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ヤンデレはSよりも強し!

 数分後、バルの召喚した目玉蝙蝠、ちーちゃんが帰ってきた。

 よくみるとちーちゃんには尻尾もあるらしく。尻尾の先には何故かバッタ?のような虫が捕らえられていた。

 ムシャムシャ

 尻尾の先にある口で虫を食べていく。

 うわー、仕事してなさそう。


 仕事してなさそうではあったがバルに報告をしているところから一応仕事してきたらしい。バルはちーちゃんを再び出した魔方陣で、あちらの世界に帰した。……この魔法便利そうだ。

「まずいよ、サディちゃん。祥子ちゃんの部屋に隠れてるっぽい」

「何!?」

 安全だと思って部屋に居させたが、却って危険だったか……どうしたものか。

 と、考えていたら祥子の方から部屋を出てきた。

「ダーリンさすがー!あの子やっつけちゃったんだねー」


 出てくるなりどこかずれたことを言い出す祥子。

 その言葉に私は微かな違和感を覚える。

「祥子、まだドラゴンは倒せていないから中にいて?」

「え?だって今、必殺技で倒したじゃない?」


 祥子の部屋からエレベーターホールはかなり離れている。

 角度的に廊下に出ないでドラゴンを視認することは不可能だし、脳髄押し出しはとても地味な見た目の技だ。炸裂音も閃光も出ないのに何で知っているのか。

「祥子、契約したのか?」

 バルは横でよくわかっていないのか?首をかしげている。私は祥子の一挙手一投足を見逃さないよう、彼女を凝視していた。

「ばれちゃったかー、でもダーリンが悪いんだよー。ダーリン、祥子の他に彼女いるでしょ?祥子はこの力で他の子全員殺してダーリンのナンバーワンになるの」

 祥子の気配が変わっていく。スポンジが水を吸うように闇を身にまとって行く祥子。

 闇が収束すると、そこにはSMのボンデージのようなコスチュームに身を包んだ祥子がそこにいた。

 紫と黒の硬質なスーツは祥子の抜群のスタイルを更に強調しつつも、鳥の羽のような装飾がかわいらしさもアピールするハイレベルなデザインセンス……魔王の趣味恐るべし!!

「待って、私に彼女なんていないよ」

 誠心誠意を真心を込めて投げかけた言葉だったが

「ウソツキ!おまけにダーリンまで女の子になっちゃったらダーリンも殺さないといけないじゃない!!」

 言ってることが無茶苦茶すぎる。しかし私は敢えて言うのだった。

「メス奴隷ならいるけど彼女じゃないから!!」

 人間素直が一番。正直に話せばわかってくれ……。

「サディーちゃんて本当にクズだよね……。あれ思いっきり操られてるし、魔王候補を倒さないとだめだよ!」

 バルが冷静な突込みを入れてきた。

 仕方が無い。祥子を適当に痛めつけたら魔王候補はひき肉だな。

「ダーリン、また祥子以外を見てる!!もう許さない……死んじゃえ!!」

 そう言うが早いが、祥子の前に魔方陣が展開する。

 同時に8つも!!


 閃光の直後に無数の化け物の頭だけがこちらの世界に出現し、それぞれがブレスを吐き散らす!!

「うおおおおおおおおおお!?」

 私は先ほどドラゴンに奇襲したスペースに隠れてそれらをやり過ごすが、わずかでも遅れていたらこっちがひき肉になっていただろう。

 ブレス乱舞が炸裂した奥の壁はあっさり貫通されて外とつながっていた。


カツンカツン

 祥子のハイヒールの音が近づいてくる。

祥子の追撃は止まない。

 さっきのドラゴンは直線でしか攻撃できなかったようだが、祥子の召喚魔法は、任意の場所に魔獣の部位を召喚して攻撃させるもののようだ。

 いきなり何かの尻尾が私の背後、壁の中から打撃を加えてきた。

「ぐあ!」

 トゲがついてたのか、背中をざっくり切られた。

しかし回復力の上昇がすごいせいか、数秒で塞がった。

……我ながらチートくさい体だ。しかしコスチュームの破損はそのままで、破れた背中がスースーする。

これも魔王の趣味か!?そんなことを考えていたらあちこちから爪やら牙、中には花粉とかローションとか、意味不明なものがたくさん出てきて半分くらいくらった。

 サディーの反射神経で半分は回避できるが、予測できないタイミングでこれを暗い続けるのはまずい!!

 殺意が高い。高すぎる。というか祥子ってヤンデレだったのか。

「馬鹿なこと考えてないで作戦かんがえようよ!?」

 すっかりバルが突っ込みになってしまったが、気に食わないからバルのほっぺたをぎゅーぎゅーと両手で引っ張りながら考える。

 再び閃光とともにブレス攻撃!私は壁の出っ張りに身を隠して回避する。

直後に背後の壁から振動……、まさかこのスペースごと削る気か!?

 いかん、死ぬなこれは。

 割とあっさり死ぬだろうと予想した私は突然音が止んだことに気が付いた。

 そっとのぞいてみると、祥子が苦しそうに膝をついていた。

「祥子……大丈夫か?」

 声をかけると泣き声が聞こえてきた。


 グス……ヒック……

「苦しいよー、もう嫌だよー……えーん……」

 やばい、却っていじめたくなる……。


「あら、ここまでかしら?」

ん?祥子以外の声が聞こえてきたぞ?

ブレスの後の魔力の歪みでよく見えなかったが、いつの間にやら祥子の足元には黄色いヒヨコがいた。

「魔王候補だよ!」

 バルが警戒して言う。

 うるさいな、大体気付いていたよ。

「お前が祥子を操っていた候補だな!覚悟してもらうぞ」

 私が正義の鉄槌を食らわせようと思ったら、ヒヨコはいきなり白旗を取り出して降参した。

「へ?」


 私が一瞬呆けていると、ヒヨコは首をすくめるようにして首を振った。

「疲れちゃったから降参するわー」

 ヒヨコがそういうと祥子の変身は解けて、そのまま倒れたのだった


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