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学園祭編7

次の日の学校は祐の予想通りのものになった。

祐を見る生徒たちの目が昨日までと大きく違う。昨日までのは憧れなど、しかし今日のは畏怖。視線が集まることに違いはないのだがその重さが違った。

(やっぱり広まったか…)

祐は足早に教室に向かった。

教室の前に着くと中はいつも通りの騒がしさだった。だが祐が扉を開けた途端にそのざわめきはすべて消えてなくなった。いつもなら声を掛けてくるクラスメートたちも声を掛けてくることはない。ただ一人を除いて。

「祐、おはよう。」

話しかけてきたのは凛だ。

「おはよう。凛。」

祐はあくまで今まで通りで接する。凛も昨日は驚いていたようだがなんとか平静を保っているように見える。

その後ろでは「西城と東峰って仲悪かったじゃなかった?」などと言った会話がなされている。

祐はそれらに目を向けることなく自分の席に座った。

この程度は想定内だった。もし自分が反対の立場ならこうなってしまうことは当然だと考えていたからだ。

だが想定とは総じて覆ることが多い。

すでに祐のクラスの生徒は全員教室にいる。だが後ろの扉が大きく開け放たれた。

「西城祐!出てこい。」

入ってきたのは見覚えのない大柄な男子生徒だった。

教室が騒めく。どうやらその手の話で有名な生徒のようだ。

男はづかづかと躊躇なく教室に入り祐に近づく。

「おい。てめぇ聞いてるのか。」

祐の横まで来るとはっきりと聞こえる大きな声で祐に言った。

(さて、どうしたものか。)

おそらくこれは西城という名前による弊害だろう。つまりこの男以外にもこういうことをしてくる輩は少なからずいるはずだ。そのすべてに対処するのは骨が折れそうだった。

(それなら一度ねじ伏せておくか。)

「おい!」

男が祐の胸ぐらをつかもうとした。

祐はそれを躱しながら立ち上がる。

そして男にわかりやすく侮蔑の目を向ける。

「て、てめぇ…」

男の怒りは頂点に達したようだ。男は右拳を握りしめている。

「お前ら西城のせいで俺の家族は…!」

男が祐に殴り掛かった。

その速度は普通の速度ではなかった。男の左手を見るとそこにはデバイスが見えた。つまりこれは加速の魔道を使用した攻撃ということだ。

しかもゼロ距離からの攻撃だ。普通なら躱せない。手練れでも躱すのが精いっぱいだろう。

だが祐は違った。失敗する可能性も大いにあった。だがそれでも成功で得る成果の方が大きいと判断して祐は相手の拳を自分の手で受け止めた。

バンッという大きな音が教室に鳴り響いた。

「なっ…!」

男はかなりの衝撃を受けたようだ。周りの生徒たちも驚きを隠せていない。

「君の家族がどうなったか俺は知らないし、知りたくもない。俺が西城になったのは自分の行動に必要だったからだ。君が怒りを向ける先は俺なのか?俺が何かしたのか?」

祐は淡々と述べた。

男は苦虫を噛み潰している。

「だがてめぇは西城だ。俺は西城を許さない!」

男は空いている左手でで祐に殴り掛かった。

それには魔道は込められていなかった。

そんなものを受け止めるのは祐には容易かった。

祐は相手の右手を離し、相手の左腕を掴んで床に叩き付けた。

「ぐは!」

男から苦悶の声が聞こえた。

「まだやるか?」

祐はあくまで淡々と言う。

相手から戦意が消えたのを見ると祐は拘束を解いた。


あけましておめでとうございます。約1週間ぶりの投稿です。遅くなってしまい申し訳ありません。今回は祐の西城の名前が学校に知れ渡った朝の話です。ここで祐のとった行動がこの後どうなるのかよければこれからも読んでいただけると嬉しいです。

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