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短編s

circular

作者: 古水夕旧

小っちゃい子がわちゃわちゃしてると可愛いですね。(なんのこっちゃい!)

それはそれは悲しい、物語がありました。

所以を知らぬ少年の物語。

終わりに生まれた、一人の子供。

いずこへ行くのか、彼は知らぬ。そして終わりの物語はいつか始まりに続く。

けれどその子は終わりの子。

どこへ行っても、どこへ行っても、彼の道行きは終わりばかり。

いつか始まりを愛そうか、いつか終わりと決別しようか。

どれほど長く歩き続けても、どれほど長くとどまっても、消えて、終えて、果てて、潰える。

始まりには、誕生には出会えない。


悲しいなんてもう思わない。

苦しいなんてもう思えない。

ある日終わりの子は、長い長い道行の果てで、自分そっくりの少女に出会った。

その子との出会いは、まるで長らく忘れていた片割れとの再開のようで、心が苦しくなった。

涙が流れて、心が痛んで、何よりも心を占めた感情は幸せ。


そう、わかっていた。

僕とあの子はおんなじ、同じものなんだって。

僕は夕焼け、あの子は朝焼け。

人はどちらも愛す。

似て非なる僕ら、

でも同じ存在で、生まれた理由も同じ。

ただ一つ、違うのは、僕が終わりで、あの子が始まりだっていうこと。



長い、長い、独りは僕を壊して凍えさせて無感情にしてしまった。

深い、深い、孤独の闇の中で、それでもあの子に出会えたことは嬉しかった。


その日は二人で語らい、これまでの道行きを労いあった。

終わりと始まりの物語を作り上げた。


あくる日、あの子は旅だった。

朝焼けの中で、

優しく愛しげに僕を見て、笑った。

『いつか、また出会おうね。今度は私が見つけるよ。君が私を見つけてくれたように、今度は夕焼けの中で君の手を取り、笑いあおうね』

僕は、朝焼け中、君の手を取って、

穏やかに笑み崩れ、

『そうだね。今度は君が迎えに来てよ』

そういって、手を放した。


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