第四話
「マジで書きこんだの?」
「あぁ、だって気になんじゃんか」
次の月曜。朝登校してきた金田から、あの日幽霊を見た事をネットで書きこんだとの話を聞いた。
「気になるってなにが?」
「いや、祟りとか無いかなって……」
「もう止めようよ、里穂怖がってるよ?」
桐栄ちゃんが里穂の頭を撫でながら嗜める。
「まあ集団催眠とかってのもあるからね」
「そう……だよな?あんなの本当にいる訳ないし……」
「そうそう、気にしたら駄目。あんなの見間違いでしょ?」
そう言っているのは、自分の為、怖がっている里穂の為である。だってそうとでも思わないと、あの日見た血塗れの少女は、あまりにもリアルで……。
「すまん、ちょっと聞いちゃったんだが……」
その時、俺の前の席に座る坂藤が、後ろを向いて話しに入ってきた。普段あまり話をしないので、行き成り話しかけられたことに少し驚いた。
「ん?なに?坂藤」
「昨日のあれとか、ネットに書きこんだとかっていうやつだよ」
「あぁ、ちょっと怖い思いしてね……」
「それってさ?もしかして……後ろにいるのは誰ですかじゃない?」
その言葉を聞いた瞬間、背筋がゾッとした。他の皆もそうだったようで、あまりいい顔はしない。
「あ、ごめん!行き成り!空気読めてないよな!」
「い、いや……そうじゃなくて……当たりだからさ……」
「もしかして坂藤もあのスレ見てたの?」
金田が坂藤に問いかけると、坂藤は俄然笑顔になって話し出す。
「ああ、俺実はオカ研でさ?そういうの好きなんだよ」
「そうなの?じゃあさ、なんか対処法とか知らね?てか俺たちヤバかったりするかな?」
「里穂、あっち行こ?」
俺も少し里穂の事が気になっていた時、桐栄ちゃんが誘って手を取ってくれた。
「いいよ、話して……」
しかし里穂は思ったよりも真面目な顔で坂藤の顔を見る。
「えっと……ごめん、そこまでは分かんないよ」
意図せず四人の視線が集まった坂藤は、オロオロしながら謝罪する。
「いやいや、こっちこそごめんな。オカ研の先輩とかにも聞いてくれると助かるわ」
金田がそう言うと、里穂も興味を失くしたのかまた前を向きなおした。
「あぁ、聞いてみるよ。それに……なんかあのスレの人、その廃校に行くとか言ってるみたいだし」
物好きもいるものだ。俺はもう、あんな思いはしたくない。金田や桐栄ちゃんも同じな様で、苦笑いをしている。
「ま、なんか分かったら教えてくれよ。俺ももうちょいあのスレにいるし」
それにしても里穂のやつ。昨日も結局遊ぶの無しになったし、本当に大丈夫なのか?
震えている様にも見える里穂に話しかけようとした時、チャイムが鳴って先生が教室に入ってきた。




