたいが数Ⅱの先生は結構厳しいため寝れない。どのくらい厳しいかというと、寝ている生徒を発見したらその生徒の横まですぐに行き、教科書で生徒の頭をたたく。そして授業中はずっと立たせて、授業が終わった後には反省文を作文用紙2枚分書いて提出させるという3コンボをお見舞いするぐらい厳しい。
……うん。結構じゃないね。めっちゃかもしれないね。
正直言うと、たたかれ、立たされ、反省文を書かされるのはそこまでつらくない。では何がつらいのかというと、授業中に恥ずかしくなり、授業が終わった後にクラスの友人がからかってくるのがつらいのだ。なぜかって?そりゃあめんどくさいからだ。おそらくどのクラスにも一人はいるであろう他クラスにそういった情報を伝える人間が僕のクラスにもいるのだ。人のうわさも七十五日というが、そういうやつは一年くらい引っ張ってくる。
だから僕は数Ⅱの時は何が何でも寝ないようにしている。…のだが。
だんだん瞼が重くなってきた。やばい。このままじゃほんとに寝てしまう。授業はあと二十五分も残っている。絶望的状況。いやだ。雄二にからかわれるのだけはいやだ。
「霧崎、ちゃんと聞いてるか~」
突然先生に呼ばれて僕は飛び上がりそうになった。
「は、はい。ちゃんと聞いてるであります」
「ならこの問題やってみろ。65ページの練習問題11番。今教えたし簡単だからできるだろ」
僕は急いでページをめくった。いつの間にかそんなところまで行ってたのか。まあ先生の進む進度は早いから仕方ないが。
59、61、63、65。やっとついた。…あ?ナニコレ。わかんない。どないしよ。僕は文系だから数学はてんでだめだ。それに加えて授業を聞いてなかったためいつもの100倍わからない気がする。
「……」
「……聞いてなかったんだな」
「すいませんでした」
「反省文、書いてね」
「……はい」
みんなが笑ってる。幸い授業中立たされることはなかった。
……どうせなら寝ればよかった。
そして授業は終わった。