セカイノゲンジョウ
最近、オカルトじみた事件が世界中で起きている。といっても、数は多くないが。
突然の人体発火。壁と同化させられた人間。ホテルのフロントで謎の溺死。他にも細かな報告はネット上に転がっている。ガセネタかとも思ったが、画像や動画も上げられることが大半で、それも多数の角度からなので信憑性は高いと思われる。
違う噂かもしれないが、新人類の存在もまたまことしやかに語られている。私としては、その新人類こそがこのオカルト事件を起こしているのではないかと予想している。
新人類の特徴として報告されている事例のうちいくつか、信憑性があるのではないかと思われるものがあった。
一つ、金色の瞳を持つ。新人類の眼は金色に輝いている、という噂は多い。動画での確認は難しい。
二つ、新人類同士で争う傾向がある。これは一つ目の仮説があってこそではあるが、一連の死亡者の何人かは新人類ではないかと言われている。死者の瞳が金色だったと言われているのだ。また、報告例のいくつかは摩訶不思議な力で戦闘を行っていたと言われていることから、この結論に至った。
三つ目はあくまで噂程度のもので信憑性は皆無。それでも気になったので書き記しておくことにする。
三つ、新人類たちは皆「死」を体感している。つまり死者である。他人の空似の可能性はあるものの、何年も前に死亡したとして処理された人間がオカルト事件の被害者として再び死んでいるとの情報を仕入れた。実際に確認してみたところ、何年も前の新聞に掲載された死亡事故の被害者と先日の事件で死亡したとされる人間はほとんど同一人物のように思われた。オカルト事件の被害者たちのほとんどが住所不定無職というのも、死者が新人類としてよみがえったとして考えればあり得ない話ではない。……まあ仮説の域は超えられないが。
しかしそうすると気になるのは、何故同族で争うのかということになる。何かしらの目的があるのか、それとも本能的なものなのか。さらに踏み込んだ取材が必要になりそうだ。
――オカルト雑誌記者O氏の手記より抜粋