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検定編3

その瞬間祐の意識は違うところにあった。

「ここは…?」

周りは黒一色。

その奥に一つ光が見える。

祐はそこに向かって走る。

少しずつ大きくなっていく光、そして光の正体は白い服の少年だった。

「おはようございます。マスター。」

マスター?どういうことだ?祐は内心で思った。

「そうでしたね。マスターは僕と会ったことは覚えていませんでした。」

祐は驚きを隠せない。こいつは心を読んだのだ。

「心を読んだわけではありません。僕の心はマスターの心です。」

全く意味が分からない。

「そうですね。説明するより体験ですね。」

そう言って少年は祐に手のひらを向けた。

すると大きな光が2人を包んだ。

やがて光が収まると少年は消えていた。

祐が周りをきょろきょろしていると、

「マスター私はあなたの中です。」

「どういうことだ!?」

「私はあなたの魔力を可視化したもの。あなたはもともとそのような微量の魔力の持ち主ではないのです。生まれたばかりの時、あなたは膨大過ぎる魔力を持っていました。そしてその魔力に体が絶えられていなかったのです。そこであなたの両親はあなたから魔力を奪い封印することにしました。しかし、普通の封印術では到底不可能でした。そこでこの光剣です。剣には普通名前はありません、しかしのその剣には異名があります。その異名は『Suction』吸引という意味です。その剣には使用者が未熟な場合、魔力を吸収する性質があります。それをあなたの両親は利用しました。その剣をあなたのものとし、魔力を吸収させ、封印しました。あなたが成長するその日まで。

今あなたは魔力に耐えられるだけの身体からだを手に入れました。よってあなたに魔力を返すことができます。しかし、それをすればあなたやあなたの周りの人はいろいろなところから狙われることとなるでしょう。何せあなたの持つ膨大な魔力と潜在的にあなただけが使える魔道いや魔法と言った方がいいでしょう、それまで解放することになるのですから。

それでも解放しますか?」

祐は返事に戸惑った。

自分が狙われるのはいい。だが周りの人、凛やアリシア、権堂たちまで狙われるのは耐えられない。しかし、この力なくしては勝てないだろう。

「その力でみんなを守ることはできるか?」

「それはあなた次第です。この力をコントロールできるのであれば可能かもしれません。」

「そうか、ならやってやろうじゃないか。」

「では、解放してよろしいですか。」

「あぁ。」

そういうとまた光に包まれた。


気が付くとそこはもとの場所だった。敵の位置から察するに俺が剣を出してから1秒もたっていない。

しかし、そのときだった。

身体からなにかがあふれてくる。

祐は咄嗟に天を見た。

そして、祐の身体からふつう見えないはずの魔力が目に見える形で溢れた。

それは会場を突き抜けかなりの高さまで上がった。

なるほど、これが俺の本来の力なのか。

敵が目の前で委縮するのが見えた。敵もウィザードだ。今のが魔力だとわかったのだろう。

祐は光剣を前に出し、剣に当たる部分に手を当て、右腰に向かって引き抜いた。光剣からは漆黒の刃が出現した。

その剣を構える。そうすると剣の後ろに空洞があるのが見えた。そこに警棒を当てるとぴったりとはまった。そして柄の指がある部分にぴったりボタンが来た。

「これならいける!」

祐は一瞬で加速し、敵の前方で剣を振った。敵はなんとか受け止めたが衝撃で壁まで吹き飛んだ。

すかさず攻める。ここからは祐の独壇場だった。一太刀するたびに敵のHPは確実に減り、たった5回振るだけで0になった。そして試合終了の笛がなった。

会場は静まり返った。その数秒後、大歓声が会場を包んだ。

祐はいきなり極度の疲労に襲われた。何とか意識を保って、テントに戻った。

そして、着くなり、周りの祝福も耳に届かず、奥の仮眠室に倒れ込んだ。


一体祐はどれほど眠っていたのか。幸運なことに今までの試合時間を鑑みて検定の日程自体が大幅に変更された。今日の検定は第2試合までで翌日第3試合から第4試合までと決勝の抽選。次の日に決勝トーナメントというもはや初めの日程とは何だったのかというものになった。ちなみに団体戦だが決勝終了1週間後に行うということになった。よって各学校はその対応に躍起になっている。

全く検定主催者たちはなにを予想してこのスケジュールを組んだのだろうか…


閑話休題

「ん…」

祐は目が覚めると自分の体が重いことに気が付いた。まだ疲れが残っているのかと思ったが下を見ると、そこには祐の身体に突っ伏して眠っている凛とアリシアがいた。

「お、おきたのか。」

そこに権堂が入ってきた。

「おう、心配かけたみたいだな。」

「その言葉、その二人に言ってやれ。お前が倒れたときからずっとそこにいるんだ。」

祐は「ありがとう」といいながら二人の頭を撫でた。

2人は同じタイミングで「んん…」と目を覚ました。

「ゆ、祐!」

「祐さま!」

これも同時だ。顔を真っ赤にするのも同時だったのはどういうことなのだろうか。

「心配かけたな。俺はもう大丈夫だ。」

そこから祐の事情説明が始まった。

光剣のこと。光剣を持ってきたクーデリアのこと。自分の魔力が封印されててそれが解放されたこと。そして自分が使えるという『魔法』のこと。

「魔法…それって歴史に出てくる天使と悪魔の二人が使ったっていうやつだよね?」

「そうですわね。天使ウリエルと悪魔メフィストがそれぞれ大地形成の魔法でこの領土を作ったとされています。」

「それを祐が使えるってのか…」

空気が重くなった。

「まぁ同じものかはわからんし、第一本当に使えるのかもわからないけどな。」

「でも祐の魔力、肌で感じられるほど大きくなってる。」

「そうですわね、まるで別人のようです。」

再び場が静寂に包まれ、空気が重くなる。

「でも、祐は祐!」

この静寂を破ったのは凛だった。

「そうですわね。」

「そうだな。」

それに2人も同調した。

「ありがとう。」

祐は笑顔でこう言った。


それから1時間後、祐はやっと起き上がれるまでに回復した。

「はぁ…まだ全身が痛い…」

「なにおじさんみたいなこといってるのよ。」

「祐さまはおじさんなんかじゃありません!」

さっきからこのような会話が続いている。権堂はいつの間にかいなくなっていた。俺もできることなら逃げ出したい。

「あ、そうだ。祐これ。」

凛が手渡してきたのは光剣だった。

「Suctionか…」

Suctionサクション?」

「Suction、吸引という意味でしたわね。」

凛が首を傾げるとアリシアがすぐに答えた。

「あぁ、さっきの試合のときこいつを握った途端に別世界に言ったような感覚になってな。そこでこの名前を聞いたんだ。」

「光剣に名前ですか…」

アリシアは漫画に出てきそうな感じで考えはじめた。

「ふつう光剣というかデバイスには名前なんてないよね?」

「ええ、ないですわね。少し調べてみましょうか。」

そう言って3人は部屋を出た。携帯端末でも調べられるが、このテントには対戦相手の情報を調べるためにさらにスペックの高い端末が備えてある。3人はそこへ向かった。

カタカタとキーが叩かれる音が鳴る。

「ありましたわ。」

3人が画面を凝視する。

「どうやらデバイスに名前がついていたのは250年以上前の事のようですわね。」

「それって、第一次魔天対戦のころってことよね?」

「ええ、ここに書かれていることが真実ならそうなりますわね。」

祐は光剣「Suction」を取り出し見る。これが魔天対戦のころのものなのならそれをなぜ両親は手に入れることはできたのか。そしてなぜそのころのものが残っているのか。そもそも残っているならかなり大騒ぎされたり、今でも保管されているはずだ。

「祐?」

凛に態度を疑問に思われたことで自分の世界に浸りこんでいたことに祐は気が付いた。

「いや、なんでもない。」

そこからは試合はないので第一学校の生徒はホテルに戻ることになった。

祐は着くなり部屋に戻ることにした。今日は祐が疲れていることがわかっていたため凛もアリシアも引き留めることはなかった。しかし、別の人間に引き留められた。


読んでいただきありがとうございました。

今回は祐の力が解放される回でした、(だいぶありがちな設定ですが、こうしないと主人公が勝てませんでした…)自分の発想力のなさが身に沁みました…

こんな作品でよければ続きをぜひ読んでください。

コメントや評価よろしくお願いします。


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