天界来訪編10
そのあとすぐに着替えた祐は愛花とアリアとケアリーと4人で朝食を取った。
朝の騒動も4人以外には詳しく知られることもなく、今は放課後。
たった今授業が終了したところなのでまだ生徒たちも教室にいる。
祐も昨日貰ったばかりの教科書を片付けている最中だった。すると、
「西城君。」
祐に声を掛けてきたのはクリスティナだ。
「…」
(愛花にどんな顔して会おうか…)
「西城君?」
祐は大きめに言われた言葉でやっとクリスティナの存在に気が付いた。
「あ、あぁ。」
「まだ朝の事気にしてるの?」
クリスティナは朝の一件を知っている。祐が朝教室で悩んでいるときに声を掛けたら自分から喋ったということだそうだ。
「まぁな…」
「愛花ちゃんだってあなたがわざとじゃないのはわかってるわよ。」
「あぁ…」
祐はそれでもまだ考えているようだった。
「はぁ…あなたって意外と思いつめるタイプだったのね。」
「…普段ならここまで考えないんだけどな。家族と今まで一緒に居たことがほとんどないから。」
「そう…」
沈黙の時間が流れる。
「…この後時間あるかしら。」
「時間?特に予定はないが。」
「ならあなたのソウルを探しに行きましょ。」
「ソウル…あれか。そこらに売っているものなのか?」
「そうね。ちょっと大きなマーケットに行けば売っているわ。」
「そうか、ここではあれが無いと不便だしな。」
「それじゃあ、行きましょう。」
「あぁ、頼む。」
そこから2人は学園を出て、しばらく歩いた。
約10分といったところだろうか。木々が生い茂る森、(ただし道はきちんとある)を抜けると大きな町に出た。
「こんな近くに町があったのか。」
「ええ、学園からは森があって見えないけど、学園自体はかなり都会にあるのよ。」
「へー」
祐は辺りを見回している。
「…ほんと俺の居たとこと比べるとおとぎ話の世界みたいだ。」
「あなたのところはどんな感じだったの?」
「こんなふうに露店が並ぶことなんてまずないし、もっと巨大な建物が乱立していて風景なんてあったものじゃないな。」
「へぇ…それだけ聞いているとここの方がいいわね。
「あぁ、ここの方が人と人との繋がりを感じるよ。」
祐はもう一度辺りを見回した。
「さ、もたもたしてると日が暮れちゃうわ。行きましょ。」
クリスティナが先に行き、祐はそれについて行った。
それから約5分後、少し大きな店に2人は着いた。
そこは露店形式で大きな机の上にいろいろなアクセサリーが置いてある。
「ここがソウルを売っているところ?」
「ええ、そうよ。」
クリスティナがそういうと奥で作業をしていた店主が店に出てきた。
「いらっしゃい!」
「…でも鎧も何もないよ。」
「…言ってなかったかしら。」
「何を?」
祐は本当に何も知らないので普通にクリスティナに質問を返した。
「…ソウルっていうのはもともと何かしらほかの形状をしているの。こんな感じにブレスレットに石がついているか、ペンダントのような感じなのよ。」
クリスティナは目の前にあったブレスレットをひとつ手に取って祐に見せた。
「へぇ…じゃあ、あの剣はなに?」
祐は机の一番奥に隠すように置かれていた剣に気が付き、それを尋ねた。
「剣…?」
クリスティナはその剣を見つけられていない。
「ほう、あんたよく見つけたね。」
店主は驚きながら感心した様子で隠してある剣を取り出した。
クリスティナはその剣を見て驚いた。まさか剣があるとは思ってなかったのだろう。
「それは…ヴァルキリーソウルですか?」
クリスティナが店主に尋ねる。
「あぁ、どうやらそうらしい。」
「らしい?」
店主の答えに祐が疑問を持つ。
「誰も使えたことが無いんだ。まずこの鞘からすら抜ける人間がいねぇ。」
店主は一度剣を抜く素振りを見せたが、ビクともしていない。
「ソウルってアクセサリー形式じゃないんだ。」
祐がクリスティナの方を向いて問う。
「えぇ、アクセサリーなのはソルジャーソウルのように人工的に作られたソウルだけよ。ヴァルキリーソウルは普通に作れない物でたまに遺跡とか森から見つかるのよ。」
「なるほど…」
祐が考え込んだそのとき、
「きゃあ!」
横に居たクリスティナが大きな悲鳴を上げた。
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投稿が遅れてしまい申し訳ありませんでした…