前編(過去の私)
__これは、私が体験した出来事です。
時は平成、私…「西宮 天加」は小学校の頃から虐めにあっていた。
原因は私の性格で、他人の何倍もはしゃぐのが好きなため「調子にのるな」と周りから責められたり、避けられたりしていた。
そんな私に転機が訪れたのは小学校三年生の頃、県外から1人の転校生がやってきたことだ…
名前は「中谷 凌亮」…少しぽっちゃりしてて背の高い、私より一つ上の先輩だ。
この中谷先輩と私は話す機会などほとんどなかったのだが、ある日年下の幼なじみが「紹介したい人がいる」と言って連れてきたのが中谷先輩だった。
「まぁ、なかよくしてくれよな!」
「……よろしく。」
当時の私は虐めにより、はしゃいだり明るく振る舞うことを封印していた。そのため中谷先輩たちにも『本当の自分』を見せることはなかった…見せたらきっと離れていくと思っていたから。
それから中谷先輩は昼休みになると図書館で本を読んでいることが多く、私も読書しかやることがなくて遭遇することが増えていった。
そのたびに「よぉ天加!」って呼びかけてくれてたので、それくらいは良いかと「こんにちは先輩。」とだけ挨拶していた…そのおかげなのか、一年もしないうちに私は中谷先輩と仲良くなっていた。
数年経ってみると私達は同じアニメにハマったりしていて、それぞれの修学旅行でのお土産がアニメグッズだったりすることも…今でもそのグッズは大切に保管してある。
やがて、私達は高校生になり同じ学校でも違う学科に進んでいた。それでも昼休みには図書室で話をすることは当たり前になっていて、会うたびにアニメやゲームの情報交換をしていたり普通にお話したりとまるで恋人かのように日々を過ごしていた。
だが、私が高校を卒業し県外へと就職してからは先輩とも話をすることがなくなった…先輩は県内に残って就職活動をしているのだとか。一応連絡手段は持っていたが使う機会はほとんどなく数カ月が過ぎていったのだった……
そしてその年の秋から、私は夢を見るようになったのだ……「見知らぬ女性が『ひとり』で空を眺めている」夢……この光景の真相を知るのは、まだ先の話である。