1-XX 閑話 彼女の話 2
また、あの女だった。
あいつ、そうあいつの行動の全てが私を責める。
私がいくら分け与えようとも、あの女は若いと言うだけで、ちやほやされるのだ。
若いのに。私も若いにも関わらずだ!
許せない許せるはずがない。
その場所は私のモノだったはずなのだ。
そこは私の、席なのだ。
今日もじじいと会って話を詰める。
普通ならこのじじいには会いたくない。
でも、あの女が邪魔をするから、私はこのじじいのとこに来るしかない。
それもこれもあの妖狐が悪いのだ。
大した稼ぎにならないはずだが、このじじいはあの妖狐を気に入ってるから動くだろう。
前と違って稼ぎにならないが、私は目障りなあの女を視界から消す事が出来る。
同時に、あいつの夢とやらも踏み躙れる。それが終われば、私は落ち着けるのだろう。
私は快美な妄想に浸る。あの澄ました顔が歪むのを愉しみにしているから。
今日もあの女は孤児院にやってきたそうだ。
私はいなかったが、卒院するからと言って服を持ってきたらしい。
必死に媚びを売りやがって。気持ち悪い。
私はじじいの所にいたから会わなかったが、会わなくて良かったと思っている。
きっと、抑えきれないだろうから。
口元に浮かんだ、歪んだ三日月を見られてしまうだろうから。
そう、あと少し。
もう少しじじいと会うのを辛抱すれば、あの女が消えてくれる。
愉しみだ。
その時は、今日貰ったらしい服を、一緒に処分してあげよう。名案かもしれない。
私はそう考えて、また嗤った。
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