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学園祭編16

「それは…悪魔の武装。」

ヨハンが目を見開いたままそういった。

「ほう、お前は悪魔を知っているのか。やはりその槍には悪魔が宿っているのだな。」

ヨハンの目尻がピクッと動いた。ブリューナクだと誰もが疑わなかったものの正体を見破られたことに驚いているだ。祐はルシファーが悪魔だとは知らなかった。というよりも今の信じていない。ルシファーのことは魔力が意志を持ったものだとしか思っていない。

「お前、なぜこの槍の事を知っている…」

ヨハンの声色が変わった。より正確には二つの声が混ざっている。

(やはり意志を持った何かが宿っているのは間違いないようだ。だが暴走させるのはまずい。)

「槍のことは知らないさ。今でもブリューナクだとは思っている。そんな強い槍が何本も存在されてはたまらない。」

ヨハンは祐の言葉の真偽を疑うように目を一点に見ている。祐も悟られないようになんとかごまかしている。

「…それはそうだ。これは世界にたった一つしかない最強の槍ブリューナクなのだから。」

声色が戻った。祐にはなぜそこまでブリューナクにこだわるのかは理解できなかったがここでヨハンが暴走するのを避けられたのだからよしとした。

祐が剣を構える。ヨハンも槍を構える。お互いが武器を構えた段階で会話は終了していた。

(そろそろかな。俺からは確認できないけど凛なら大丈夫だろう。)

「さて、俺も本気を出さないとね。」

祐は光剣に込める魔力を高めた。光剣の刃はどんどん大きくなっていき、大剣サイズになった。だが光剣の刃は魔力であるため重さに変化はない。祐はその大剣を大振りになることなく振り下ろしていた。

ヨハンも先ほどまでと同じように槍の柄でそれを止めようとした。だが、

「くっ…」

ヨハンの口から苦悶の声が漏れ片膝を地面につけた。

重さは変わっていないが威力が変わっていないというわけではない。威力が変わらないのでは魔力が込める意味がない。ヨハンは相手の威力の上昇量を見誤ったのだった。

じりじりと少しずつだが祐の剣がヨハンの槍を押す。

「く…そっ!」

ヨハンが一気に光剣を弾いた。

祐はその勢いを利用して後ろに跳んだ。

(よしこれで距離が取れた。)

祐がしたかったのは光剣でヨハンを切ることでなく、この距離をつくることだった。

「はぁ!」

祐は勢いよく光剣を振った。すると祐の剣から魔力の刃が放たれた。

これはフェルデとの戦いの時にやった経験から行ったものだった。あの時は何も考えず剣を振っただけだったので50センチほどの距離だったが、人間一度できるとわかったものは時間をおいてもだいたいできる。そして今度はどういう形をとるかのイメージもできている。その結果、祐の剣からは魔力の刃が放たれたのだった。

2つ3つと祐は刃を放つ。ヨハンはそれを槍で受け止めるので精一杯になっていた。

通算10発にはなろうかというとき、祐は一回だけ頭上に刃を放った。

ヨハンはそれに何かを感じたのだったが、すぐに祐が刃を飛ばしてくるためそちらの対処に追われていた。


凛は祐が突っ込んだあとすぐに場所を変えた。祐の作戦を遂行するためだ。

祐が言うにはあの槍はブリューナクじゃない。ブリューナクよりも危険なものだという。そしてそれを止められるのは自分ではなく凛だとも言った。

そしてそのあと作戦を残して祐は戦いに戻った。

祐の作戦はその場で作ったもので半分ほどがアドリブだ。

だが半分も決まっていればどうにかできる。凛は作戦通りヨハンの右側に回り込むため足音を殺しながらも急いだ。

凛の発生させた霧は温度変化で発生させただけでなくその場に遠隔系魔道として発動させたので霧が薄くなると温度変化が起きてまた霧が発生するようになっていた。その分魔力の消費はかなりのものなのだが凛にはこの程度はまだ大丈夫だった。

霧の中を進みながら凛は祐たちの戦いの様子を見ていた。ここは凛が発生させた霧の中なのでその雫一つ一つが凛の目のようなものだ。だからこそこの作戦は成り立つ。凛がヨハンと5メートルの距離を空けて右側に着いた。そして2分ほどで合図である魔力の刃が霧を突き破って頭上に姿を見せた。

凛は右手のデバイスに新しいキーを打ち込んだ。すると霧が徐々に薄れていくが魔力の供給が止まったことで再び濃くなることはなくなった。

だがヨハンはそれに気づいてはいない。というよりも気づける隙が無い。

凛は視界に入ってきたヨハンをよく見てそこを照準と意識して最後のキーを打ち込んだ。

霧を発生させていた時よりも多い魔力が一気に放出される。

ヨハンの周囲に白い煙が発生し辺りの温度が急激に下がった。

「なっ!」

ヨハンはその現象だけで次の段階が予想できたようだった。

だが予想できただけで行動はできなかった。

ヨハンは全身が氷漬けとなり戦闘は終了を迎えた。

祐はヨハンが完全に動きを止めるのを確認してから凛に近づいた。

「お疲れ様。助かったよ。」

「ううん、私だって戦うって決めたんだから。」

「そうだね。でも本当にありがとう。」

祐は満面の笑みで凛にそういった。

「う、うん。」

凛は顔を真っ赤にしてうつむいた。

祐はそんな凛の姿を見て自分まで顔が熱くなるのを感じた。

「そ、そういえばあっちは静かだね。」

誤魔化したつもりなのだろうが客観的に見ればバレバレである。

「そ、そうだね。」

だがこの場にいるのは当事者二人だけだったのでお互い気が付かなかったようだった。

「まさかやられたなんて…」

凛が心配を現したと思ったそのとき

「あら、私たちならここに居ますよ。」

タイミングよくクーデリアとアリシアが現れた。

「…ベストタイミングですね、会長。」

祐がジト目でクーデリアを見るとクーデリアは

「そうですか?」

いつもの表の顔の笑顔で祐に答えた。

だが祐にはその顔の裏に「見てましたよ。」的な何かがあるように感じられた。

「それにしても早かったですね。こちらよりも後に戦闘が始まったはずなのに。」

「まぁ彼ほどの強い敵がいたわけではありませんので。」

クーデリアは氷漬けのヨハンを見て腰の光剣を抑えながらそういった。

その場にいた全員がヨハンを見て何かを考えている。

「さて、では後片付けをいたしましょうか。」

クーデリアは重くなりかけた空気を手を一度叩くことで払拭した。


読んでいただきありがとうございます。

今回でヨハンとの戦闘は終了となります。ですが「学園祭」ですので話はもう少し続きます、(これのどこが学園祭だというツッコミはなしの方向で…)

投稿が遅くなってしまい申し訳ありませんでした(__)


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