検定編6
「ははは、まさか負けるなんてね。」
5位の生徒は仰向けに倒れて言った。
「でもこれで君は僕たちの世界に足を踏み入れた。これからだよ。本番はね。」
そう言って、何事もなかったかのように会場を後にした。
続いては凛の試合だ。祐は応援に行こうとしたのだが、先ほどの試合での疲労でテント内で安静を命じられた。それでも凛に「無茶して倒れたら困る。」と怒られるまで何度も会場に行こうとして周りから呆れられていた。
「それじゃ、行ってくるね。」
「…ごめんな、応援行けなくて。」
「気にしないで、それよりごめんじゃなくてほかの言葉がほしいな。」
「…そうだな。凛がんばれ!」
「うん!頑張る!」
凛は上機嫌でテントから出ていった。
「それにしてもお前良く勝てたな。」
後ろにいた権堂がしらけた目で祐を見ながら言った。
「俺にも何で勝てたのかわからない。」
でも気になることはいくつか分かった。
敵は第五学校を操っている。さらに狙いは祐ということが確定した。そして勝ち続ければ敵は必ず祐の前に姿を現す。
「どうした?なんだか難しい顔をしてるが、」
それで祐はハッと気づいた。
「いや、なんでもない。」
「そうか?」
権堂に少し疑いの目を向けられ顔をそらした。
俺が狙われているんだ、こいつらを巻き込むわけにはいかない。
凛の相手は第四学校の生徒だ。
相手は中距離型、砲撃系を得意としている。
手のひらなどのある一点から標的に向かって放つ魔道を総称して“砲撃系”と呼ぶ。
凛は砲撃系もそうだが、主に領域系を使う。
領域系はその名の通り、ある領域全体に魔道を掛けるものだ。砲撃系と違い、発動範囲が広いため必要とされる魔力もかなり多い、(砲撃系は砲撃系で魔力のコントロールをしないと対した威力にならないので一概にどっちの方が強いとも言えないのだが)
試合開始の合図が鳴る。
先に動いたのは第四学校の生徒だった。
手のひらから炎の玉、いや火炎弾を凛に向かって放つ。さすが検定代表に選ばれることだけあって前のテロリストとは比べ物にならない威力を持っている。
しかし、その弾が凛に当たることはなかった。凛から5メートルの地点で霧散した。
凛は自分周辺の領域をコントロールし、火炎弾周辺から酸素を奪った。
魔道で作ったものとはいえ、火炎弾の本質は炎だ。炎が燃え続けるには酸素がいる。そして酸素が無くなった炎は消える。
相手は何発も火炎弾を放つがそのすべてが霧散する。
今度は凛の番だった。凛が相手に右手を向ける。その瞬間、敵の頭上から無数のドライアイスの弾丸が降り注ぐ。
「あれは…ドライバレル…」
観客席にどよめきが走る。
「ドライバレル?固有名称の魔道?そんなのが使えるやつがいるのかよ。」
会場は騒然とした。
そんな声も試合中の凛には聞こえず、ドライバレル1回で相手は気絶し凛の勝利となった。
勝利した凛は笑顔でテントに戻ってきた。そしていの一番に祐の元に向かった。
「凛、おめでとう。」
祐はすでにベッドから起き上がり、仮眠室の椅子に腰かけていた。
「ありがとう。もう大丈夫なの?」
「ええ、すっかり良くなりましたわ。」
祐の言葉を奪ったのは後ろから現れたアリシアだった。
「アリシア…あんたがなんでここに?」
凛が眉を吊り上げて言う。
「なんでって祐さまが倒れたのですから、看病するのは当然かと。」
アリシアの顔は本当に至極当然なものだと言わんばかりだった。
そしてその言葉と態度が、凛には「あなたはしてなかったですけどね。」という副音声付きで聞こえていた。
凛とアリシアがまたケンカしそうな雰囲気になっているのをみて祐が咄嗟に仲裁に入った。
「二人とも落ち着いて…ほら次は権堂の試合だよ。応援に行こう。」
そう言って強引に2人の腕を引っ張った。
引っ張られている間も2人はにらみ合っていたが、幸い2人とも口を開かなかったのでよかった(?)
権堂の相手はアリシアと同じく第五学校の生徒だ。
アリシアの時は何事もなく終わったが今回もそうなるという保証はどこにもない。祐はいざというときいつでも動けるように臨戦態勢を取っていた。
両選手が入場してきた。権堂は少し緊張しているが普段通りに見える。それに対して相手は。
祐は相手を見た瞬間に度肝を抜かれた。相手の第五学校の生徒がこちらを見ている。さらにその目には明らかな殺意が見えた。殺戮を楽しむ目、戦いを望む目ではなくただ敵を殺したいという目。相手の口に笑みが見て取れた。祐に寒気が走った。
それを両隣にいた凛とアリシアは感じ取ったのだろうか、
「祐?どうかした?」
「い、いや…」
このこと言うべきなのだろうか。だが言えばこれから起きるかも可能性のある事件に巻き込んでしまうかもしれない。だがこの情報を隠しておけばこの後戦うときに傷を負う可能性もある。
「…なにか得体のしれないものを相手から感じる。」
祐の出した答えは話を濁すという微妙なものだった。
「得体のしれないものですか。」
アリシアが食い入るような目で相手を見る。
「私には何も感じられませんが…」
「私も何も感じないわね。でも祐がうそを言うとも思えないし…」
「そうですわ。祐さまがうそをつくなんて!」
「ちょっと落ち着いて。」
祐の一言で2人がヒートアップしそうになって慌てて止める。少し注目を集めたようだが幸い少しで済んだ。
「俺の気のせいかもな。」
「かもね。でも注意深く見ましょ。」
祐のとった行動は良いように働いたようだ。
試合開始の合図が鳴る。
先に動いたのは権堂だった。権堂は今回ナックル型のデバイスとタブレット形態の汎用型を持っている。右手のナックルを勢いよく地面に叩き付ける。
そこを起点として地面に亀裂が走る。
割れた地面からの土埃でステージが見えなくなる。権堂の姿はかろうじて見えていた。権堂は相手に向かって走っているようだ。権堂の放った魔道は途中からふたつに分かれている。これを逃れるには普通右側に飛ぶしかなかった。だから権堂もそれを考えて右側に進んでいた。それでよかったはずだ、相手が普通なら。
砂埃が晴れた、しかし相手は誰もが予想しないところにいた。
動いていなかった。直下の地面は割れているのにその場所にいる。
「下をみろ!」
観客の誰かが言った。
全員が一斉に相手の足元を見る。
相手の足は地面に接していなかった。
「まさか…浮遊しているの?」
凛の言ったことに誰も何も言えなかった。
浮遊は前から存在している。だが使う者は誰もいない。本来浮くはずのない人間を長時間浮かすというのは世界の理に反する。それゆえに使うには多大な魔力と負荷が使用者に掛かる。まさしく魔法と言えるものだ。
「おまえ…それはどういうことだ。」
権堂が攻撃姿勢のまま問う。
相手選手の口元が笑った。そして左手を権堂に向ける。その瞬間権堂は壁までものすごい勢いで吹き飛ばされる。
「まさか…デバイスを使っていないのか…?」
「デバイスなしであの強さの魔道を使えるわけがないわよ!」
「ですが、相手選手はどこにもデバイスが見受けられませんわ。」
3人だけでなく観客全員が相手選手にくぎ付けだった。
なんとか倒れることは逃れた権堂が壁にぶつかって出た砂埃から出てくる。
「そこまでの実力がありながらワンコーラムに名前が無いとは、てめぇ何者だ?」
再び相手選手が手を権堂に向ける。だが今回は吹き飛ぶことはなかった。
相手選手に驚きが見えた気がしたがもう顔には笑みが見える。
「いいでしょう。少しお話をしましょうか。」
相手選手が初めて口を開いた。
「私の名前はそこにある通り、斉木亮です。そして今使ったのは浮遊の魔法です。」
会場にどよめきが走る。
「浮遊の魔法だと!?魔法っていうのはこの世界でも悪魔クラスにしか使えないはずだ。」
「ええ、そうですよ。だから使えるんです。私は悪魔クラスですから。」
会場にさらにどよめきが走る。
悪魔クラスとはこの世界において最大の魔道を操り、それに見合う魔力を持つ者たちの総称だ、(天使側では天使クラスと呼ばれている)そして悪魔クラスの人間はそれに見合う力、すなわち魔法を使うことが出来るものもいる。魔法とは世界の理を変えるレベルの魔道だ。それを使うということはとてつもない魔力を持っている必要がある。
「そんなわけあるか…これは学校のイベントだぞ。そんなところに悪魔クラスが出るわけが…」
「出ているのだから仕方がありません。ちなみに私の年齢は正真正銘17歳ですからね。悪魔クラスになったのは15歳の時だったはずです。」
今の段階で悪魔クラスと確認されている人間はいない。悪魔メフィストと天使ウリエルが魔法を使えるたった二人の者とされていた。そしてその常識は今打ち砕かれた。
言葉だけなら虚言だと言われただろう。だが実際に斉木亮は浮遊している。今まで誰もできなかった浮遊を。
「それではお話はこれくらいして、試合を終わらせましょうか。」
斉木亮から身の毛もよだつ殺気が放たれた。それは障壁も超えて観客全体に響き渡った。
このままでは権堂は殺される。
だが俺に何ができる?
でもこのまま見ていることはできない。権堂は始めは敵に近かった。でも今は仲間だ。同じ戦場で戦って俺を守ってくれた仲間だ。今は居れば失格になる?そんなことで見捨てることはできない。
「祐?」
凛が祐の方を見た。
それに目もくれず祐は飛び出した。
「祐!」「祐さま!」
次の瞬間祐は障壁を破りステージにいた。斉木亮と権堂の中間で光剣“Suction”を展開していた。
「…もういいだろう。権堂にこれ以上戦闘の意志はない。」
権堂は後ろで座り込んでいる。30秒以上座り込んでいると戦闘続行の意思なしと判断され、判定負けとなる。
「いえ、私が殺したいから殺すのですよ。藤谷祐君。」
斉木亮はさらに殺気を強めた。
これはおそらく魔力だ。相手は魔力を殺気に見立てて放っている。だからウィザードである俺たちにはものすごい圧力を受けたと感じる。なら話は簡単だ。
祐は全身から魔力を放った。
「わお、まさか僕が放っているのが魔力だってわかるとはね。」
「…さぁ引け。」
「そういうわけにはいかないな。君がそこまで覚醒してるのに放置はしていけないな。」
斉木亮は右手をスッと上げた。すると祐の周りに黒い人間の影が浮き出てきた。
観客たちはすでに慌てて逃げ出し始めている。警備のウィザードたちもこの状況では入り込めないのだろう。袖でこちらをうかがっている。
影は10体、祐は光剣で一度空間を薙ぎ払った。
そして剣で切られたように影は消えた。
「すごいね。そこまで古代剣を使いこなしているなんて。」
「古代剣?」
「そう、君の使っている『Suction』や『Thunder』とかの対戦時に作られた名前付き武器(NamedArm)のことを古代剣ともいうんだよ。」
その単語は一つも聞いたことが無かったが今はその真偽を確かめている場合ではない。
「そしてこの『Storm』もね。」
斉木亮は腰から黒色の光剣を取り出した。その剣の刃は緑だった。
「古代剣にはランクがあってね。君のと僕のは柄が黒つまり最高ランクのA、たしか『Thunder』は黄色のCランクだ。」
つまり俺と斉木の持つ光剣はほとんど同じ強さということだ。だが武器が同じ強さでも使用者が異なれば戦闘力には大きな差が出る。俺はこの光剣を手にしてまだ数日なのに対して斉木は何年も使っているのだろう。そこに大きな差が出る。
祐は『Suction』の柄を強く握りしめた。
「じゃあ始めようか。Aランク同士の想像を超えた戦闘を。」
斉木が剣を振り下ろした。
すると祐の周囲に10メートルはあろうかという竜巻が四方に発生した。
『Storm』嵐。『Thunder』雷。光剣の名前はその剣が宿す力を示しているのだろう。(ほかにも能力はあるのかもしれないが)ということは俺の光剣『Suction』は吸引。ならここでやることは一つだ。
目をつぶり、脳内で剣に呼びかける。
「えっと…『Suction』、この竜巻を吸収できるか?」
「可能です。この剣は切った物を吸収しその力を一時的に使うことが出来ます。」
「つまりこの竜巻を切ってしまえばいいんだな。」
「その通りです。ご武運をお祈りしております。」
祐が目を開いた、そして祐は竜巻に向かって走っていく。
「はっ!」
祐に切り裂かれた竜巻が消滅する。
1つまた1つと消滅しあっという間に4つの竜巻が消えた。
「へぇ、それが『Suction』の能力かぁ。ちょっとやっかいだね。ならこれはどうかな。」
そう言うと斉木は右手を祐ではなく後ろに向けた。
そこには凛とアリシアがいた。
「なっ!」
祐は自己加速と跳躍で凛たちの元へ向かう。
だがそれよりも竜巻が発生する方が早かった。
「「きゃあ!」」
2人の悲鳴が聞こえる。祐は2人を包む竜巻を切り裂いた。
両腕で飛ばされた2人を何とか抱え、着地する。
「大丈夫か?」
「うん…」「なんとか大丈夫ですわ…」
2人の声は弱弱しかった。
祐は二人の頭を順になでると斉木のほうを向いた。
「怖いなぁその顔。」
「貴様、」
「やっと本気になってくれた?」
祐が目を見開いた。
「殺す!」
祐は今までにない速度で斉木に突撃する。
このとき斉木は油断していた。斉木の光剣『Storm』は嵐、そして疾風。早さなら負けるものはいないと思っていたからだ。
「なっ!」
しかし、祐の速さは斉木にも見えるものではなかった。
祐が振り下ろした剣を辛うじて剣で受ける。
だが威力は消しきれず反対側に飛ばされる。
斉木が空っぽの観客席に突撃し轟音がなる。
「いてて…君の剣の能力は真似するだけじゃなかったっけ?」
斉木がそんなことを口にしていたそのとき、
すでに祐は斉木の目の前だった。
斉木の顔が驚愕に包まれる。
祐は容赦なく斉木を切った。
「ま、まさかこれほどとはね…ラストワン…危険だ。」
倒れた斉木はこう言い残して、光となって消えた。
死んではいない。なにかの転移魔道だろう。最後まで手の内を明かしきらなかったようだ。
祐はその場に立っていた。いや動いていなかった。
凛やアリシア、権堂が駆け付ける寸前に祐は倒れた。
辺り一面黒い世界、そこに人影はおろか物体すら見えない。どこへ向かうでもなくただ歩く。しばらく歩いただろうか、こう真っ黒ではいくら歩いたかすらわからない。
そのとき奥から微かにだが光が見えた。
祐はそこに向かって走る。
そこに向かうにつれて一つの物体が見えてきた。
近づきにつれて輪郭が見えてくる。
それは人だった。
さらに近づく。
顔は光でよく見えない。
「やぁ。」
若い男の声だ。
「お前は誰だ?」
「僕は…。」
名前は聞き取れなかった。もう一度聞こうと思ったが祐はそれをしなかった。今重要なのはこいつが敵なのか味方なのかだからだ。
「お前は俺の敵なのか味方なのか。」
「どうだろうね、僕は君の味方にもなるし、敵にもなるだろうね。すべては君次第ということさ。」
「どういう意味だ?」
「君の力は君自身を蝕む。そしてそれに蝕まれたとき僕は君の敵になるだろう。さぁ、いつまでもここにいると帰れなくなるよ。」
男の言っていることは全く理解できなかった。
「一体どういうことだ!?」
まだ聞きたいことはあった。
だが男の距離が次第に開いていく。
どちらも動いていないのに開いていく。
「君が“それ”にのまれないことを祈るよ。」
この言葉を最後に男の姿は見えなくなった。
次第に祐の意識も薄れていった。
ゆっくり目を開けた。そこに見えたのは白い天井だった。
「ここは…どこだ?」
起き上がろうとして何かが体にのしかかっているのに気づいた。
それは凛だった。
祐が何度も瞬きをして状況を整理していると奥の扉が開いた。
「なんだ、起きていたのか。」
「権堂…」
入ってきたのは権堂。手には祐の光剣が握られていた。
権堂は入ってすぐ凛に目がいった。
「こいつ…まだいたのか。」
「どういうことだ?」
「お前は会場で倒れてすぐにこの国立病院に運び込まれた。そのあと俺たちワンコーラムは調査の任務に駆り出されたんだが、こいつはそれを断固拒否してな。ずっとここにいたんだよ。」
祐は目を見開いた。
祐の知る限り凛が任務、(ワンコーラムにはその強さから国家や民間団体から任務要請が来ることがある)を放棄したことはなかったはずだ。
(俺はそこまで心配をかけたのか…)
「すまないな…凛。ありがとう。」
祐はやさしい顔で頭を撫でた。
「ん…」
凛が目を覚ました。
「ゆう…目が覚めたんだね。」
「あぁ、ずっといてくれたんだな。ありがとう。」
2人が自分たちの世界に入っていく中ただ一人取り残された権堂はわざとらしい咳払いをした。
2人は顔を赤くして目をそらした。
「起きてるなら話が早い。要件を伝える。祐、お前は斉木亮という男を知っているのか?」
「いいや、あの場所が初めてだ。」
「そうか、ならお前の剣はいったいなんだ?」
祐は顔を顰めた。普通、人の使うデバイスを探るのは違法ではないがマナー違反とされている。それを権堂が知らないはずはない。
「…すまないな。今回の件でお前もいろいろ容疑を掛けられていてな。それを解くにはその剣のありえない数値を証明できなきゃいけないんだ。」
「ありえない数値?」
「あぁ、回収されたこの剣からはほかの光剣とは比べ物にならない数値がいくつも出てきた。高位のウィザードでも足りないであろう必要魔力の数値。光剣にはマクロは組み込めない、つまり光剣で魔道を使うことはできないはずなのにお前の光剣からは加速、減速、跳躍、振動、竜巻に分類されるマクロが検出された。この二つ以外にもありえないものはいくつもある。これはどういうことだ?」
祐は少しの間黙っていた。なんといえばいいかわからないのだ。この光剣のことで知っているのは名前、いつの時代のものなのか、そして誰から渡されたか。
名前は言ってもいいだろう。だがあと二つは話すだけでも危険が伴う。対戦時のものと分かれば軍などに持っていかれる可能性がある。そこで西城の名前を出せば防げるだろうが、そうすれば俺はここにはもういられないだろう。
「どうなんだ?」
沈黙に耐えきれないかった権堂が急かす。
「…わからない。ただ受け取ったんだ。2試合目が始まる直前にな。」
「それを本番でいきなり使ったっていうのか?」
「…あぁ、手に持った瞬間懐かしい感じがしてな。行けそうだと思ったから使った。」
「そうか…」
再び沈黙が訪れる。
「俺はこれを軍に渡すよう指示された。」
やはりそうか。祐は目をそらした。
「だがこれはお前にとっても大事なもののようだな。」
そうって権堂は光剣を祐の手の上に置いた。
「いいのか?」
「あぁ、問題ないさ。本来人のデバイスを勝手にどうこうすることはできないんだからな。」
「ありがとう。」
祐は心の底から感謝した。
読んでいただきありがとうございました。
すいません、今回は予定が立て込んでいるので後書きは省略します…
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