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学園祭編1

テストも終わり、その成績に一喜一憂しているある日のことだった。

「んー。今日の授業もこれで終了と。」

祐が背伸びしながらこう言った。

「あはは、祐なんか年寄りみたいだよ。」

「そうか?だってずっと座ってるのは疲れるだろ。」

祐が凛の言った言葉に返す。

「さて、帰るとしますか。」

祐が立ち上がり、凛と一緒に教室を出ようとしたときのことだった。

ガタン!という大きな音ともに祐たちのすぐ後ろの扉が開いた。

「祐さま!」

入ってきたのは年齢は一緒なのだが学年が一つ上のアリシアだった。

「アリシア?そんなに慌ててどうしたんだ?」

「それは…」

アリシアが息を切らしながら言おうとしたそのとき、

「藤谷祐君。至急校長室まで来てください。」

放送が鳴った。

「…俺、最近校長室呼ばれ過ぎじゃないか?」

「だね…」

「それでアリシア、言いたかったことは何だ?」

アリシアは今の間で落ち着いてきたようで一度深呼吸をすると

「はい、これは聞いただけなのですがどうやら西城という苗字の方が祐さまを訪ねてきたそうです。」

その言葉に教室中の生徒が振り向いて耳を傾けた。

「…どういうこと?」

凛がアリシアに問う。

「わかりません…外から帰ってきた生徒が門番に止められた若い女性が『西城何某です。藤谷君に用があってきました。校長先生にご連絡ください』と言ったそうで。」

「西城…祐心当たりはあるの?」

「うーん、特に思い当たる節はないな。まぁ行ってみればわかるさ。」

これは真っ赤なウソなのは言うまでもない。祐には若い女性というのがおそらく西城明日香だということもわかっていた。

「それじゃ行ってくる。」

「気を付けてね。」「気を付けてくださいね。」

凛とアリシアにそう見送られて祐は校長室に向かった。


それから数分、祐は校長室の前に来た。祐がノック替わりの呼びベルを押すと「どうぞ。」という聞き覚えのある声がスピーカーから聞こえてきた。

「失礼します。」

祐が校長室に入るといつもの校長席には校長が、手前の応接席には予想通り西城明日香がいた。

「お久しぶりですね。明日香さん。」

「お久しぶりです。藤谷君。」

2人は顔見知りではあるがその関係は決して友好的というわけではない。確かに明日香は祐に西城の裏までを教えているが祐はそれが全てではないとわかっているし、明日香の方も祐がそれに気が付いているとわかっている。

そのため2人のあいさつはあまりいいものではなかった。

「あはは、そう硬くならないで。さぁ祐君も座りなよ。」

「わかりました。」

祐は明日香の正面に腰かけた。

「それでわざわざ学校を訪ねてくるほどの要件は何でしょうか。」

祐の言葉には「自分と西城家との関係を勘ぐられますよ。」という意味が存分に込められていた。

「はい。西城本家はあなたを向かへ入れることに決めました。」

「なんだって!?」

この言葉に祐は立ち上がってしまった。

校長が手振りで祐を座らせる。

「…それは本当ですか?」

祐がまだ驚いた様子で問う。

「はい、こちらに本家当主西城仙蔵の直筆文があります。」

そういうと明日香は足元にあったカバンから一枚の文書を取り出した。

そこには本当に祐を西城家の人間と認めるということだけが書かれ、下には西城仙蔵と直筆で署名と西城家の文様が押してあった。

それを校長が一度受け取った。

「…これは本物だね。その文様に込められている魔力は西城仙蔵本人のものだね。」

どうやって校長が文様を本人のものだと判断したのか気にならないこともなかったが今はそれどころではないので横に置いておくことにした。

校長は本物と確認した文書を祐に手渡した。

「それで俺はこのあとどうしたらいいんですか?」

「当主は一度あなたに会いたいそうです。」

「そうですか。それでは今日このあとえよろしいでしょうか。」

「わかりました。早いことに越したことはないですから。それでは参りましょうか。」

明日香は立ち上がり部屋を出ていった。

祐もそれに続こうとしたとき、

「きをつけなよ。ここからは僕も凛くんにも何もできない。君だけで解決するしかない。」

祐が校長の方を振り向くとその顔はいつになく真面目な顔だった。

「わかってますよ。ただひとつだけお願いが。」

「ん?なんだい?」

「…俺がこれからいく世界は俺だけじゃなく周囲の人間も必ず巻き込むことになる。だから、」

「凛くんやアリシアくんたちのことだね。」

「はい。だからこの学校にいる間だけでも…」

そこで校長は笑みを浮かべた。

「当たり前じゃないか。彼女たちはこの学校の生徒だ。それを守るのは当然の責務だよ。」

「…ありがとうございます。」

祐も笑ってそう返した。

「それじゃあ、俺はいきます。」

「あぁそうだ、名字が変わるなら早めに連絡してねー」

最後に祐は笑って校長室をあとにした。

校長室から出るとそこには明日香だけでなくクーデリアもいた。

「校長先生とのお話は終わりましたか?」

「はい。」

「そうですか。それではいきましょうか。」

明日香は微笑んだ。

「ところで、なぜクーデリアさんまでいるのですか?」

「それは彼女にも新しい仕事があるから呼び出しただけですよ。」

「そうですか。」

祐はクーデリアのほうを見た。クーデリアはただその場にいるだけで動くどころか表情も変えなかった。

「では参りましょう。」

祐は明日香に続いて校門に向かった。

放課後とはいえ部活やらで生徒は残っているので好奇の眼には晒される。

そしてその生徒には祐の知り合いも含まれる。

「祐」「祐さま!」

校門で祐たちに近づいて来たのは凛とアリシアだった。

明日香に眼をやると彼女は一度うなずいて立ち止まった。

祐は凛とアリシアのいる方に小走りで近づいていった。


読んでいただきありがとうございます。

今回はテスト後からの話になりました。この前の戦績が西城家に認められ祐が西城家に呼ばれるところの話になっています。これから西城家に向かいいろいろあるよていです。よければこれからも読んでください。


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