閃光ゲーマー
「さあ、クライマックスよ」
“リボース・マキシマム!プリィィィンス!”
最大出力発揮を知らせる電子音声が鳴り響く。
長剣「オージサーベル」でXの字を描くように斬ると、さっきまで軽口を叩いていた怪物は悲痛な叫びをあげて爆発した。
爆炎が小さくなったのを確認すると、彼女は変身を解除した。
彼女が、僕の監察対象「サエキアカネ」である。
◆
某日某所、僕は上司のMr.サンクスマンに連れられて、巨大なスモークガラスが設置された薄暗い部屋へとやって来た。
スモークガラス越しに、人影が見える。僕の組織は任務を言い渡す時、こうしてお互いの姿が見えないように行う。なので、僕はおろか、組織内では幹部級の地位に就いているはずのMr.サンクスマンでさえ、最高官職組である「評議委員会」のメンバーの顔を知らない。
スモークガラスの向こうに居る、「監察部長」が僕に命じた。
「今度の監察対象だが、君についていてもらおうと思う」
「…………僕が、ですか…………」
「そうだ。決して簡単な任務ではないが…………できるか?」
「…………はい。新人ですが、精一杯頑張らせていただきます」
「Mr.サンクスマン。君には彼女のサポートを行ってほしい。ぜひ、彼女を一人前の監察官に育ててやってくれ」
「承知しました」
監察部長の指令に、Mr.サンクスマンは浅めに礼をした。
これが、僕の初めてのミッション…………。