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天界来訪編12

祐が再び目を開けるとそこは元の場所だった。

だが祐の風貌は大きく違う。

腕には白銀色に光る小手、体には真ん中に赤く光る玉を付けた白い鎧、足に白銀に光るグリーブ、そして後ろには先の方だけ2つに割れたマントが身についていた。

全体を見ても、おかしな感じが無い。だが先ほどのラグエルと同様に絵に出てきそうなほど整った装備だった。

「これで対等だな。」

祐は3人を見てそう言った。

「あれって…ヴァルキリー?」

「まじで?」

後ろの2人がぼそぼそと話す。

もう1人は唖然としてるようだ。

だが、「逃げようぜ。」という言葉が発せられた瞬間、我に返ったように、

「たかが1人ソウルが増えたからってなんだ!やるぞ!」

慌てながらも発破をかけた。

「しかも、片方は初めて使うんだ、使い方もわかってねーはずだ!いくぞ!」

男が罵声気味に叫ぶと後ろの男たちも続いて攻撃してきた。

「初めて使うね…君たちだってソウルの力というより天法も使えてないじゃないか。」

男たちの顔に動揺が走った。

(やっぱりか。ソウルを付けた途端にいろんな情報が頭に入ってきたが…使える情報だな)

祐は右手を体の正面に突き出した。

「じゃあ、終わらせよう。」

祐の背後を白い陣が3つ現れた。

「白の解放ホワイトリべレーション

祐が声を発するのと同時に陣から白い光が男たちに向かって放たれた。

男たちは突撃してしまっていたので避けることもできずに光にのみ込まれていった。

祐が手を下げると光も消えた。

光りが消えるとそこには、ソウルが消えた男たちが横たわっていた。

しかし男たちに傷は見られない。ただ気絶しているだけのようだ。

「ふう。」

祐が一つ息を吐くと、祐のソウルも消えた。

(すごいな、頭に入ってきた通り、威力の調整がよくできる)

そして後ろからクリスティナが駆け寄ってきた。

「今のって…」

「そこにあった剣を借りただけだよ。」

「でも誰も抜けなかったって…」

「それはたまたまでしょ。」

祐は剣を見てそう言った。

そのあとすぐに警察がきたが、周辺の人たちのおかげもあってお咎めはなかった。ただし、多少の取り調べはあった――そのためすでに日は落ちかけている。

「はぁ…疲れた。」

祐は肩を鳴らしながら警察署を後にした。その後ろにクリスティナも続いている。

「なんだかおじいさんみたいよ。」

「いや…疲れることは疲れるよ。」

事件に対する聞き取りはすぐ終わったのだが、問題だったのは祐の使ったソウルのほうだった。

「まさかソウルに届け出があるとは思わなかったよ…」

この世界では基本的に自分のソウルを証明するために通う学校などに届け出をする必要があるらしく、祐は咄嗟にあったソウルを使ったためその証明が出来ずに長引いていたのだった。だがそれも理事長がどうにかしてくれたらしく、それが無ければ今日帰れたのかも怪しかったらしい。

「理事長には感謝しないとね。」

「あぁ…このあとが怖いけどな。」

そう言って祐は肩を落とした。

「まぁ…ね。それと、」

クリスティナは一歩前に出て祐の方を向いた。

「今日はありがとうございました。」

クリスティナは深く頭を下げた。

「あ、えっと…」

祐は戸惑い、言葉がすぐに出てこなかった。

「ふふ。」

祐が戸惑っていると、前にいるクリスティナが笑いだした。

「あなたって戦闘事ではすごいのにそれ以外では本当にダメなのね。」

「仕方ないだろ…」

祐は目をそらしながらクリスティナに答えた。

その姿がおかしかったのかクリスティナはさらに笑っていた。

それから2人は学園に帰るのではなく、ソウルを売っていた露店に向かった。

何と言ってもあの剣は売り物で祐の所有物ではない。手に入れるにしろ何にしろ、一度は行かなければならないのだ。

祐はこれがヴァルキリーソウルだと聞かされていたので、高額な出費とかなりの叱責を覚悟していったのだが、実際はかなり違った。

そして今は学園への帰り道。

「まさかな…」

「いい人で良かったわね。」

祐たちが露店に行くと店主はかなり温かく迎えてくれて、中に通してまでくれた。

そして剣を返そうとすると、

「その剣はお前さんを選んだ…か。」

「そうね、初めてであんなにソウルを使える人見たことないわ。本当に選ばれたのかもね。」

祐は店主からもらったホルダーに収めていた剣を鞘事抜いて眺めた。すると剣はうなずくようにきらめいた。

「さて、遅くなったし急ぎましょ。」

「あぁ。」

2人は少し速さを上げて学園に帰った。

そして、寮の前まで来た。

「そういえば、クリスティナもここに住んでるのか?」

「ええ、そうよ。通学に無駄な時間はかけたくないもの。」

「確かにその通りだな」

この学園の周囲はほとんど森であって住居はない。この寮に住まないと通学にかなりの時間がかかりそうだった。それでも女子寮が空いていたのは箱入り娘とかそういう理由なのだろう。

「さて、今日はここまでにしましょ。そのソウルの登録は明日ってことで。」

「あぁ、わかった。今日はありがとう。」

クリスティナは祐に対して軽く手を振って寮の2階へと消えて行った。


読んでいただきありがとうございます!


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