昔話
2話目です!
「あ、話す前にみんなも呼んでいいですか?まだ話してないんで」
「いいわよー。呼んでくるわね」
湊さんが部屋から出て3人を呼びに行った。と、思ったら戻ってきた。
早いな!?あ、うん。盗み聞きしてたのね。
「わざわざ呼ぶ必要なかったかな?」
「みたいですね」
揃ったな。じゃあ、始めようか。昔話を。
「俺には、家族がいません。死にました」
「お、おい。悠」
目で大丈夫だと訴えかける。
言葉を飲み込んでくれた。
「父は、俺が5歳の時に事故で死にました。父が死んだ直後、あいつは再婚しました。再婚は地獄の始まりの合図でした。再婚相手とあいつの虐待を、俺と妹は受け続けました。俺は当時まだ3歳だった妹を必死で庇いました。再婚相手はそれが気に入らなかったらしく、虐待はエスカレートします。虐待は何年も続きましたが、俺が中3の頃さらに酷くなりました。連日倒れて気絶するまで殴られ、朝まで目が覚めない。そんな日が続いていました。ある日の朝、妹は自殺しました。偶然忘れ物をしていて取りに家に帰った時、首を吊って死ぬ直前の妹に出くわしました。俺を見た妹は『ごめんね、ありがとう』。最後にそれだけ絞り出して、目の前で死にました。もちろんすぐに降ろして心肺蘇生をしました。でも、効果は無かった。冷たくなっていく妹を抱えていたら奴らが帰ってきて、バレないように妹を、埋めました」
あ、ダメかも。
そう思ったが最後。涙が溢れて止まらなくなる。何をどう言い聞かせても、止まらない。
「悠。もういい。後はオレが「ダメだ!俺が、話す」・・・」
落ち着け、落ち着け!さっき散々泣いただろ!ひと通り思い出した直後だろ!?大丈夫だ。あれは、もう過去のことだ。
「俺は、その日。父の死の原因を、初めて疑いました。当然のように、その日も殴られました。ただし、その日は気絶したフリをしました。俺が気絶したと思い込んでる奴らは、本性を見せました。父は、事故死じゃなく、奴らに殺害されていたんです。翌日、近所に住んでいた四谷家に駆け込んで、相談を持ちかけました。快く協力してくれて、俺はその日の夜、久し振りに奴らに反抗しました。予想通りベラベラ真実を話してくれたので、録音して、四谷家に渡して壊されないようにする。そのまま奴らが家から出ないか見張ってもらい、俺は警察へ。証拠はあったので即逮捕状が出ましたが、逃げられました。今どこでどうしてるのかは知りません」
乗り、切った。まだ話せてない事もあるが、これでほぼ全てだ。
「そんな人生だったので、愛情ってものが分かりません。でも、ここに居る人達はいい人で、白亜家のみなさんはいい家族だと思います」
「確認させてもらうよ。あいつというのは君の母親で間違いないかい?」
「俺を産み落とした人を母親と呼ぶのであれば、間違いないです」
「そうか。君は天涯孤独なんだね。今まで大変だったろう」
「・・・っ!」
今、天涯孤独って、言った?この人は、俺を泣かす気か?
「ありがとう、ございます」
「お礼の意味が分からないな。それより、さっきは疑ってすまなかった」
頭を下げられた。わざわざ立ち上がって、深々と頭を下げるって。
この人は、どこまで・・・
「頭を上げてください!あんな言葉、疑って当然なんですから!」
「私からも、ごめんね。本当に」
え!湊さんまで!?
「や、やめてください!ほんとに!」
白亜と加耶は泣いてるし!あれ!?雅人も泣いてない!?
ちょ、おい。カオスかよ・・・。
それから元に戻るまでかなりの時間を要した事は、言うまでもないだろう。
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ちなみに僕は物語を書くとき、その場の思いつきで書いていくのですが、この『昔話』に関してはこの物語を書き始める前から書くと決めていた話です。
なので楽しんでいただけたら嬉しいです。




