学園祭編10
読んでいただきありがとうございます。
いつも読んでくださるみなさん、遅くなってすいません。今回は1日目の終了後の話となっています。まだ戦闘シーンはありませんが次回の2日目からはどんどん楽しい学園祭から離れていきます、(それでいいのかという感じもしますが)よければ読んでください。
コメントや評価よろしくお願いします。
事実祐とクーデリアの関係は生徒会役員以上のものなのだがそれを話してあるのはほかの生徒会役員2名と凛だけだ。祐はアリシアにも伝えようとも考えたのだが話してしまえば巻き込む可能性が多いにあったため話さずにいた。(凛の場合は名前上知らなくてもなく込まれる可能性があったのでそれならばと話したのだった)
アリシアは疑いの眼差しを祐に向けていたのだが、
「祐さまが話さないということはそれなりの理由があるのでしょう。」
といって納得したように前に進んだ。
そして祐の前で一度振り返って、
「ですが心配はしますからね。それは私の勝手ですから。」
眩しい笑顔でアリシアはそう言った。
「…わかったよ。危ない真似だけはしないでね。」
「それは祐さまもですよ。」
2人はお互いの目を見た。
そして数秒後同時に笑い始めた。
そのあとはアリシアがクーデリアやそのほかのことについて聞いてくることはなかった。
気になっているのはわかったがそれを表に出さないようにふるまっていた。
祐は表に出していなくてもわかっていたのだがアリシアの気づかいに心の中で感謝しながらアリシアの行きたがっていた場所を1日目終了まで巡った。
1日目終了から約2時間。生徒たちは一部が明日の準備などをしているだろうがほかの生徒たちは下校しただろう。そして祐はその一部だった。生徒会は今日の学園祭で起きたことの整理、そして明日のゲストなどの予定の確認に追われていた。
「会長。明日のゲスト予定の確認、終了しました。」
「お疲れ様、真くん終わったなら上がっていいわよ。」
クーデリアの席の前に立っていたのは真だ。ほかの2人はというと、万里香はまだ終わっていない。一方祐は真の終わる数十分前に今日の起きたことをまとめ上げクーデリアに報告文章を提出していた。そして祐は終わってからデバイスの調整に関する文献をオンラインで熟読していた。
真は祐をチラッと見ると少し怪訝そうにしたが、
「ありがとうございます。これで失礼します。」
クーデリアからの好意と祐を比べた結果、帰ることにしたのだった。
「お疲れ様。明日もよろしくね。」
クーデリアは最後に笑顔を真に向けた。
「はい!」
真ははっきりとした声で肯定を示して生徒会室を後にした。
(会長も扱いになれているな…)
祐は熟読しているといっても周囲の警戒を怠ることはない。祐の顔には何の変化もなかったが周りの空気に変化があったのだろうか、真が帰ったあとすぐにクーデリアは祐の方にも笑顔を向けた。
それから約30分後。
「終わったー!」
おおきな声を上げて伸びをしたのはもちろん万里香だ。万里香が任されていたのは帳簿の管理だった。この性格からすると大雑把な会計管理なのではないかと多くの人間が疑うがそれは偏見で彼女の会計管理はかなり細かく、この生徒会には彼女以上の適役はいない。
「ふふ、万里香ちゃんお疲れ様。もう遅いから上がっていいわよ。」
クーデリアが労いの言葉を掛けると万里香はすぐに肯定を示して帰っていった。
「祐くんもまだ帰らないのですか?」
祐は自分が声を掛けられたことで端末に表示された時間を始めてみた。
「もうこんな時間ですか。そろそろ帰った方が良さそうですね。会長はまだ残りますか?」
「うーん、私もすることないし帰ろっかな。」
クーデリアは一つ大きな伸びをすると立ち上がった。
「そうですか。では帰るとしましょうか。」
2人はいつも通りに学校を後にした。
だが祐は校門を目前にして違和感を覚えた。
「祐くん?」
クーデリアが首をかしげる。
「いえ、勘違いのようです。」
祐はこの違和感を勘違いとしながらも少し警戒のレベルを引き上げることにした。