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学園祭編4

「さて、ここからは事務的な処理だ。」

仙蔵は呼び鈴を鳴らし、いつの間にか空になっていたカップを下げさせて新しい飲み物を用意させた。

飲み物がそろい、使用人が下がったのを確認すると仙蔵は話を続けた。

「まず君の姓についてなのだが、今のままでいくか西城の姓を名乗るかどちらがいいだろうか。」

「…西城の姓を名乗る以外の選択肢があったのですか。」

「あぁ、別に名乗らなくとも協会に君が西城家の一員となったとだけ知らせられれば十分だ。あとは西城という名前のインパクトを必要とするかどうかだけだ。」

そこまで言って仙蔵は苦笑した。

「…すまない、自分で自分の姓のインパクトを語ってしまった。」

「それで、どうする?姓を変えるか?」

祐は目を瞑って考えた。その時間は10秒もかかった。

「西城の名前の強大さはよくわかっていますからね。」

祐は仙蔵の目を見て言った。

「名前一つあれば面倒事も減るでしょうし、もらいましょうかね。」

仙蔵は笑みを浮かべた。

「そうだな。君の細かな厄介ごとは消えるだろうな。その分大きな厄介ごとが増えそうだがな。」

「それは名前を変えなくても来ることですよ。」

2人はそろって目を瞑って笑った。

「わかった。それでは君の名前は今日から西城祐だ。そして私の直属、西城本家の人間ということになる。」

祐はそれにうなずいた。

「そして、クーデリア。」

「はい!」

クーデリアは急に名前を呼ばれて驚いていた。

「西城本家の人間には必ず1人従者がいる。君には祐の従者を任せたい。」

「わかりました。」

クーデリアはしっかりとした顔でうなずいた。

そのあと、祐は名前を変える手続きの書類などにサインして応接室をあとにした。

祐が応接室、仙蔵の部屋と出るとそこには石塚が待っていた。

「祐様。お食事のご用意がございますがいかがいたしましょう。」

呼び方がさっきと変わっている。つまり石塚には祐が西城になるということが仙蔵より伝えられていたのだろう。

「クーデリアさん、どうします?」

クーデリアは少し驚いた様子で、

「あ、祐様の指示に私は従いますので。」

祐は少し困った顔で、

「うーん、クーデリアさん。今まで通りでいいですよ?」

「…いいえ、祐様は本家、私はその従者です。今まで通りとはいきません。」

祐は少し考えた。

「…じゃあ、こうしましょう。」

祐は真面目な顔でクーデリアを正面に見据えて、

「クーデリア、今まで通りにするんだ。」

クーデリアは面喰った。

「…わかりました。祐くん。」

祐は笑顔でうなずいた。

その後ろで石塚は笑いをこらえきれなくなっていた。

「…申し訳ありません。祐様が似ていらっしゃったものでして。」

「似ていた?」

「はい。昔の仙蔵様に。昔の仙蔵様も祐様と同じ方法で私に砕けた表現を使うように命令なさいましたので。」

祐は何度か瞬きした。そんな風に仙蔵は見えなかったからだ。

「今は当主になられましたのでそうもいっていられなくなりましたが。」

石塚は笑ってそう付け加えた。

祐もクーデリアもそれにつられて笑った。

「それでクーデリアさん、どうします?」

「そうですね、せっかくですから頂きませんか?」

「わかりました。石塚さん、食事をいただきます。」

「かしこまりました。食堂まで案内いたします。」

石塚は少し砕けたように祐に言い、一礼して祐たちを食堂まで案内した。

祐は食事と言っても普通の大衆食堂の感じだと思っていたのだが出てきたのはフレンチのフルコースだった。祐は驚きながらもそれをすべて食べた。

そのあと石塚から「これで西城本家と連絡が取れます。」と言われ、石塚の連絡先と西城本家への連絡先を渡された。

石塚の案内で2人は邸宅から出るとそこには行きに使ったのと同じ車が待機していた。2人はそれに乗り込み西城本家を後にした。


読んでいただきありがとうございます。今回で西城本家内での話は終わり、次回からは学校に戻った後の話になります。当然様々なゴタゴタに巻き込まれるのですがその内容を楽しんでもらえたらうれしいです。

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