第三話 日常
朝日が窓から差し込み、小鳥がさえずっている。いつもと変わらぬ朝が来たのだ。
僕は学校に行くしたくを始めた。現在午前七時。やはりいつもと同じ時間に起きたのだ。いつもは八時三十五分からH.R.が始まるのだが、今日は土曜日で九時から始まる。だからもう少し寝ていてもいいのに習慣となっているからか、どんな日でも七時に起きてしまう。
準備ができたから部屋を出てリビングに向かう。兄貴は起きてるかな。まあいつも通りなら寝ているだろう。平日は僕の弁当を作るために僕より早く起きるのだが、土曜日は午前で終わるため弁当はいらない。そのため兄貴は毎週土日は八時ごろまで寝ている。
そんなことを考えていたから台所のほうから水の音が聞こえてきたときには少し驚いた。おいおい兄貴よ。今日は土曜だぜ。そう思いながら台所を見たら、案の定兄貴がいた。
「おはよう」
「おはよう兄貴。今日は土曜だよ。いつもは寝ているのにどうしたの」
「今日は大学の同好会があるんだよ。今日は必ず来いって会長が言ってたんだ」
「それにしても早くない?普通なら、というかいつもなら十時ぐらいから始まるんじゃなかった?」
「いやあ。会長が何を血迷ったのか今日は八時から始めるぞと言ってきたんだ」
「なるほど」
兄貴はやれやれというふうに苦笑しながら首を横に振った。兄貴は南東京大学に通う大学二回生だ。運動能力はそこそこ良く、頭も平均より少し上ぐらいだ。そして見た目は、僕が女子だったら兄だろうが何だろうが関係なく好きになっていたかもしれないぐらいかっこいい(※個人の感想です)。少し子供っぽいところがあり、それでいてミステリアスな雰囲気を出している兄貴の顔。どんな人でも安心させることができそうな瞳。そして狼を連想させるような銀の髪。
僕の髪もところどころ白が入っているが学校の校則にのっとって全部黒に染めている。母が先天性白皮症で髪が白かった。父は普通の人で髪は黒かった。おそらく二人の髪の性質が混ざって兄貴の髪は白というよりも灰色に近くなったのだろう。そして自分は父の性質のほうを多く受け継いだからほとんどが黒なのだろう。
「そろそろ行かないと」
「八時からでしょ?まだ時間あるじゃん」
「副会長が遅れていったら示しがつかないだろ」
そう。僕の兄貴は心霊現象研究会の副会長なのだ。
僕は中一のころ、心霊現象や妖怪、UMAなどに興味津々だった。だからそういったものの本を買ったり新聞記事を切り取ってノートに張ったりなどのことをしていた。
ある日、僕は心霊現象についての本を読みながら眠ってしまった。兄貴は僕が寝ていることに気づいて布団をかけ、本を本棚にしまおうとした。そして手に取った時につい読みたくなってしまい、夜中の2時まで読みふけってしまったのだ。
それからは兄貴も心霊現象や妖怪に興味を持ち始めた。そして兄貴は進路を決めるときに心霊現象などの研究会がある大学に行こうと思い、現在通っている南東京大学に受験したわけだ。
会長ではなく副会長であることもまた魅力的なところな気がする。
「じゃあ先に行くぜ。カギはちゃんとかけて行けよ」
「行ってらっしゃ~い」
午前七時四十分。僕は制服に着替え、学校に向かうべく家を出た。