表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
11/60

検定編7

祐はテントから少し離れた人気のない場所で木刀、(光剣はむやみに使えないのでその代わり)を振っていた。

検定は今回の件で一日遅れることになった。一日遅らせたことでまた協会のメンツは潰れたが知ったことではない、(それでも少しは保とうとして一日だけにしたのだが)

俺にとって重要なのは周りの人間が無事でいることだ。

おそらくこれで終わりではない。第五学校のやつだけでなく、俺を狙っている本体のやつらも動き始めるだろう。連戦になる可能性もある。毎回戦うたびに休息が必要ではこれからやっていけない。この光剣の力に耐えられるようにならなければいけない。

そういえばあの男の言っていた

「君の力は君自身を蝕む。そしてそれに蝕まれたとき僕は君の敵になるだろう。」

とは何なのだろう。魔力が人を蝕むというのは聞いたことが無い。だが今発見されていないことはたくさんある。その中に魔力が人を蝕むというのがあったとして、その結果何をもたらすのだろう。

それでもこの力を捨てることはできない。この力が無ければみんなを守ることはできない。俺が守らなくてもいいのかもしれない、でも俺の中には守らければならないという思いがある。

「祐?」

さて、この力を使いこなすにはどうしたものか。

「祐ってば!」

祐は周りに全く気が行っていなかった。

「わっ!凛!」

祐は真後ろにいた凛に気が付かず振り向いた途端に尻もちをついた。

「もう、ほら。」

凛が手を差し伸べてきたので祐はそれにつかまって起きた。

「大丈夫?」

祐が頷いたのを見て凛が続けた、

「生徒会長さんが探してたよ。テント奥で待ってるって。」

「わかった。わざわざ伝えに来てくれてありがとう。」

祐は笑顔でお礼を言ってテントに向かった。


テントに着いた祐は一気に表情を硬くして奥へと進んだ。

「そんなに硬い表情をしないでくださいな。」

奥で座っていたクーデリアは少し首を傾けて言った。

「どうせ、こういう系の話だと思いましたので。」

「…まぁ、そうなんですけど。」

クーデリアはそっぽを向いて頬を膨らませて言った。

(生徒会長ってこんなやつだったか…?)

祐がそんなことを考えているとスッとクーデリアは前を向いた。その表情は真剣そのものだった。

その表情を見れば誰もがここからの話が重要なものだと理解させられるだろう。

祐もそうだった。

「それでは本題に入りましょうか。」

祐は無言で頷いた。

「今回、第五学校2年斉木亮に与えられていた任務は藤谷祐の能力を測ることでした。つまり殺すことは禁じられていました。ですがそうだとしても彼の能力は異常でした。あなたでなければ殺されていた可能性も十分にあったでしょう。協会は今回の件の裏は未だつかめていないようですが、西城家は黒幕はわかりませんが第五学校を操っている団体は掴むことが出来ました。」

「それで、俺に何をさせたいんですか?」

「西城家はどうやらあなたの利用価値を判断しかねているようです。そこで今回の件でそれを見極めたいという思惑があるようです。」

「ようです、ということは俺の“護衛役”でもあるあなたにもそれは知らされていないということですか?」

クーデリアは少し下を向いて「はい…」と小さ目な声で言った。

「なるほど、それで今回の件を俺が片付けることでどんなメリットを西城家はくれるのでしょうか。」

「それは私には知らされておりません。その代り、西城家の方が祐様に面会を申し出ております。」

祐はその言葉に驚きを隠せなかった。東峰は世間一般に見ても社交的で様々な会社に援助をするなどしている、しかし西城家は決して表舞台には出てくることはなく、裏で軍や警察と繋がっていると噂されるだけなのだ。

そんな西城家が自分に合いにわざわざ来るというのだ。相手は少なくとも本気なのだろう。

「…その日時は?」

「明日の10時ごろにこちらに到着予定ですのでそのあとに祐様が都合の付く時間でいいと仰っていられました。」

「そうですか、なら11時にお願いします。こちらに場所を送ってください。」

そう言って祐は使い捨てのアドレスをクーデリアに転送した。

現代、知り合いに日常的にするメールは変わらず固定のアドレスを使用するが、重要な案件については後々ハッキングされる事の少ない使い捨てのアドレスが多く用いられる。このアドレスは1時間~3日程度の有効期限が設定可能でそれを過ぎるとそのアドレスを登録した端末との交信履歴はおろか使用したという情報自体が消滅する。これはもともと表ざたにはできないことが多い軍が使用しているものだが、一部の人間はこれを使用している。祐も自宅にあるコンピュータからその情報を見つけてアドレスを使っているのだった。(このコンピュータは祐の母である藤谷恵梨の私物であり、大会社の重役であり、西城家に連なる者なら持っていてもおかしくないものだ)

「わかりました。お伝えさせていただきます。」

クーデリアは礼をしてテントを後にした。

それから2時間もしていないだろう、端末に明日の場所が送られてきた。


次の日、祐は指定された場所に来ていた。その場所は祐たちの泊まっているホテルからそう遠くない、(といっても歩けば1時間はかかる)別のホテルだった。

祐はホテルに入るとフロントに向かい、昨日送られてきたメールに書かれていた暗号と部屋番号を言った。すると奥からホテルマンというより裏の仕事に従事しているような男が出てきて、目的の部屋に案内された。

祐は似たような男が待っていると思った、しかしホテルの部屋で待っていたのは20代前半にしか見えない女性だった。女性は部屋にある椅子に腰かけこちらを向いていた。

「こんにちは、藤谷祐くんですね。」

敬語は使用しているがその話し方はよく言えばかなりフランク、(言い換えれば祐を子ども扱いしている)なものだ。

「はい。失礼ですがあなたのお名前をお聞きしてもよろしいでしょうか。」

「ええ、私は西城明日香です。西城家本家の人間です。」

本家といわれても祐は西城家に本家と分家があることなど知らない。そして今はそんなことは関係ないのでそれ以上聞くことはしなかった。

それに祐はそんなことよりも相手の行動を観察することの方が重要だった。

そのため祐の目はかなり厳しいものになっていた。

フフッと明日香は笑った。

「ごめんなさい。あなたが思った以上に西城のことを知っているようだったから。」

祐の目がさらにきつくなる。祐は西城家について誰かと話したことはない。それなのにそのことを知っているというのは油断ならない。

「だって、私を見て警戒するということは深く知っているということよね?」

だが理由は至極簡単なものだった。

祐はそのときはっと気がつき、明日香を観た(・・)。明日香の容姿はどうみても美しいとしか言えない。凛やアリシアもかなりかわいいが、こちらは大人の女性という感じがする、この容姿が相手に悪い印象を与えるはずがない。さらに明日香の格好はひざ上までしかないスカートだった。足を組んでいる彼女の格好は下着が見えそうで見えないというものだった。現代は男女ともに露出はあまり好まれていない、その中でこの格好はとても煽情的だった。

つまり祐は試されていたのだ。この女性を見ても厳しい顔になるということは『西城』という名前が示すものを表以上に知っているということだった。

「重ね重ねごめんなさいね、試すような真似をして。でも君もそんな顔をするところは年相応なのね。」

祐は顔を少し赤くしてそらしていた。

「それはそうですよ、私だってまだ17なんですから。」

「それもそうね。さ、お話に移りましょうか。どうぞそちらに腰かけて。」

明日香が示した方には応接室にありそうな重厚な椅子(ソファー)があった。

部屋にあまりあってないことから見ても今回のために持ち込んだのだろう。

祐は示されるままに腰かけた。明日香も奥の椅子から移ってきた。今回は足を苦でいないところを見ると本当にさっきは試していたのだろう。

「さて、まずは何からお話ししましょうか。」

その口調は先ほどと変化はなかった、これは彼女のもともとの話し方なのだろう。

「そうですね、ではまず西城家の思惑からお話してもらいたいですね。」

祐の方もそれに合わせたというよりそれが楽だったためフランクな口調になった。

明日香もそれを気に留めた様子はなく一応続けた。言った内容が無いようなだけあって少し顔が引きつってはいたが、

「…いきなり本質にくるのね。」

「話をそらしても時間の無駄でしょう。」

明日香は絶句した様子だった。

(この子の本性はどっちなのかしら…)

「わかったわ。こちらの目的から話すとしましょう。といっても当主が腹の中では何を考えているかはわからないから表立った方だけどね。」

「それで構いませんよ。」

明日香は笑顔で「ありがとう」と言い続けた。

「今回藤谷祐に対して依頼した私たち西城家の目的はあなたを西城家に迎えるべきかどうかを判断するというものです。」

祐は無言で続きを促した。

「あなたは、光剣『Suction』を起動させるだけでなくそれを用いて『Storm』を退けもしました。西城家が秘宝として持っていた光剣が紛失して17年。17年前まで使える者のいなかった光剣を使う少年が現れ、それを使いこなしているとなれば取り込むべきだと考えたのでしょう。その少年が東峰と友好関係になるというならなおさら。」

祐は少し顔を顰めた。

相手はこちらの友好関係も調べているのはわかっていた。だが面と向かって凛、東峰凛を出されるとは思っていなかった。

「ということなのだけど、これで大丈夫かしら?」

「…え、えぇ大丈夫です。それで取り込むというのは俺が西城になるということですか?」

動揺してしまったが祐はすぐに元の状態に戻した。

明日香は少し考えるポーズを取った。

(これはわざとなのか…?)

明日香のポーズはものすごくアニメやその他のものにでてきそうなものだった。

「ごめんなさい、考えたのだけど、苗字を与えるとも与えないともどちらとも言えないわ。今の西城家にはどちらの派もいるでしょうから。」

(なるほど、西城家も一枚岩ではないということか。)

「わかりました。それで、今回の件は具体的に俺は何をすればよいのでしょう。」

「引き受けてくれるの!?」

その顔には驚きが現れていた。「感情がよく顔に出る人だ。」と思っただけにとどめたのはよかったのだろう。

「まぁ、それも何をするのかとそれに何を与えてくれるのか次第ですけどね。」

その言葉で落ち着くあたりは大人なのだろう。

「それもそうね。こちらが求める戦果は第五学校の背後にいる組織『アルカーダ』の殲滅です。」

「アルカーダの裏にいる組織は放っておいていいということですか。」

「…本当によく知っているのね。ええ、その通り。アルカーダさえ潰してくれたらそれでいいわ。そのために必要な人員も派遣します。」

結構至れり尽くせりだ。祐は始めすべてを一人で行えというものだと思っていたのでこの条件はかなりいいものに思えた。

「それは裏活動もすべてそちらが行ってくれるということですか?」

「ええ、あなたは表に立って敵を潰してくれたらそれでいいわ。」

祐は少し考えるそぶりを取った。ワザとっぽくなったのは明日香のポーズを見たからだろう。

「わかりました。引き受けましょう。」

「ありがとう。日時はどうする?」

「そうですね…夜の時間帯ならいつでもいいですよ。」

「わかったわ。細かいことが決まり次第クーデリアを通して連絡します。」

そう言って面会は終わった。これでは面会というより会談の方があっていた気もするがあちらが面会と言ってきたのだからそうしておこう。


「…はい、お引き受けになるそうです。はい、手筈通りに。」

祐が出て行った部屋で明日香は電話をしていた。


次の日、この日は中止されていたDブロック、第一学校選手対6位の選手からのスタートとなった。

朝の段階で連絡が無かった祐は相手の6位の選手が第五学校ということで見に行くとにした。もちろんその周りには凛とアリシアがいる。権堂は昨日の件で呼ばれたためこの場にはいない。

結論は、何も起きなかった。

6位の選手は銃形態のデバイスを使うことで有名だった。今回も銃を使って特段驚く魔道を使ったわけでもなかった。第一学校の選手よりも格段にマクロの展開が早かったので勝負はあっけなく10分程度でついた。


それから30分の休憩がとられることになった。ブロック勝者はAブロックが2位の生徒とアリシア。Bブロックが祐と第五学校の生徒、これは第五学校の生徒がおかしかったのではなく、対戦相手だった7位の生徒はもともと大規模な魔道を繊細にコントロールするのが得意というものだったので今回の形式には向いていなかったためだ。そしてCブロックは凛と4位の生徒。Dブロックは本来6位と斉木だったのだがあの事件で斉木は失格となりDブロック勝者は6位の生徒だけとなった。

そしてこの後は各ブロックの勝者を決め、その後勝者4人が2組に分けられ決勝までを行う。

という説明を凛から祐は受けていた。

「という感じよ。」

「なるほど。ありがとう。」

「別にいいけど、聞いてなかったの?これ結構前に言われていたけど。」

「いやまさか俺がここまで勝つとは思ってなかったからさ…」

ふーん、と凛は祐の目を覗き込んだ。

あはは、と祐は凛から目をそらした。

「まぁ知っていても知らなくてもどっちでもいいわ。でもここまで来たんだからブロック戦勝ちなさいよ。」

「あぁ。勝つさ。」

祐は前を向いて言った。


そしてブロック決勝が始まった。

対戦カードは第二学校3年のランキング2位の生徒対第一学校2年ランキング3位のアリシア・ウィンガルド。2位と3位の対戦というだけあって今まで少しは空いていた観客席も今は満員だ。それだけではない。この2人は両方が遠距離型のウィザードだ。戦闘もかなり派手なものになる。その2つがあってこれだけの人が来ているのだろう。

選手が入場してくる。まず入ってきたのはアリシアだ。アリシアが入った途端に第一学校だけでなくたくさんの生徒、(それ以外も含まれたが)から声援が上がる。(主に男子だ。)

逆に2位の生徒が入ってきたときにはたくさんの女子生徒、(これまた生徒以外もいたのだが)から声援が上がる。なにせこの2位の生徒は誰が見ても容姿端麗な美少年なのだ。

ちなみに魔力の強さ、(多さではない。)が高い人ほど容姿が良い傾向は研究で得られている、理由はまだ不明だが。

ということはここまで上がってくる人は大抵が容姿端麗なのだ。

閑話休題。

なかなかやま無い声援についに電子掲示板に「お静かに願います。」という文字が表示された。それから数十秒たってやっと会場は静まり返った。

ステージでは2人が無言で向かい合っている。

そのままスタートすると思われたそのときだった、

「久しぶりだね、アリシアちゃん。元気してた?」

男の方が砕けた表情だ。

「…ええ、おかげさまで。元気にしてましたわ、ヨハン様。」

それに対してアリシアの顔は全く砕けたものではなかった。

「そう、良かった。でもなんで急に僕のところからいなくなっちゃったのかな?」

僕のところ?会場が騒めく。

「…別にあなたのところに居たつもりはないのですけれど。」

アリシアは目を合わせようとしない。

それを見てヨハンはわざとらしく驚いて見せた。

「なんと!君と僕は許嫁なのだから一緒に居るのは当然じゃないか。」

会場がさらに騒めく。

祐もその一人だった。アリシアに許嫁がいたということは聞いたことが無い。横にいる凛も知らなかった様子だ。

アリシアはそれを言われた途端、祐の方を見た。

祐とアリシアの目が合う。アリシアの目はすごく彼女弱っていることを示していた。

それを一瞬で気が付いたヨハンは魔道でアリシアの前に立ち顔を近づけてささやいた。

「ふーん、あれが君の想い人か。じゃあ見せつけてあげないとね。僕の君への愛を。」

アリシアはヨハンを押しのけて離れた。

祐はそのとき客席で立っていた。

「ちょっと祐!目立っちゃだめだって!」

凛が小声で言う。だがその声は祐には届いていなかった。

「アリシア…あんな奴に負けるな!」

声は届いていない、障壁があるからだ。だがアリシアは祐の方を見て頷いた。

「ふーん、ちょっと気に入らないな。」

「そうだ聞いているよね?本家からのお話は。」

アリシアがビクッとはねた。

「覚えているみたいだね。この検定で君が決勝に出られなかったら君は第二学校に戻り僕と正式に婚約するということを。」

ヨハンが笑みを浮かべた。

アリシアは下を向いている。

そんな空気をよそに

試合開始のゴングが鳴った。

先に仕掛けたのはヨハン。彼の両手には銃形態のデバイスが握られていた。

観客がどよめく。なぜなら魔道というのはたがいに干渉する。同じ場所で魔道は同時に複数存在しえない。(自分にかける場合はまた別だが)同じ場所に魔道が発動するとより強いウィザードの放った魔道だけが効果を現す。さらにウィザードは無意識に魔力を利き手で放っている、なのでウィザードの多くは利き手でデバイスを持つ。だが両手で持つということは利き手でない方にも魔力を供給しなければならない。無意識に行っているものを意識的にやるほど難しいものはないし、両手でとなると単純計算でも片手の2倍の魔力が必要となる。複数のデバイスを持つ者もいるがそれは使わないデバイスの電源をオフにし使い分ける。こう言った理由から複数のデバイスの同時操作はまず行われないものだった。

しかし、ヨハンは2つのデバイスでほぼ同時にアリシアを攻撃していた。

右手の中からは炎系の魔道。左手の魔道からは氷系の魔道。そしてそれらは矢の形をしていた。

アリシアはそれをなんとか防いでいるが、属性が反対の魔道を同時に相手するのはかなり厳しい。防ぎために張る障壁が全く違うからだ。(両方を同時に発動するという手もあるがそれはかなりの高位ウィザードが大量の魔力を消費しなければできない)

それでもアリシアが防げているのはヨハンの攻撃が右と左で少しずれているからだった。

2つのデバイスで同時に攻撃で来ているだけですごいが、さすがに利き手でない左手から魔道を放つのは利き手の右手よりも遅い。だがそれもほんの1秒程度だ。いつまでもアリシアが持ちこたえられる保証はない。

「すごいね。アリシアちゃん。この攻撃を防ぐなんて。」

アリシアはそれに答えない。いや答えられない、そんな余裕は今のアリシアにはない。

(どうしよう…このままじゃやられる…)

(一か八かやるしかない!)

2つの攻撃が終わった瞬間、(ほんの1秒だ)にアリシアは走り出した。

それを見てヨハンは驚きを隠せていない。アリシアは遠距離型だ、前に出てくるとは思わなかったのだろう。だがそれも数秒。すぐにヨハンは攻撃を再開した。

魔道は基本的に距離が短ければ短いほど照準がつけやすい。つまり今近づいたアリシアはさっきよりも正確に狙われるということだ。

だがアリシアにそれを気にしている様子はない。

アリシアは自分に自己加速を掛けている、だがその持続時間はあえてかなり短く設定してあるようだった。そのおかげでアリシアの動きはかなり不自然だ。そのせいでヨハンはうまく照準を合わせられていない。さきほどからアリシアの前や後ろに何発もの炎の矢や氷の矢が落ちているが一発もアリシアには当たっていない。

「くそっ!」

ヨハンが叫ぶ。

それを見た観衆がわめき立つ。

(ここです!)

ヨハンとの距離が5メートルほどになったところで最も速さがあるといわれる雷系の魔道を放った。

アリシアの魔道は短時間で発動されたにもかかわらず、十分すぎる魔力が込められていた。それによってヨハンは眩い光に包まれ、その雷が地面に当たり砂が舞い上がっていた。

誰もがアリシアの勝利だと確信した。

しかし、

「くくくっ。」

砂埃の中から炎の矢が放たれた。

「えっ!」

その矢はアリシアに直撃した。

その矢はアリシアのHPヒットポイントをごっそり削った。

「さすがだねぇアリシア。まさか僕の連続攻撃をかいくぐるなんて。でも残念、君が最後に雷系を使うのはわかってたよ。だからあらかじめ避雷針を発動しておいたのさ。」

『避雷針』名前は雷をよけるのに設置される棒状のものだ。そして魔道においても形は違うが性能は変わらない。ウィザードが設定した部分に絶縁機能を付加する。これはほとんどのウィザードが使えるがさっきのアリシアのレベルの雷を防ぐのは無理だろう。

そこからも彼――ヨハンの強さがわかる。

「さて、式はどこで上げようか。新婚旅行はどこがいいかな。」

ヨハンは右手をアリシアに向けた。

「さぁ終わりだよ。」

ヨハンが引き金を引いた。


読んでいただきありがとうございました。

今回は西城家の人間がついに登場しました。

まぁ彼女は西城家の裏にはそこまで精通していないのですがこれからも少しずつ出てきます。そしてそのあとはアリシア対ヨハンです。これは書いていなかったのですがヨハンはかなり強いです。アリシアよりも格段に。だから遊ぶようなことをしていたのです。


それと申し訳ありません、はじめアリシアのランキングは4位となっていましたがここで3位の間違いだと気が付きました…直せるところは直すのでご指摘お願いします…


コメントや評価よろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ