叶わない約束
「――…オレのそばから一時も離れるな…
だから、誓え――っ!」
鋭い眼差しで私を見つめる
奇麗なは瞳の奥には酷く怯えてる彼の
心の中が見えた。。
私を強く抱きしめ…心地よい胸の中
優しい香り,人とは違う外見
でも私は彼を知っている気がした
とても大切な――――。
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「………ッ…ん」
朝日の光がカーテンの隙間から差し込んでくる。
私はゆっくりと目覚めた
ここ最近ある不思議な場所で
人とは異なる外見のした"狐"だろうか
耳と3本のしっぽを生やした美形な男子に
抱きしめられながら…告白まがいな事を言われる
知らないはずなのに…すごく愛おしいとも
思える一体誰なんだろ。
どうして私の名前を知ってるの…?
杏「あっ、おねぇちゃん。おはよー!珍しいね?こんなに早く起きるなんて変な夢でも見たのー?」
ボーッとその事を考えてると
たまたま寝室に入ってきた妹が無邪気に
挨拶をしてきた
私と妹は背丈が全く異なる。
妹の月惠杏
中学3年の15歳。身長が高く簡単に言えば
モデル体型。
一方私…月惠一華21歳
特に何もしてなく…いわゆるニートしている
身長は低くぽっちゃり体型だ。
好き好んでこんな体格をしてる訳でない
私の中にある"もの"を抑える為
副作用で異なった体格だ
だがそれも昔の話…今となってはどうでもいい
だってこれが私であって、自分自身で好いているのだから
「…ふぁ…あ。おはよ…んまぁそんなとこ…だよ」
ここ最近、ある時期になると毎日のように
不思議な夢を見る
ある人と異なる姿をした"狐の男"
知らないはずなのに…とても愛おしく思う
なぜここまで胸を締め付けられるのか分からない
杏「おねぇちゃんが…最近良く見る。狐のイケメン男子の夢〜?」
「…イケメンっておいおい、たしかにめっちゃ美青年だけども」
杏「ならいいじゃん。今度は何?襲われた?」
クスクスとおかしげにに笑いながら
妹は興味津々に私に問いかけてきた
無邪気に笑う姿を見れば…まだ幼さが残る
「ちゃうわい、なんか変な妖怪みたいなのに襲われて…助けてくれたつーか…離れるなみたいなことを言われただけ」
杏「きゃぁぁあッ!!!いいな〜〜。羨ましい……ッ」
羨ましそうに見つめてくれば
可愛らしくムスッと羨ましそうな眼で見つめてくる
私も好き好んで見てるわけではないぞ
妹よ……。。。
「羨ましいって…おまえなぁ?まぁ…後で詳しく話してあげるよ」
杏「ホント?ぜーーたいだからね??」
「はいはい…分かってるって」
微笑みながら答えれば
満足気に笑みを零した杏が先に部屋を後にした
「…(ほんと変な夢を見たもんだ)」
私もベットから起き上がり朝の身支度をする為。
妹の後を追うように寝室を後にする
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朝の身支度終えいつも通りに日々を過ごし
てるだけで、時計の針はあっという間に昼過ぎを
指している
こうして毎日のように過ごしてると
平和だなっと実感する
母「一華。夕方くらいに五十鈴神宮で祭りがあるんだけど…行くー?」
私が生まれた国。春夏秋冬の日本では
小中高生には一大イベント夏休みの
期間に入っている。
その他イベントも盛り沢山とゴチャゴチャとしている
まぁ、私にとっては関係ないし…むしろ毎日がゴールデンウィークみたいなものだ
あと…夏は熱くて嫌い
「んー?行かなーい。暑いし…人多いし」
ソファーでくつろぎなから母にそう答えていた
母「でも…ママ、おかず作ってないからあっちで夜ご飯済ましちゃうけど…?」
『一緒に行かないの?』って言わんばかりに
見つめてくる母
私の母はいわゆる…天然だ。
たまに変な行動をしたり発言をしたりする本人は気づいていないみたいだけど…それがたまに子供ぽいっなっと思うこともしばしば
杏「そうだよっ。おねぇちゃん行こうよ
せっかくの祭だし〜。私のあげた浴衣を着るチャンス!!」
便乗した杏がキラキラと見つめてくる
それを聞きつけたのか…別の部屋にいた
弟が走って私に近寄ってくる
紫苑「紫苑もっ、おねぇちゃんと一緒がいい」
弟が"キャッキャッ"はしゃぎながら
私に抱きついてきた。
まだあどけなさが残る…
月惠紫苑2歳の弟
可愛くて可愛くて…仕方がない。。
だからよく甘やかしてしまう
「うおっ…危ないよー。紫苑!いきなり抱きつかないのっ」
紫苑「おねぇちゃんも一緒ーー!!」
私の注意をお構いなしに
紫苑は輝かせた目で『一緒に行こ?』っと
訴えてる。杏も負けじとキラキラと目を輝かせ
見つめてくる
流石にこれは…断れない。。。
「…(クソ…可愛すぎかよ)分かった分かった。行くよ」
杏&紫苑「やったぁぁぁあっ!!」
嬉しそうに"キャッキャ"言いながら
ジャンプしてる
杏と紫苑を見つめれば…おもむろに私はスマホで写真に収めていた
母「それじゃ、今のうちに準備してね。パパが帰ってきて準備したらすぐ行くから」
「ほーい。」
私はそう言いながらクローゼットに向かい
杏から貰った浴衣をとるとそれに着替え始めた
「…(こう見ると結構ぶかぶかだな。妹との身長差が憎いわ)」
杏から貰った浴衣はピンクのお花が散りばめられた
可愛らしい浴衣型のワンピース
『自分には似合わない』など『小さくなったからあげる』とか言って私にくれた
「(まぁ、たしかあの子にピンク系は似合わないか…どちらかと言うと大人ぽい浴衣が似合う奴だし)」
そう思いながら私は杏を見つめる
私よりも身長が高くスリムでモデル体型妹。それとは真反対の身長は低く少しポチャっとしてる私
こういう光景を見てると
もし私に何もなかったら…どうなってるんだろうなーっと。たまに思う時がある
それより
杏は一体どこまで身長が伸びていくのだろう
杏「おねぇちゃん?何ぼーっとしてる?」
「…ん?あ〜。別に何でもないよ」
私がぼーっと考え事してる間に
着替え終わった杏が私の顔を覗き込み話しかけてきた
見た目と違って可愛らしい顔をしている
妹「ふーん。あっ!おねぇちゃん…おねぇちゃんの見た夢の話聞かせてよ!」
私が朝話した夢を聞きたそうに
目を輝かせてくる。
「えっ?祭りから帰ってきてからでもよくない?もうそろそろパパが帰ってくるじゃん」
妹「えぇーー。ぶぅー!帰ってきたら絶対聞かせてね?」
「はいはい。分かってるって」
この時交わした杏と約束は
…永遠に叶うことはなかったことは
この時の私はまだ知らなかった