家族
すぐにもう1話上げます!
なんとか気持ちの整理が出来た。一体どれほど時間が経っているのか分からないが、かなり経っているのは間違いないだろう。
「こりゃ本当に怒られるな」
じゃあもう開き直ってのんびりして行くことにしよう。
といってもここでする事はもう無いので南棟までゆっくり行くというだけだが。
そういえば、南棟には行ったことなかったな。
自分の部屋を出て南棟への道を歩きながらようやく気付いたのは、余裕がなかった証拠かな?
まあ、そもそもこの敷地内を歩き回ったことも、ゆっくり見たこともなかったな。
興味もなかったし。
とかなんとか考えてるうちに南棟まで辿り着いた。
「確か、502って言ってたから5階だな」
エレベーターは、動いてるわけないか。
階段か。しんどいな。
まあ、ここ3階だからそんなに登らなくて良いんだけど。
ここの南棟と北棟は3階が繋がっている。ちなみにさっき知った。
本当俺何も知らないな。
「お、あった。502号しづあ!?」
急に扉開くとか反則。思っ切り顔ぶつけた。
「あ!わ、悪い。悠、大丈夫か?」
「ダメ、もう俺死んだ」
「悪かったって。今度なんか奢るから!」
「今日迷惑かけた分でチャラ。どうだ?」
チャラなわけがない。表面上だけだ。
「よし乗った!じゃなくて!こいつです!もう1人の仲間!!」
え?誰に話しかけてんの?つーかなんでそんな焦ってんの?
あれ、後ろに誰かいるな。知らない人だ。でもここにいるって事は。
「もしかして、いや、もしかしなくても」
「白亜さんのご両親だよ」
家に居たのか。
「で、なんで雅人はそんなに焦ってるんだ?」
「それは僕らから話すことにしよう。さぁ、入って」
「・・・お、お邪魔します」
はい、てな訳でやってきました。白亜家のリビング。
今は白亜の両親と向き合う形でソファに座っている。俺だけが。
うん、なんで?なんで俺だけなの?
「さて、まず彼が慌てていた理由なんだけど、よく分からないんだよね。後で本人から聞いてくれ」
「めちゃくちゃ知ってる流れだったじゃないですか」
「ごめんねぇ、うちの夫こういう所あるから」
「あ、いえ、はい。覚えておきます」
にしてもこの2人、本当に高校生の子持ちに見えない。白亜と兄弟だと言われても信じるレベルで若々しい。
お父さんめちゃカッコいいし。顔は上の下なんだけど雰囲気とかがスゲーいい感じだ。
お母さんは美人だ。それ以外に言葉はいらん!そしてこちらも雰囲気がいい感じ。
完璧だなこの両親。
「僕は白亜 傑よろしくね」
「私は白亜 湊。色々聞きたい事があるの。聞かせてね?」
「黒鉄 悠です。お手柔らかにお願いします」
「それで、本題に入ろうと思うんだけどいいかな?」
「はい」
「そんなに緊張しなくて大丈夫。リラックスリラックス」
ごめんなさい。無理です。
「そうだよ、リラックスして。なぜうちの子を仲間にしたのか教えて欲しいだけだから」
「・・・全部話しますけど、怒らないで下さいね?」
ヒーラーを探していた事。勧誘しなかった事。仲間にする気がなかった事。見殺しにするどうこうと脅しをかけた事。
大まかにこの4つを話した。
「どうして、仲間にする気がなかったんだい?うちの子はどこかダメだったかな?」
やっぱ親子だわ〜。聞かれたくない事に限って聞いてくる。
「逆です。ダメどころかいい子過ぎたんです」
「?普通、いい子だったと思うなら仲間にするんじゃない?」
「何て言うか、うーんまあいいか。死んでも守りたいって思うようになると思ったから。要するに大切な人になると思ったからです」
「その大切な人って言うのは、どういう意味かな?」ニコッ
怖い怖い怖い!笑顔が怖いよ!!よし、今分かった!傑さんは親バカだ!なんか確信が持てる。
対して湊さんは女子高生みたいな反応だな。キャーって効果音が付きそうな興奮した顔をしてらっしゃる。
「間違いなく心配してるような感情はないです」
「それはうちの子に魅力がないと?」ニコッ
「いや、俺の問題です。俺は恋愛感情、というか愛情というものが分からないんです」
「そういうのは嘘だと言うことを知っている。経験則だから確かだよ」
あぁ、この人達はいい人達だ。この人達に育てられたなら、白亜がいい子なのも頷ける。
いい家族だ。
うん、そうだな。この人達は信用できる。
「・・・少し、昔話をしましょう」