学園祭編18
後夜祭会場である校舎裏側のグラウンドに着くとすでに後夜祭は始まっていた。
クーデリアは着くなりすぐにどこかに行ってしまって祐は端の炎で微かに明るくなっている芝生に座ってぼんやりとしていた。
(クーデリアさんにあんな一面があったとはな…過去に何かあったのか…)
「祐?」
(でも俺はやらなきゃいけない。凛やアリシアだけじゃない、俺の周りの仲間を傷つけるやつを放置はしておけない。)
「祐ってば。」
肩を叩かれて祐はハッと後ろを振り返った。そこに居たのは凛だった。
「凛か…驚いたよ…」
「ずっと声かけてたのに気づかないんだもん。」
凛が祐の顔を覗く。後ろの炎と相まって凛の姿は幻想的に見えて祐は見惚れてしまった。
「祐?」
祐が顔を近づけて覗く。祐はやっと我に返った。
「ど、どうかした?」
「祐こそぼんやりしてどうかしたの?」
「大したことじゃないよ、ただヨハンたちはどこから来たのかなって思っただけ。」
祐は咄嗟に思いついたことを言ったがこれも考えていたことの一部ではあった。
「そっか、ヨハンたちは明らかに祐を狙ってたもんね。西城家に恨みでもあったのかな?」
「それはわからないな。もし西城家に恨みがあるのだとしたら俺だけを狙う理由がわからないし。戦闘面では何もできない人だって大勢いるんだから。」
「それもそうだよね、うちも似たようなものだし。」
祐は再び考え込んだ。
(ヨハンたちは十中八九俺のことが気に入らない分家の人たちの差し金だろな。だがそれにしては甘すぎるな。)
「祐、また考え込んでるよ。」
凛が苦笑しながら祐の肩を叩いた。
「もうそんな考えたって答えは出ないんだから。ほら。」
凛が手を伸ばしてきた。
祐が首をかしげると、凛はため息をついて
「もう、せっかくの後夜祭なんだから。」
凛は無理やりに祐の手を引いて大勢がダンスを踊っている炎周辺に祐を連れて行った。
そのあと祐は凛と1曲踊ることになった。ダンスの間は今までのことをすべて忘れられるような気が祐にはして心地よかった。
学園祭編終
読んでいただきありがとうございます。これにて学園祭編は終了になります。次回からは活動報告の通り天使サイドの編に入ります。内容は随時書いていますのでゆっくりとお待ちくださいませ