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激昂サンクスマン

急遽、思いつきでとあるキャラがコラボします。

鹿追凌子(しかおいりょうこ)が無事に戦場から退避したのを横目で確認すると、Mr.サンクスマンは眼前の『敵』を睨みつけた。



「今日の私は少々、機嫌が悪いぞ。蜜弓青葉(みつゆみあおば)。いや、今は密為碧葉(みついあおば)か」



「正解!さすが、私たちの国外逃亡を手助けしてくれただけのことはあるね♡」



「我々は、君の想い人にある嫌な記憶のみを消し、海外で幸せに暮らしたいという君の願いを援助したまで。全記憶の抹消。理性の棄却。ましてや人体改造なんて言語道断。これは重大な契約違反だ」



「ん〜、そんなこと言ったっけ?」



「シャラップ!君を組織で拘束する!」



「えー、それはやだなー。私は、那緒ちゃんと広い空の下で生きたい。もしくは逝きたいな♡那緒ちゃん、おじさんにダイレクトアタック!」



「オレ様、マスター・アオバ、守ル!フンッッ!」



「ぐっ、はあぁぁぁっ!」



その巨躯から繰り出されるタックルは、変身したMr.サンクスマンの四肢をいとも簡単に壁へめり込ませてしまう。



崩れ落ちるその顔には、苦悶の表情が浮かんでいる。覆い隠されているため、あくまで『そんな雰囲気』だけだが。



Mr.サンクスマンは杖をショットガンのように構え、柄のトリガーを引いた。



発砲音が二発、三発。それでも巨体には傷一つつかないようだ。



「んー、もう飽きちゃった。那緒ちゃん、おじさんを半分こにしていいよ」



「オレ様ト、マスター・アオバで、半分コ!」



巨大モンスターは疲労したMr.サンクスマンの両腕をそれぞれの指でつまみ、左右に引っ張った。



「ぐぅぅぅぅっっっっっ!…………まだだ。私は、まだ死ねない!理想郷を造るまで、私は死なない!」



「…………そういうの、『死に際の文句』って言うんだよ?楽しかったよ、おじさん。じゃあ、バイバーイ」





“グローアップ!タ・ン・ポ・ポ!”





「うん?」



密為碧葉(みついあおば)が首を傾げた瞬間、星空にツタと光のアーチが形成された。



「グオォォォォッ!?」



そのアーチから飛び込んできた一陣の風が、あの巨体を揺るがした。



「ううっ、ハアハア…………」



その衝撃により解放されたMr.サンクスマンは息が上がっていた。



「千鶴っ、いる?って、これ、どういうこと?」



アーチから現れたのは、少女の声を発する黄色の装甲を纏った戦士だった。



「エ、エイチャー…………!上層部の方から聞いたことがある。植物の力で戦う戦士がどこかの次元世界に存在していると」



「え、確かにエンマからそう呼ばれてるけど…………何?」



Mr.サンクスマンの呟きに賛同する戦士、エイチャー。



「ふふ、あはははははははははははは!面白いねえ!私の知らない変身システムがあったなんて!…………やっちゃえ、那緒ちゃんっ!」



「グオォォォォッ!」



「うわっ!」



「ぐはっ!」



弾き飛ばされる二人の戦士。



「痛っ!おじさん、こんな奴相手にしてたの?」



「ああ…………。すまない、力を貸してくれないか。このままでは、あの暗黒少女によって世界のパワーバランスが崩れてしまう…………!そうなれば、我々の理想が…………」



「ん、理想?まあいいや。こいつどうにかしないと帰れないし、千鶴も探しに行けないし」



「利害一致だ。…………来るぞ!」



「こういうでかいやつは、手に入れたばかりのコレを使おう」



エイチャーはベルトのバックルを右へスライドさせて、クリートシードリングとチェンジクリートシードリング・エナジーザイという二つのツールを装填した。



“チェィンジ・エナジー!”

“私は、あなただけを見つめる!サーンサーンサーン!サーンサーンサーン・サン・フラワー!”



流れる変身待機音声。



バックルを元の位置へと戻す。



“ヒマワリ・ラァァァァァァンド!!”



地面から生えてきた無数のツタが彼女の身体を覆い、爆散する。



現れたのは、先ほどとは比べ物にならないほどの重装甲を纏った戦士だった。



「ああ、やっぱり重いっ!確か数トンはあったっけ」



「オレ様、ヤル!」



エイチャーは向かってくる巨体に退くこともなく、というか自重によって動けないだけなのだが、手にしたマシンガン型の武器を構え、連射した。



「オオッ、ウオォォォォッッッッ!?」



あまりの弾幕にひるむ巨体。



「さあおじさん、決めるよ!」



「オーケー、トップスピードで振り切ろう!必殺、フルスロットォォォォル!」



二人の戦士によるチャージ射撃が見事にヒットした。



「グワアァァァァァァッッッッッッッ!」



大きな爆炎が起き、周囲は光に包まれた。







「那緒ちゃん!起きて那緒ちゃん!…………くっ!おじさん、また今度、遊ぼうね…………!」



眩い閃光ののち、密為碧葉(みついあおば)は人間態に戻った「那緒ちゃん」を連れて消えてしまった。



「逃げちゃったか…………あ、アーチが直ったから、私は帰るよ」



「…………今回はありがとう。非常に感謝しているよ」



「まあ、お互い事情があるしね。じゃあ、またいつか」



そう言い残すと、エイチャーはアーチをくぐって消えてしまった。



「…………できれば我々の財団に引き入れたかったが、なにぶん非常事態だった。今回は仕方が無い。…………さて、私にはまだやるべきことがある」



そう呟き、変身を解除した彼は先刻逃がした部下の元へと走って行くのだった。

同著者作『人生躍進!クイズ「ザ・アネモネア」』『揺れる、消える。』『育みのエイチャー』を読むとさらに物語が理解し易くなります。

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