神様とおしまい
―9―《神様とおしまい》
あなたは布団の中で目を覚ます。
いつの間にか部屋に明かりが点り、視界には神がいた。
「おはよう人の子よ。今日は大切なお知らせがあります」
あなたは身体を起こして、彼女の言葉を聞くだろう。
「あなたは地上に戻れることになりました。嬉しいですか? 」
嬉しい
→1
嬉しくない
→2
※1
「そうですか……そうですよね」
神は自分を納得させるように何度もあなたの言葉に頷いた。それから、しっかりとあなたの目を見つめて、こちらへと手を伸ばす。
「行きましょう。地上に降りるのです」
あなたは彼女の手を取って、前と同じように急に現れた扉の先へと踏み出した。
そこは、ひどい世界。
荒れ果てた街、畑、山、とにかくなんでも壊れている。景色に目を奪われているあなたに、神は手を離して言った。
「3度目の戦争がありました。とても悲しい結末でした」
この地上には、もう生きているものはいない。本当に誰もいない場所になっている。
神はあなたに聞いた。
「ここに、残りますか? 」
残る
→3
残らない
→4
※2
「どうして、ですか? 」
あなたは理由を説明した。神は何度も頷きながらその話を聞く。
「なるほど、そういう理由ですか」
彼女は笑って言った。
「なら、ずっとここにいませんか? いつまでも、ずっと」
いる
→4
いない
→1
※3
「……ええ、それがいいでしょう」
神は少し悲しげにそう言葉を繋ぐ。
「私はあなたの大切な人との時間を奪いました。もう、取り返すこともできません。だから……」
「だから、あなたはこれから、大切な人の側にいるべきなのです」
神は現れた扉から去り、居なくなった。
ここにはあなただけだ。
あなたが何を思っているのかは私には分からない。でも、ここであなたの物語はおしまい。抵抗もなにも、もう無意味なのだから。
※4
「いいの、ですか? 」
神は心底驚いたという様子であなたに尋ねる。あなたの答えは決まっていた。
「……ありがとう」
涙目の彼女の事を怒るのは少し無粋だろう。あなたは彼女の側に寄って、笑顔を傾けた。彼女は言う。
「……私、言い忘れていたことがありました。あなたを選んだ理由です」
「私は聞いていました。あなたが人を想って掛けた言葉、それから、希望を叶えられなかったときの嘆きの言葉」
「私は見ていました。誰かを想って笑うあなたを、誰かのために怒るあなたを」
「だから私は、あなたを選んだのです」
――狭間を越える、人間として
あなたは神とともに歩むだろう。これから、楽しいことも、面倒なこともあるかもしれない。でも、最後にはきっと幸福なはずだ。今はそう信じて生きることを選んだ。
《おしまい》
お付き合いお疲れさまでした。
短い作品ですが、この作品があなたのストレス解消にもなっていれば幸いです。
それでは、またどこかでお会いしましょう。
あなたにかけがえのない今がありますように。