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学園祭編2

「二人ともまだ残ってたのか。」

「だって気になったから…」

「それで祐さま、西城のお方はどのようなご用件でしたのですか?」

祐はどう答えたものか考えた。彼女たちになら正直に西城家に勧誘されていることを打ち明けても問題はないとは思う。だがその結果西城の内輪もめに巻き込むことになるのだけは避けたい。

「…どうやら俺の光剣について話があるそうだ。」

結果祐は自分の持っているもので一番不思議の多い光剣Suctionの名前を使うことにした。

「そうですか…」

「あの人が西城家の人?」

凛は明日香を見ながらそう言った。

「あぁそうだよ。西城明日香さんというそうだ。」

名前を言ったところで誰にもわかりはしないだろう。西城は東峰と違って表に出てくることはまずないのだから。

「それと後ろにいるのは生徒会長ですか?」

アリシアが後ろにいたクーデリアに気が付いた。

「うん。…校長が俺一人だと心配だからってつけてくれた。」

その場で思いついた理由だったが2人は納得してくれたようだった。

「それじゃあそろそろいくよ。」

「気を付けてね。」「気を付けてくださいね。」

2人の顔は誰が見ても心配していることが明白だった。そんな2人に嘘をついたのは心に響いたが2人を巻き込むよりましだと無理やり納得し、祐は2人に笑顔で「行ってきます。」と言って明日香たちのもとに戻っていった。

「お待たせしました。」

「いえいえ、かわいらしいお2人ですね。」

「ええ、そうですね。」

祐は2人の方を見て言った。

「それでは参りましょうか。」

明日香は校門を出てその前に止まっている車の方へ向かった。

祐はそれに続き、さらにその後ろにクーデリアが続いた。


西城家の用意した車に乗り祐たち一行はセパレイの中でも端の端、次の町へと続く道に来ていた。車はリムジンのようで明日香と祐は対面し、祐の隣にクーデリアが座っている。

「さて、それではこれから地図上にない道に進みますのでここからのルートは他言無用でお願いしますね。」

明日香が祐に向かってそう言った。クーデリアはもともと西城とかかわりのある人間なのでそのことを知っているということで相手にしなかったのか、そのほかの理由なのかは祐には判断できなかった。

祐が少し間をおいてからうなずくと明日香はそれに笑顔でうなずいた。

それから車はトンネルに入った。

そして大きなカーブに差し掛かろうとしたとき、目の前が唐突に変化した。目の前はカーブで壁なのだが車は一度も減速することなくその壁に突っ込んでいった。

祐はその光景に目をそらしてしまった。

一方明日香は当然のごとく目を閉じることもなく前を向いていた。

「くすっ。藤谷君もう大丈夫ですよ。」

祐は恐る恐る目を開いた。するとそこはさっきまでのものとは照明が違うトンネルだった。

「…今のはどういうことなんですか?」

「あれは光学系の常駐型の魔道の一種です。」

常駐型の魔道というのは祐の使う加速などとは違い、一定の範囲に同じ効果をかけ続けるというものだ。障壁もこれに含まれると議論されたのだが、障壁の魔道は一度攻撃を受けるとそのダメージを補う魔力を注ぐ必要はあるが一度発動させれば魔力を注ぎ続ける必要はない。そして常駐型の魔道とは発動中に魔力を注ぎ続けるというのが定義だ。よって障壁はこれに含まれていない。

閑話休題。

「光学系ということは光を反射させるとかであの部分に壁があるように見せているということですか。」

「はいその通りです。」

副音声に「満点です。」と言ってそうな満面の笑みで明日香が答えた。

「ですけどそれだとウィザードが常駐している必要がありませんか?ウィザードの姿は見えませんでしたが。」

祐は目をそらしながらもいつもの通り周囲の警戒を怠ったわけではなかった。そしてトンネルに入ってから祐は魔道を使っているウィザードを見つけることはできていなかった。

「常駐型と言ってもずっと魔道を発動させ続けるのは負担が大きすぎるので、魔力保存コンデンサを西城家が改良してそこから魔力を注いでいるんですよ。」

「なるほど。それならウィザードがいなくてもかけ続けることはできますね。ただ効率は悪そうですが。」

祐は明日香の言葉を聞いて今まで人に向けていた警戒を魔力に変えた。すると魔力を放出している物体を発見できた。だがそれはお世辞にも効率のいいものとはいえず無駄に多くの魔力を放出しているようだった。

「その通りです。あの技術はまだ未完成ですので。」

「そうでしたか。完成したら実物を見てみたいですね。」

祐がそう言ったところで車はトンネルを抜けた。

トンネルを抜けるとそこにあったのは古い町並みを再現したような場所だった。

辺りには平屋の家が立ち並び、その奥には畑、そして森が広がっている。

そしてその奥にはひときわ目立つ建物があった。大きさは周りの家の数倍、おそらく3階建て以上だと思われる建物がある。

「あれが西城本家ですか。」

「その通りです。あれが西城本家にして西城魔道研究所です。」

「西城魔道研究所?」

「はい。あそこでは先ほど使われていた魔力保存コンデンサや魔道そのものの研究が行われています。」

祐はもう一度西城本家を見た。作りは普通の洋風なのだが建物が出す雰囲気は異様と言えた。理由はわからなかったがとにかく威圧感が強い。

(あれが東峰と対を成す西城の邸宅か。検出できる魔力もほかの研究所とは桁違いだ。)

車が本家邸宅前に着き、祐たちが降りるとそこに待っていたのは10には超える人数の使用人たちだった。

「お帰りなさいませ、明日香様。ようこそお越しくださいました藤谷様。」

使用人の中でも一番年上に見えた老人が一歩前に出て言った。

「では参りましょうか。石塚さん、御当主様のところへ案内してください。」

「かしこまりました。」

老人――石塚は腰を折って礼をし3人を案内した。

そのまま5分ほどだろうか進むと周りとは大きさの違う扉の前に着いた。

石塚が横にある呼び鈴を鳴らす。

「石塚です。明日香様と藤谷様をお連れしました。」

「あぁ入ってくれ。」

中から、(実際には横にあるスピーカーだが)声が返ってきた。

石塚がゆっくりと扉を開ける。

奥には一人の男が座っていた。

石塚は3人が入ったのを確認すると一礼し、部屋を後にした。


読んでいただきありがとうございます。

申し訳ありません。まだタイトルが決まりません…

もうしばらくお待ちください…


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